プール熱をわかりやすく言うと、
- 夏にひく“ひどい風邪”のひとつ
です。
夏にプールに入った子供がよくかかるので、一般的な通称で“プール熱”と呼ばれています。
医学的には、咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)と言い、アデノウイルス(風邪ウイルスの一種)が原因で引き起こされる感染症です。
アデノウイルス↓
今回は、プール熱について、
「皆様が知りたいんじゃないかな?」
的なことを調べ、わかりやすくまとめてみました。
皆様の参考になれば幸いです。
■【感染経路】どうやって感染するの?
プール熱の原因のアデノウイルスには、主に以下の感染経路があります。
- 咳(飛沫感染)
- くしゃみ(飛沫感染)
- 感染者に密着する(接触感染)
- 感染者の糞便(接触感染)
- タオルの使いまわし(接触感染)
大体、以上の5つが主な感染経路になります。
これらの感染経路から、目、口、鼻、喉などの粘膜にアデノウイルスが付着することで感染します。
風邪やインフルエンザの感染経路とかなり似ていますね。
プールの水は、塩素などで消毒されているので大丈夫です。
しかし、プール内にいる感染者にじゃれるなどして、密着状態が続くと感染する恐れがあります。
子供は無邪気なので、
プール内外でじゃれあって遊ぶことも多いはず。
また、プールの水を飲んで咳き込んだり、鼻がムズムズしてくしゃみしたりする子もいます。
しかも、子供は大人よりも免疫力が低く、ウイルスに対する抵抗力が弱いことがほとんど。
なので、大人が知らないうちに、自分の子供がアデノウイルスに感染し、プール熱になってしまうことも多いのです。
そして、意外と多いのが、
- タオルの使いまわし
です!
自宅では、風呂に入った後にふくバスタオルや、汗をふいたタオルなどを家族みんなで使っていませんか?
もしそうなら、とても不用心です!
そのタオルを家族で使いまわしていることになるので、アデノウイルスが家族中に感染する可能性があります。
プールに行ってない赤ちゃんまでもがプール熱にかかってしまう危険性があるのです!
アデノウイルスは感染力が強いので、タオルは使いまわさず、別々に人数分用意し、しっかりと洗濯して清潔にしましょう。
タオルを別々にするだけでも、感染を防げる確率が随分高くなりますよ!
■【潜伏期間】どれくらいで発病するの?
アデノウイルスに感染してからプール熱が発病するまでには、潜伏期間が4~5日あります。
大体、以下の流れでプール熱が発生します。
- 潜伏期間(4~5日前後)
- 発症期間(1週間前後)
- 症状緩和(2日前後)
- 症状停止(14日前後 ウイルスは存在)
- 完治(ウイルス消滅)
こんなところですね。
一度発症してしまうと、
10日前後は症状に苦しむことになります。
また、症状が停止しても、
アデノウイルスは体内にしばらく(2週間程度)残っています。
なので、外出する際には、ウイルス対策マスクなどで、他の人にうつさないように対策する必要があります。
やはり、大事なのは日頃からの予防ですね。
■【プール熱の症状】どんな症状が出るの?
プール熱の症状は、主に以下のとおりです。
- 高熱(38~40度前後)
- 頭痛
- 吐き気
- 下痢
- 眼の腫れ(結膜炎)
- 扁桃腺が腫れる
- 喉の痛み(咳も出る)
初期症状は1の高熱で、40度くらいの高い熱が出ます。
大体は数字の順番通りに症状が出ますが、4~7の症状は同時に出ることもあります。
症状や感染力の強さを考えると、インフルエンザに似ていますね。
プール熱が“夏のインフルエンザ”と呼ばれるのもわかる気がします。
■【病院】何科で診てもらえばいいの?
プール熱と考えられる場合は、
症状によって、
- 内科
- 小児科
- 耳鼻咽喉科
のいずれかになります。
子供の場合は、まず小児科で診てもらうといいでしょう。
診断の後、適切な処置をしてもらえます。
大人の場合は、大体は内科になります。
症状が軽く、喉の痛みや目の腫れ程度なら、
耳鼻咽喉科で診てもらうといいでしょう。
■【治療法】ワクチンや薬はあるの?
