忘年会など、年末に行われる
行事の〆(しめ)で実施されるのが三本締めですよね。
そもそも、三本締めとは一体何なのか?
三本締めとは、行事などが無事に終わったことを感謝することから始まった風習です。
今回は、そんな年末の風物詩の三本締めについてチェックしました。
皆様の参考になれば幸いです。
■三本締めのやり方
三本締めは、手拍子で、
パパパン パパパン パパパン パン
と、3拍手×3+1拍手叩いて一本とし、これを三本繰り返します。
三本締めを行うまでの具体的な流れは以下のとおりです。
- 行事の責任者が音頭をとる。
(注意:ゲストや来賓の方に任せてはいけません。) - 全員起立する。
(居酒屋など、会場が狭い場所の場合は起立しなくてもOKです。) - 行事または集まりの趣旨に沿った挨拶をする。
(実はこれが一番厄介。(苦笑))
(長すぎると雰囲気がダレるので、10~15秒くらいで終わる長さにしましょう。) - 挨拶が済んだら、以下のとおりに実行します。
「それでは皆様、お手を拝借!」
「いよ~おっ!」
(一本目:パパパン パパパン パパパン パン)
「よっ!」
(二本目:パパパン パパパン パパパン パン)
「よっ!」(「もういっちょ!」でも可)
(三本目:パパパン パパパン パパパン パン) - 「ありがとうございました!」
(最後に礼を述べて〆ます。)
(皆で拍手:パチパチパチパチパチ…)
こんなところですね。
ちなみに、掛け声の「いよ~おっ!」は、「祝おう!」が訛った表現だと言われています。
言われてみれば、確かにそんな気もしますね。
なお、上の説明でわかりにくい方は、丁度、わかりやすい三本締めの動画がYoutubeにありましたので、よろしければご覧ください。
以上のように、三本締めのやり方は単純です。
しかしながら、恐らく、ほとんどの人は、
“ 三本締めをやる前の挨拶をどうするか? ”
これを一番悩むんじゃないかと思います。
こればかりは、集会の趣旨によって異なってきますので、音頭をとる方が自分で考えるしかないですね。
あえて例を挙げるとすると、
会社の部署単位で行う普通の忘年会での三本締めの場合は、
————–
え~、○○部の皆様、
今年も無事、本年の仕事を終えることができました。
本年も残すところ後わずかですが、
お体に気を付けてお過ごしください。
そして、来年も本年以上に、益々仕事に励んで、○○部の成功と発展に努めてまいりましょう。
それでは皆様、お手を拝借!
————–
こんな感じでしょうか。
○○のところは、あなたの所属する部署名を当てはめてもらえばいいと思います。
それに、挨拶と言っても様々なやり方があります。
上の例よりも、もっと適切な表現があると思いますので、あなた自身で検索してみてください。
■なぜ三本叩くのか?
3本叩く理由は、1本目、2本目、3本目に、それぞれ異なる意味があるからです。
それぞれの意味は以下のとおり。
- 1本目
三本締めを取り仕切っている人を称えて感謝するため。 - 2本目
三本締めに参加し唱和ている人を称えて感謝するため。 - 3本目
神様を称えて感謝するため。
つまり、みんなに感謝するということですね。
みんなに感謝するという意味においては、三本締めは、舞台挨拶などで行う“三方礼”にも通ずる儀式と言っても過言ではないでしょう。
そう考えると、とても奥が深い風習ですよね。
ちなみに、三本締めの起源はわからないそうです。
「争いのさ中、武器を持っていないことを示すために行った。」
「神事の終わりを告げるための挨拶から始まった。」
など、諸説あるそうですが、いずれもはっきりした根拠はないのだそうです。
いつの時代に、どこで、誰が思いついて始めたのか、ルーツがはっきりしていないとうことですね。
起源がわからないまま、現代まで引き継がれているなんて、ちょっと不思議ですよね。(笑)
■3拍子×3+1拍手の意味
やり方のところでも書きましたが、
手拍子は、
パパパン パパパン パパパン パン
と叩きます。
数字で表すと、
・・・ ・・・ ・・・ ・
3 3 3 1
となります。
3拍子×3+1拍手ですね。
実は、この数字の数に意味があるのです。
3拍子×3+1拍手ということは、合計九回叩いた後、一回叩いて締めることになります。
このことから、この“九”という漢数字に“一”を当てはめると、“丸”という文字になり、その結果、
“丸く収まる”
という縁起の良い意味の言葉になるのです。
要するに、ゲン担ぎの一種です。
また、九=苦とも捉えることが出来るため、
“苦労が丸く収まった”
と考えることができるのです。
なるほど、納得ですね。
以上が3拍手×3+1拍手の意味であり、
一本を、九回+一回行う理由です。
■じゃあ一本締めとは?
三本締めと聞くと、多くの人が次に思い浮かべるのが「一本締め」だと思います。
一本締めは、
パパパン パパパン パパパン パン
と、3拍手×3+1拍手叩いて締めます。
親しい人の集まりだけで行う際に、三本締めを簡略化しようとしたのが始まりです。
「え~?一本締めって、拍手1回じゃないの?!」
と思われる方が多いと思いますが、
それは間違いです。
「よ~おっ!パン!」と
拍手1回で締めるやり方は、
“一丁締め”
と言います。
一丁締めは、気の短い江戸っ子が一本締めを更に簡略化したもので、一本締めから最後の1拍手だけを取り出したものです。
また、一丁締めは、別名「関東一本締め」ともいいます。
それ故に、一本締めと一丁締めが時代を経て混同され、現代まで伝わってしまったので。
故に、多くの人々が、一本締めと一丁締めを混同しているのです。
しかし、混同している人があまりにも多いため、今更、正しい方をいちいち説明するのは困難です。
なので、誰かから「一本締めよろしく」と頼まれたら、拍手1回で終わる一丁締めをやってあげたらいいと思います。
関東で行う場合は、一応間違いではないので。
その時に「間違っている」と指摘されたら、もう一方をやってあげればいいでしょう。
クイズと違い、風習など、人から人へ伝えられるモノの場合は、例え間違っていても、間違っている方が多数の場合は、間違っている方が正しいことになってしまいます。
多数決の根幹といったところでしょうね。
■地域によって違う三本締め
実は三本締めは、地域によって違うことがあります。
◆大阪締め
打ちましょ(よいよい(二拍手))
もひとつせぃ(よいよい(二拍手))
いおーて三度(よよいのよい(三拍手))
◆小倉ゑびす締め(福岡)
商売繁盛 商売繁盛
よいよいや(二拍手一万歳)
よいよいや(二拍手一万歳)
よいよいや(二拍手一万歳)
◆名古屋ナモ締め
「は!」
ナモナモナモ(三拍手)
「は!」
ナモナモナモ(三拍手)
「は!」
ナ~モ~ナ~モ~ナモナモナモ(5拍手)
こんなところですね。
日本各地には色んな締め方があるんですね。
勉強になりました。
そういえば、戦国時代の掛け声で、
「えい、えい、おー!」
という勝どきを上げる掛け声がありますよね。
これも、ある意味「三拍手の締めの風習」いうことができるんじゃないでしょうか?
皆さんはどう思いますか?(笑)
では、今回はこの辺で。