お墓参りの順番は、
が基本となっています。
実は、それぞれに正しい作法があります。
今回は、それぞれの作法について、
わかりやすく解説させていただきました。
皆様の参考になれば幸いです。
■1・お花をお供えする時の作法
まず、お供え物として花を供えます。
墓石には、花立(はなたて)と呼ばれる物が付随しています。
こんな感じですね↓
それに水を少し入れてから、
上の写真のようにお花を供えます。
(写真はあくまでも例です。色んなタイプの花立があります。)
その際に水をこぼしてはいけません。
なぜ、水をこぼしてはいけないのか?
理由は、故人に対する無礼になるからです。
花立の間にある小さなくぼみは、
実は“水鉢(みずばち)”と言います。
文字通り、そこに、故人へのお供えの水を入れるのです。
仏教では、水はあの世とこの世をつなぐ聖なるもの。
ここに入れた水が水鏡の役割を果たし、あの世とこの世をつないで、ご先祖様が姿を映すかもしれないと言われています。
言うなれば、水鉢は故人専用の鏡のようなものなんですよね。
花立の水をこぼしてはいけないという作法は、
- 花立からこぼれた水が、
水鉢に入らないようにするための作法
なんです。
例えば、あなたが鏡を見ている時に、花瓶の水を鏡にかけられたら、どう思いますか?
すごく気分が悪いでしょう?
それと同じことなんです。
というワケで、故人に対する無礼になりますので、花立の水をこぼさないように。
また、お墓にお供えするお花は、どんな花でも良いというワケにはいきません。
ちゃんとお墓参りに向いた花があるのです。
正しい花をちゃんと選ぶのも、立派な作法の一つです。
お供え物の花として向いているのは、
- 菊
- カーネーション
- ストック
の3つです。
これらの花は仏花(ぶっか)と呼ばれる花で、お葬式やお墓参りに適したお花です。
大抵は霊園で買えるので、事前に買うのを忘れても大丈夫です。
もちろん他にも、お墓参りに適したお花はたくさんあります。
こちらのページで紹介していますので、是非とも参考になさってください。
■2・お供え物を供える時の作法
お花を供えた後、水鉢に水を入れ、お菓子などの食べ物や、故人が生前好きだった物を供えます。
もちろん、その際にも作法があります。
◆【作法1】水鉢の水量
水鉢には水をギリギリまで入れる!
水鉢に水を入れるのは水鏡を作るためです。
お花を供える時の作法のところでも少し触れましたが、水鉢に水を供えることで、水鏡を作ってあの世とこの世を繋ぎ、ご先祖様との接点を作るのです。
しかし、水鉢が無いタイプのお墓もあります。
(洋式の墓石など。)
そういう場合は、湯呑やコップなどで代用すればOKです。
故人が生前使っていた湯呑やコップなら尚OKですね♪
◆【作法2】お酒の供え
お墓参りで、お酒を墓前にお供えする人も多いと思います。
その際の正しい作法は、
- フタを開けて置く
- コップ(湯呑など)に注ぐ
の2つが正解です。
なぜ、フタを開けるのかというと、故人の方々は、「香りをいただく」のです。
お花にしても、お菓子にしても「香り」なんです。
なので、フタを開けずに、そのまま置いて供える人がいますが、それでは故人の方が香りをいただけません。
というワケで、酒カップや缶ビールのフタを開けて置くのが、正しい作法ということになります。
あと、間違っても、お酒を墓石にかけたりしてはいけません。
アルコールや糖分などの成分で、墓石のコーティングが剥がれ、墓石にシミができたり、墓石そのものが劣化する原因になります。
あるいは、虫が寄って墓が不浄になる原因にもなります。
それだけはやめましょう。
◆【作法3】食べ物系
お供え物を墓石の前に、単純に置けばいいというものではありません。
水鉢に水を入れず、食べ物や線香などを置く人が数多くいますが、それは間違いです。
お墓によって形が異なりますが、下の写真のように、水鉢の下の段のスペースにお供え物を置くのがベストです。
例えばこんな感じ↓
まあ、お墓の形や大きさは、古今東西様々です。
宗派や和式・洋式によっても違います。
上の写真のようなスペースがないお墓の場合は、水鉢の中にお供え物を置くのも有りだと思います。
その場合は、コップや湯呑に水を入れてお供えしてください。
まあ、つまるところ、
- 故人にお供えする
という感謝の気持ちが大事。
ただ、あくまでも、水鉢は水を入れてお供えするためのもの。
ということを頭に入れておいてくださいね。
■3・線香を供える時の作法
花とお供え物を供えた後、線香を焚いて供えます。
ここで問題になる作法は、線香の本数と火のつけ方消し方と線香の立て方です。
◆線香の本数は?