プール熱に有効なワクチンや薬はありません。
治療法は全て対症療法になります。
対症療法とは、症状に合わせて治療を施すことです。
例えば、熱には解熱剤、下痢には下痢止めなどを患者に投与します。
不幸中の幸いですが、強い症状が出るものの、プール熱は時間の経過とともに完治できる病気です。
つまり、自然治癒できるのです。
専用のワクチンが開発されていないのも、それが理由の一つです。
なので、医者に適切な処置を施してもらえれば、命に関わるようなことなく完治しますのでご安心を。
■【外出禁止】学校への出席停止や出社停止の期間
プール熱には治療がとても大事ですが、他の人への感染を防ぐことも重要です。
アデノウイルスは感染力が高いので、学校では、出席停止措置をとることもしばしばあります。
特に、症状が無くなってからの2日間が重要で、この2日間は出席停止になります。
この措置は学校法で定められており、学校側は当該患者に対して措置を行う義務があります。
冬にインフルエンザが蔓延すると、学級閉鎖になることがありますよね?
出席停止措置とは、そのような事態にならないように、感染した子供を登校させないための防御策なのです。
プール熱で学校や園を休む具体的な期間は、
- プール熱の症状が無くなるまでの10日前後
- プール熱の症状が無くなってからの2日間
合計で12日前後は学校・幼稚園・保育園を休まなくてはなりません。
じゃあ、逆に大人の場合はどうなのか?
大人の場合は、
出社停止措置がとられることはありません。
大人の場合、出勤を止めるのに法的な義務は無く、あくまでも会社と患者本人の判断に委ねられています。
プール熱が、免疫力の低い子供にかかりやすい病気であることと、大人は子供より免疫力が高いので、症状が弱いという点にあります。
故に、プール熱で会社を休む人は稀で、出勤を停止させられるほどの事態はないそうです。
実際に、プール熱で会社を休む人は、“ひどい風邪”扱いで、有休を消化する形で仕方なく休んでいるのが現状のようです。
よって、出社停止の期間はさまざま。
症状が緩和したら出社する人がほとんどです。
しかしながら、症状が緩和しただけでは、アデノウイルスが体内に残っている場合があります。
なので、大人でもウィルス対策マスクをするなどして、他の人にうつらないように対策する必要があります。
■【予防法】プール熱にかからないために気を付けること
プール熱にかからないための予防法は、実はとても単純です。
- 外から帰ってきたら手を洗う。
- 外から帰ってきたらうがいをする。
- プールから出たらシャワーを浴びる。
- 目薬をさす。
- タオルは別々に準備する。
(使いまわさない) - 感染者(発症した人)に触らない。
手を洗ったり、うがいをしたり、プールから出た後にシャワーを浴びるのはごく当たり前のこと。
プール熱にかからない人は、
そういうことを生活する中で自然に行っているのです。
身体と身体に触れるモノを清潔に保つことで、プール熱だけでなく様々な感染症を未然に防げるのです。
もちろん、感染者に直接触らないことや、咳やくしゃみをする人に近づかないことも重要です。
- 君子危うきに近寄らず
という諺もあるくらいですから。
そして、こんなことは書くべきではないかもしれませんが、最も効果的な予防法が、
- 子供(家族)をプールに行かせない
- 自分もプールに行かない
の二つです。
しかし、これらの方法はとても消極的で、現実問題として実行が難しいです。
自分がプールに行かないこと自体は可能ですが、子供には学校での水泳の授業があります。
なので、子供にプールに行かせないというのは、特別な理由がない限り不可能なのです。
■まとめ
- プール熱は子供にかかりやすい病気
- プール熱は大人でもかかることがある
- プール熱はひどい夏風邪の1種
- 正式名称は咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)
- 夏のインフルエンザと呼ばれている
- 潜伏期間は4~5日
- 発症すると10前後の間は症状が出る
- 症状が無くなっても2週間前後はウイルスが残っている
(感染者はウイルス対策マスクの着用が必要) - 症状が無くなってからも2日間は出席停止措置がとられる
(学校法で規定されている) - 大人の出社停止に関しては任意
(判断は会社と本人の間に任される) - 病院で診てもらう時は内科・小児科・耳鼻咽喉科のどれか
(子供はまず小児科へ) - プール熱の予防法は
・手を洗う
・うがいをする
・目薬をさす
・タオルを使いまわさない
・感染者に触らない(近寄らない) - プールに行かない(行かせない)という方法は非現実的
(学校でプールの授業があるため)
以上。
■関連項目