■藪入りってどんな意味?
藪入りは、実家から出て住み込みで働いている人たちが、実家に帰る日のことです。
元々は、江戸時代に広まった習慣で、商家に雇われて住み込みで働いている奉公人(丁稚(でっち)、女中(女中)など)が実家に帰る日が、旧暦の1月16日と7月16日でした。
年のほとんどを働いて過ごす奉公人にとって、藪入りは貴重な休みの日だったのです。
その日が新暦になっても引き継がれ、現代に残っているというワケです。
ちなみに、7月16日の藪入りは「後(のち)の藪入り」とも呼びます。
まあ、現代日本の雇用形態では、藪入りで実家に帰る人はほとんどいないため、藪入りという言葉自体が死語と化しているのが現状のようですね。
余談ですが、古典落語に「藪入り」という話があります。
丁稚奉公する少年が藪入りで実家に帰る際のエピソードが語られています。
■藪入りと言う理由
藪入り(やぶいり)と言う理由は諸説あります。
そもそも、奉公に出される子供の実家は貧しく、実家が山奥の寒村であることが多かったため、藪が多い場所へ帰るということで、“藪入り”と呼ぶようになった説や、“宿入り”という実家に帰るという意味の言葉が訛って変化した説などがあり、いずれもはっきりしていないそうです。
■提唱・制定者は?
江戸時代からの習慣なので不明です。
■日付の理由は?
現代の藪入りの日付は、旧暦の藪入りの日付がそのまま引き継がれたのが理由です。
旧暦の藪入りの日付は、前日の1月15日(小正月)と7月15日(お盆)が大事な行事の日だったので、それらの日まで頑張って働いた奉公人に、次の日の一日だけ休みをあげようということで、1月16日と7月16日が藪入りの日となっていたそうです。
■日本記念日協会に登録されているの?
日本記念日協会には認定されていませんが、HP内に「その他の記念日」枠で“やぶ入り”の記載があります。
こんなところですね。
藪入りなんて言葉自体、この記事を書くまでは存在自体を知りませんでしたし、調べて初めて意味を知りました。
前述のとおり、現代日本の労働基準や雇用形態から考えると、ちゃんと月ごとに数日の休日が設定されているので、藪入りで休むことはまず考えられません。
故に、藪入りという言葉自体が事実上の死語と化しているのは、当然と言えば当然ですよね。
では、今回はこの辺で。
■関連項目