「にっちもさっちも行かない」
などと言うことがありますよね?
その「にっちもさっちも」を漢字で書くと、
いったいどんな表記になるのか?
答えはズバリ、
「二進も三進も」
となります。
「にっちもさっちも」という読み方は、
「にしん(二進)も、さんしん(三進)も」という発音が
訛って省略された読み方です。
確かに、「にしんもさんしんも」と発音するより、
「にっちもさっちも」の方が発音しやすいですよね。
なるほど、納得です。
じゃあ、二進や三進とは一体何なのか?
二進や三進は、元々は算盤(そろばん)の用語なのです。
算盤とは、昔の計算用の道具のことです。
色や大きさは様々ですが、大体、下の画像のような形をしています。
話を戻しまして・・・
二進や三進とは、
- 二進=2割る2=2/2=1
- 三進=3割る3=3/3=1
の意味を、それぞれ表しています。
それはつまり、
「割り切れる計算ができる」
という意味なのです。
故に、「にっちもさっちも行かない」とは、
「2でも3でも割り切れない」という意味になります。
それが転じて、
「計算が合わず、算盤のように上手くいかない。」
という金銭面の意味になり、更に派生して、
- 「物事が上手く進まない。」
- 「身動きがとれない。」
- 「融通が利かない。」
- 「八方ふさがりだ。」
などという意味になったのです。
「にっちもさっちも行かない」とは、
算盤があったからこそ出来た言葉だったんですね。
電卓やパソコン・スマホのアプリで計算する今、
算盤と聞いてもイマイチ分からない人が多いのも仕方がないこと。
時代が違いますからね。
- 言葉の裏には歴史がある。
ってところでしょうか。
奥が深いですね。(笑)
ちなみに、「にっちもさっちも」は、
必ず否定形の表現として使われます。
なので、
「にっちもさっちも行くから安心しろ」
などという使い方は決してしません。
「にっちもさっちも行く」ということは、
「上手くいく」ということ。
既に「上手くいく」という言葉が存在しているので、
わざわざ「にっちもさっちも行く」なんて言う使い方はしないのです。
考えてみれば、ごく自然で当たり前のことですね。
故に、「にっちもさっちも行かない」という、
否定形の言葉としてのみ存在するのです。
その点だけは、用法として覚えておいてくださいね。
では、今回はこの辺で。