さそり座は、夏を代表する星座のひとつ。
特に1等星のアンタレスは、真紅に妖しく輝く美しい星。
その美しさに、夏の夜空を見上げる誰もが魅了されます。
そんな、夏にしか見れない
1等星アンタレスを冬に見れる方法があります!
今回は、その方法と理由など、さそり座にまつわる話について書いてみました。
皆様の参考になれば幸いです。
■冬にさそり座のアンタレスを見る方法
実はさそり座は、ある時間になれば空に昇ってくるのです。
それはズバリ、
早朝です!
実は、夏の星座のさそり座は、真冬の2月の中旬から下旬にかけて、早朝に見ることができます。
時刻は、大体午前4時半くらい。
南の空の下の方に見ることができます。
さそり座は下記のイラストのように、
Jの文字または釣り針ような特徴的な形をしているので、すぐわかると思います。
真ん中に光る赤い星が、1等星のアンタレスです。
アンタレスはα(アルファ)星。
輝きも順番も1等星という、まさしく一番星なワケですね。(笑)
まあ、午前4時半は普通の人は眠ってます。
起こされると眠さピークの時間帯。
起きてるのは、漁師や警察官、常駐警備員さん、または新聞配達の人くらいでしょう。
でも、その眠さをおしてでも、冬のアンタレスに見る価値はあると思います。
冬の寒空に妖しく美しく光る真紅の1等星アンタレス。
その赤さに暖かさすら感じるのは私だけでしょうか?
まあ、せっかく早起きしても、
- 空が曇っている
- 雨や雪が降っている
- 建物や看板などの遮蔽物が邪魔
- 周りが明る過ぎる
など、天候や地理的条件が悪いと残念ながら見れません。
そういうことが無いように、あらかじめ自分の地域の早朝の天気予報を調べておくといいでしょう。
Googleなどの検索エンジンで
「天気 ●●●」(●●●は市町村名)
と調べれば出てきます。
とにもかくにも、2月中旬~下旬の、晴れてる日の午前4時半ごろにでも南の夜空を見てみてください。
前述の問題さえなければ、さそり座のアンタレスをきっと見ることができます。
■なぜ冬にさそり座を見ることができるのか?
さそり座は、冬の代表星座のオリオン座と、ほぼ対極の位置にあります。
それはつまり、
「冬の夜空ではさそり座を見ることができない」
ということを端的に表していることになります。
そんなさそり座を、
なぜ冬に見ることができるのか?
その理由は、
厳密には対極じゃない
からです。
実は、オリオン座→さそり座の順番で空に出てくる時間差は、約10時間半程度なんです。
例えば、2月20日前後だと、オリオン座は午後6時半には南の空に出て輝いています。
それから約10時間後、午前4時半くらいになると、オリオン座は完全に西の地平線に沈んで、さそり座が堂々と姿を現します。
実は私が冬の早朝4時半ごろに、さそり座を見ることができたのは実は偶然なんですよね。
私はウオーキングの日課があるので、試しに交通量の少ない安全な早朝に歩いてみたんです。
そしたら、南の夜空に偶然さそり座を見かけました。
その意外性に驚きましたが、とても美しかったです。
まあ、午前4時は時間の定義上、夜とは言えませんが、暗さは夜そのものです。
だから、さそり座を普通に見ることができるんです。
同じ冬でも、12月だと、オリオン座は夜9時くらいにならないと夜空の上の方に上がって来ません。
それはつまり、12月では、さそり座は午前7時以降にならないと空に上がってこないということ。
午前7時は完全に夜が明けています。
というワケで、冬は、太陽の光のせいでさそり座などの夏の星空は見れないのです。
■さそり座の対極、オリオン座は?
さて、ここで皆さん、
じゃあ逆に、
夏にオリオン座は見れるのか?
そう思った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
私自身は、多分難しいと考えていました。
なぜなら、
オリオン座→さそり座
の時間差は約10時間半程度なんですが、
さそり座→オリオン座
の時間差は約12時間半程度もあります。
夏は、ただでさえ日照時間が長いです。
言い方を変えれば、夜が短いんですよ。
ということは、さそり座が午後の夜に出ている夏で13時間も経過したら、完全に朝です。
そう、太陽の光のせいで、オリオン座などの冬の星座が見れないんです。
そういうワケで、夏の夜空にオリオン座を見ることは難しい…
…と考えていました。
でも、百聞は一見に如かず!
実際に確認してみました。
その結果、
見ることができました!
証拠の写真がないのが悔やまれますが、確かにこの目で見ることができました。
冬に偶然さそり座を見ることができたのと同じように、日課の早朝ウォーキング中に偶然オリオン座を見ることができたのです。
日にちは8月27日。
時間的には午前4時40分くらい。
南の空の下の方です。
夜明けが近かったので、うっすらと明るくなっていたのですが、なんとか確認することができました。
雲もそこそこあったので、見れたのは本当に運が良かったと思います。
■さそり座のギリシャ神話
多分、星座が好きな人ならよく知っていると思いますが、一応、さそり座のギリシャ神話について簡単に書いておきますね。
さそり座のサソリは、美青年の狩人オリオンを刺殺した巨大なサソリ。
「自分に敵う動物は地上にはいない!」
と豪語したオリオンに腹を立てた女神ヘラ(大神ゼウスの正妻)が送り込んだ刺客と言われています。
見事にオリオンを仕留めた功績に、ヘラはサソリを空に上げて星座にしたんだそうです。
ここまでが、よく知られているさそり座のエピソードですね。
しかしながら、同じギリシャ神話の中でも、オリオンの死に関しては諸説あります。
そのため、さそり座のエピソードに関しては、オリオン座ができた後に後付された話ではないかと言われています。
その理由として、オリオン座が作られた際、偶然にもさそり座との位置関係が反対側になっていたためです。
そのため、
星座になったオリオンは、今でも自分を殺したサソリが怖くて、さそり座が空に出てくるまでに、すごすごと地平線の下に引っ込んでしまう。
というエピソードが神話として後付されたという解釈です。
エピソードとしては、星座の位置関係を考えると、しっくりきますよね。
でも、元々ギリシャ神話では、オリオンは月と狩猟の女神アルテミスによって殺されている話がいくつかあります。
アルテミスによるオリオンの死の理由は以下の4つ。
- アポロンにそそのかされたアルテミスの弓の誤射。
- 浮気ばかりするオリオンに嫉妬したアルテミスに射殺された。
- 人であるオリオンが神のアルテミスに円盤投げを挑んだため、身の程知らずとして射殺された。
- アルテミスの兄であるアポロンを崇拝し慕う女性オーピスをオリオンが手籠めにしたため、アルテミスに射殺された。
これら4つの死のエピソードに
・サソリに刺されて死んだ。
という新しいエピソードが追加されたようです。
そういうワケで、オリオンの死に関しては諸説ができあがってしまったワケですね。
↓死んだオリオンとアルテミス
まとめると、美青年で浮気者の狩人オリオンは、
サソリか女神アルテミスのどちらかに殺される運命
だったワケですね。
“人間が女神に手を出すと、ろくなことにならない”
そういう教訓みたいなものですね。
さそり座の神話からちょっとズレてしまいましたが、関連のエピソードとして書いてみました。
それにしても、ギリシャ神話に登場する神々は、能力自体は神そのものなのですが、やってることは人間以上に人間臭いですね。
羨んだり、嫉妬したり、ケンカしたり、浮気したり、襲ったり、殺したり・・・。
節操が無い神ばかりです。(笑)
まあ、だからこそ面白いんですけどね。
では、今回はこの辺で。