1人あたりの線香をたてる本数は、実は宗派によって違いがあります。
なので、あなたの家のお墓を拝んでくれるお坊様に直接確認するのが一番ですが、確認するのが面倒かつ困難な場合は、
★一人でお墓参りに来た場合
- 最低3本
★家族や親戚など数人で来た場合
- 最低3本+お墓に入っているご先祖様の数
と覚えておけばOKです。
なぜ3本なのかというと、仏教においては、線香に「仏・法・僧」という3つの意味を込めるから3本なのです。
- 仏=仏様(お釈迦様)
- 法=宗派
- 僧=お坊さん
という意味があります。
3本の線香それぞれに、敬意と感謝を込めるわけですね。
なるほど納得ですね。( ^ー゜)b
◆線香の火について
線香に火をつける時と消す時にも作法があります。
火をつける時の正しい作法(テクニック)は、
- 線香の束の真ん中を押し出して火をつける
です。
線香は束になると、中の方の線香に火がつきにくくなります。
なので、あらかじめ線香の束を下から押して、束の真ん中の線香が飛び出す形にします。
そうすることで、線香の束に火がつきやすくなります。
この方法は、お坊さんたちの間で古くから伝わる作法ですが、これは、作法というよりもテクニックですね。(笑)
次に、火を消す時の正しい作法は、
- 線香を軽く縦に振って消す
- 線香を手で仰いで消す
の2つです。
軽く縦に振ると、火は自然に消えます。
物理的に消えやすいのです。
また、手で仰いで消すのも、火が飛び移ることが無いので安全に消せます。
ここで注意!
線香の火を消す時に、一番やってはいけないことは、
- 口の息で吹き消す
です。
口の息は、仏教では穢れそのもの。
線香に穢れがついてしまうということで、口の息で線香の火を吹き消すのはタブーとされています。
なので、口の息で線香の火を吹き消すのだけは絶対にやめましょう。
◆線香は立てる?横?
線香を立てるか、横に寝かすかも、同じく宗派によって違いがあります。
なので、確認できない場合は、墓に備え付けてある香炉や香皿、香立の形状で決めればOKです。
例えば、下の写真のような香炉の場合は、火をつけた線香を香炉に入れて寝かせればOKです。
また、下の写真のような壺状、または筒状の物の場合は、灰を入れて線香を立てればOKです。
(灰を入れずに線香を立てれる香皿もあります。)
こんなところですね。
まあ、お墓によっては、線香を入れる香炉や香立が無い場合があります。
そういったお墓の場合は、水鉢に線香を置いてお供えしてもいいでしょう。
水鉢に線香を焚いて置くやり方は、本来のやり方ではありません。
しかし、香炉や香立が無いからといって、線香を焚かないよりは遥かにマシですから。
■4・合掌して拝む時の作法【重要】
お供え物を一通りして、線香を立てたら、いよいよ合掌(がっしょう)です。
お墓の前で、手を合わせて目を閉じる行為ですね。
この時の正しい作法は、
- 墓前でしゃがむ
これが重要です。
↓こんな感じでしゃがむのが正解です。
墓前で立ったまま合掌することは、故人に対する無礼になります。
なので、上の写真のように、しゃがんでから合掌しましょう。
ただし、例外もあります。
大勢でお墓参りをする場合は、どうしてもスペース的に墓前でしゃがめないことがあります。
そういったケースの場合は、後ろに下がって立ったまま合掌してもOKです。
後ろに下がるという行為が、故人に対して「謙譲」という敬意に値する行為になります。
なので、後ろに下がって、墓前から少し離れたところからなら、立ったまま合掌してもOKです。
そう、「しゃがむ」ことも、「後ろに下がる」ことも、故人への敬意というワケですね。(=´▽`=)
なるほど、納得です。
■5・帰り支度の際の作法(マナー)
帰り支度の際の作法は、
- お供え物をちゃんと持ち帰る
ことです。
お花はともかく、食べ物などのお供え物を残しておくと、カラスや野良猫がやってきて荒らす可能性があります。
なので、必ず持ち帰りましょう。
お花は、新しい花はそのまま置いていって結構ですが、前に供えた古い花も、お供え物と一緒に持ち帰りましょう。
これらの作法は、作法というか、墓を汚さないためのマナーですね。
■【マメ知識】帰宅後の清めの塩は必要?
結論から言うと、お墓参りからの帰宅後に、清めの塩を振る必要ありません。
なぜかというと、お墓参り=故人を慕う儀式であって、穢れを祓う行為ではないからです。
そもそも、清めの塩とは、仏教ではなく神道から来ているものです。
神道では、死=穢れという考え方があり、葬式の後に清めの塩を振るのは、“死”という穢れを祓うため行うのです。
葬式と墓参りは故人をしのぶという点では似ていますが、厳密には別の違うものなのです。
というワケで、お墓参りから帰宅した後は、清めの塩を振る必要はありません。
葬式の時と混同している人が、実は結構いるんじゃないでしょうか?
この記事を読んで初めて知った方は、是非覚えておいてくださいね。
さて、お墓参りの作法について、ここまで解説させていただきましたが、皆様、いかがでしたでしょうか?
この記事を書きながら、お墓参りについて色々と調べてみると、私自身知らなかったことや忘れていたことが数多くありました。
近年、お墓を持たなかったりする人も増えているので、お墓参りの作法そのものを知らない人も多いとか。
でも、まだまだ日本ではお墓参りの文化は廃れていません。
いざ、お墓参りに行くことになったら、この記事を読んで参考にしていただければ幸いです。
この記事が、誰かの役に立つといいなぁ。
では、今回はこの辺で。
■関連項目