今では、それが当たり前のように思われています。
でも考えてみたら、
なぜインフルエンザは冬に流行するのか?
不思議に思いませんか?
その理由はズバリ、
太陽の光が少なくなるから
です。
「え?空気が乾燥するからじゃないの?!」
おっしゃるとおりです。
空気の乾燥は、冬にインフルエンザが流行る大きな理由のひとつです。
ですが、太陽の光が少なくなることも、更に大きな理由なのです。
■なぜ太陽の光が関係するのか?
なぜインフルエンザの流行に太陽の光が関係するのか?
結論から申し上げますと、
太陽の光が少なくなると、人間の免疫力が下がるからです。
実は太陽の光には、人間の免疫力を上げる効果があります。
人間は、日光を浴びると、体内でビタミンDが作られます。
ビタミンDは、抗菌ペプチドという物質を人間の体内で増殖させる効果があります。
抗菌ペプチドは、その名前のとおり、細菌やウイルスなどの侵入物に抗い、増殖を抑える効果がある物質です。
ゆえに、抗菌ペプチドが増殖することで、免疫力が増し、ウイルスの増殖が抑えられるというワケですね。
ところが、冬になると、北半球では日照時間が減ります。
地球の自転軸が傾いて回転しているのが理由です。
傾いた自転軸は1年で1回転します。
冬では、ちょうど太陽の反対側の方に自転軸が傾くので、物理的に日光が北半球に当たる距離が長くなります。
しかし、地球の自転速度は一定(約24時間で1周)なので、結果として、日の入りが早く訪れるようになり、日の出も遅くなるため、相対的に日照時間が減るのです。
当然ですが、日本は北半球にあるので、日照時間減少の影響をもろに受けます。
日照時間が減るということは、太陽の光が少なくなるということ。
太陽の光が少なくなれば、当然、ビタミンDの生成を日光に頼っている人間の免疫力にも影響が出てくるワケです。
(食事やサプリメントなどで、しっかりとビタミンDを摂っている人にはあまり影響はありませんが…。)
そこへ追い打ちをかけるように、冬の空気が乾燥します。
日光の量が少ないと、気温と湿度が下がり、空気が乾燥しやすくなるからです。
(空気の乾燥には、もっと複雑なメカニズムがありますが、ここでは割愛します。)
空気が乾燥していると、くしゃみなどで空中に出たインフルエンザウイルスが空中にとどまり、空気中の水分に邪魔されずに舞いやすくなります。
しかも、寒さをしのぐために室内で過ごすことが多くなるため、人から人へ感染しやすくなります。
故に、冬にインフルエンザが流行するというワケですね。
(逆に、雨が降ったりして空気の湿度が上がると、空気中のウイルスは下に落ちるため、外では感染しにくくなります。)
太陽の光が少なくなるだけで、寒さ、空気の乾燥、人間の免疫力の低下をひきおこす…
やはり太陽の存在は偉大だということですね。
太古の昔、太陽を神として崇める思想があったのも、少しわかる気がします。
■インフルエンザウイルスの感染経路
余談ですが、インフルエンザウイルスの感染経路を書いておきます。
参考までにどうぞ。
自然の水中や泥などに存在
(感染した鳥のフンの影響)
↓
白鳥などの渡り鳥に感染&体内で増殖
↓
渡り鳥が移動
(世界中へ拡散)
↓
現地でフンを水中にする
(水や泥にウイルス蔓延)
↓
その水を他の渡り鳥や水鳥が飲んで更に感染拡大
↓
感染&増殖中にウイルスが変化(変異)
(インフルエンザウイルスは年に1000回程度も変異する。)
↓
渡り鳥の体内で鶏に感染できるタイプに変異
↓
渡り鳥の落とすフンから鶏に感染
↓
鶏の体内で豚に感染できるタイプに変異
↓
鶏のフンが空気中に舞う、または豚のエサに混じり豚に感染
(家畜として両方とも飼っている農家も多い。)
↓
豚や鶏の体内で人間に感染できるタイプに変異
↓
感染した鶏や豚など、家畜に人間が触れたり、フンが乾燥して空気中に舞うことで人間に感染
↓
感染した人間=宿主(しゅくしゅ※)の細胞内で増殖
(※やどぬしと読んでも、一応間違いではありません。)
↓
咳・くしゃみなどの飛沫感染や空気感染で他の人間に感染
(冬に大流行)
こんなところですね。
インフルエンザウイルスは、増殖時にコピーエラーや交雑など、変異を起こしやすいため、元のウイルスと違ったタイプのものが次々と誕生するワケです。
そして、ついに人間に感染できるタイプに変異し、人間同士で大感染を引き起こすのです。
人間の体内で増殖する際にも変異を起こすことがあるため、せっかくワクチンを作っても、次の年にはワクチンが効かないタイプに変異していることも多々あります。
毎年、インフルエンザが流行するのは、そういう理由もあるのです。
結局重要なのは、ウイルス対策マスクをしたり、手を洗ったり、うがいをしたりして予防することなのです。
まずは身を守るということですね。
では、今回はこの辺で。
■関連項目