たまに、ニュースなどで報道される気象現象に、
霰(あられ)と雹(ひょう)があります。
どちらも、雲から降り注ぐ氷の粒のようなものですが、これら二つには明確な違いがあります。
「字が違う」というのは却下です。(苦笑)
■粒の大きさや形が違う
霰は、直径1〜5mmの氷の粒で構成されていて、形状は球形や円盤状など不規則な形をしています。
粒が小さいため、降り注いだ際には柔らかい感触があり、パラパラとした軟らかい音がします。
小さくて軽いため、人間社会に被害をもたらすことは稀です。
雹は、直径が6mm~1cm以上になることが多く、大きなものでは5cm以上になることもあります。
表面が凸凹した球形や卵形をしており、氷の粒というよりも「氷塊」に近いイメージです。
そのため、雹は霰よりも遥かに重くて硬く、落下速度が速いため、自動車のボンネットをへこませたり、家屋の瓦などを割ったり、人や動物に打撲傷を与え、農産物を破壊するなど、大きな被害を与えることがあります。
ゆえに、降り注いだ際には硬い感触があり、ゴツゴツとした大きな音がします。
霰と雹は、どちらも雲の中で水蒸気が凝結してできた雲粒が上昇気流に乗り、下降気流と寒冷層で衝突して通過することで凍りついたものです。
霰の場合は、氷の粒が下降気流ですぐに下に落下するため、粒は小さいままです。
一方で、雹の場合は、凍った粒がすぐに下に落ちずに雲中で上昇と下降を繰り返し、氷晶が衝突して結合することで、粒がより大きく、硬くなります。
故に、1cm以上の大きな粒になるのです。
■発生時期と地域の傾向が違う
◆発生時期の傾向の違い
霰は、通常では、冬季の降雪や雷雨の前に降りやすい傾向にあります。
雹は、通常では、夏季の雷雨の前に降りやすい傾向にあります。
あくまでも傾向であって、他の季節でも雹や霰が降ることがあります。
日本の夏季では、空気中の水分量が冬と比べて多い傾向にあるので、大きな塊になりやすいと言われています。
また、雹が発生する条件は、上昇気流の強さや温度などが影響するため、地域や季節によって発生頻度が異なることがあります。
◆発生地域の傾向の違い
霰は一般的に寒冷地域でよく見られます。
雹は温帯地域や熱帯地域で、より頻繁に発生します。
あくまでも傾向であり、寒冷地で雹が降ったり、温帯・熱帯地域で霰が降ったりすることもあります。
こんなところですね。
霰と雹の違いをまとめると以下のとおりです。
- 霰は1~5mmくらいの氷の粒
- 雹は6mm以上の氷の粒で、5cmくらいになることもある。
- 霰は冬に発生しやすい傾向がある。
(それ以外の季節でも降ることがある。) - 雹は夏に発生しやすい傾向がある。
(それ以外の季節でも降ることがある。) - 霰は寒冷地で発生しやすい。
- 雹は温暖地域や熱帯地域で発生しやすい。
以上のように、霰と雹は氷の粒のが降る気象現象であることは共通していますが、その形状、サイズ、硬度、発生要因、地域的な出現頻度などに違いがあるのです。
まあ、粒が小さいのが霰で、粒が大きいのが雹と覚えておけば間違いありません。
では、今回はこの辺で。