印を押す道具のことを、
“はんこ“や”印鑑“って言いますよね?
“はんこ“と”印鑑“の違いって一体何なのか?
あなたは疑問に思ったことはありませんか?
今回は、そんな身近なモノである、”はんこ“と”印鑑“の違いについて調べ、わかりやすくまとめてみました。
皆様の参考になれば幸いです。
目次に、既に多少のネタバレあります。(笑)
■”はんこ”と”印鑑”の違い
“はんこ“と”印鑑“の違いは、ズバリ、
- はんこは印(印影)を押す道具
- 印鑑とは公的機関(役所・銀行など)に正式に登録され、公的に認められた印(印影)のこと
です。
そう、はんことは、道具そのもののことで、印章(いんしょう)とも呼びます。
一方で、印鑑は、正式に登録され、
公的に認められた印影のことだったんですね!
印影とは、はんこに朱肉(インク)を付けて押した印のことです。
単にはんこで押した印は、単なる印影。
銀行や役所などの公的機関に登録されることによって、初めて印影は印鑑となるワケです。
つまり、はんこと印鑑は、全く別のモノだったんです!
意外でしたね~!
私たちは、はんこと印鑑を混同し、どちらも同じものとして扱ってきました。
しかし、両者は決定的に違っていたのです!
ん~~、勉強になりました!!
■具体的に印影が印鑑となるには?
はんこと印鑑の違いについてのところで少し触れましたが、印影が印鑑となる条件として、公的機関に登録される必要があります。
公的機関への登録とはどういうことか?
わかりやすい、身近な例えで言うと以下のとおりです。
- 婚姻届の提出
- 離婚届の提出
- 銀行口座開設
- 印鑑登録手続き
こんなところですね。
婚姻届の提出は、実に身近な例ですね♪
婚姻届に押した印は単なる印影ですが、役所に届けて受理されると印鑑になるのです。
公的機関への登録とは、こういうことを指すんですね。
また、印鑑登録というものもあります。
重要な手続きや契約で使うはんこ(実印など)の印影を役所に登録することで、公的な印鑑になります。
一度印鑑登録すると、印鑑証明書を発行することが可能になり、その印が公的に本物であることを証明できるようになります。
印鑑証明が必要になるような手続きは、遺産相続や住宅ローン契約、土地の売買契約など、人生において多額の金が動く際に多くあります。
まだ経験が無い方は、「そういうこともある」ということを記憶に留めておいてください。
■はんこと印鑑が混同されるようになった理由
はんこと印鑑が混同されるようになった理由は、明治時代にまでさかのぼります。
明治時代になると、政府の主導で印鑑登録が行われるようになりました。
主に、ニセモノのはんこを公的手続きに使われるのを防止するためです。
その際に、”印鑑”という言葉が公的に使用され、一般に使われるようになったのです。
しかし、既に”はんこ”という言葉が一般的になっていたため、”印鑑”という言葉の使用に戸惑いや困惑があったことも事実。
そのため、はんこと印鑑の違いがハッキリと伝わらず、混同されるようになり、そのまま現代に至っているというワケです。
はんこの方が印鑑よりも歴史が長かったため、正確に認識されなかったというワケですね。
■はんこの正式名称と由来
はんこは、実は俗称なんです。
はんこには、れっきとした正式名称があります。
はんこの正式名称は印章(いんしょう)です。
印章の由来は、実は古代中国にあります。
古代中国では、はんこのことを印または章と呼んでいたそうです。
それが日本に伝わった際に、”印“と”章“が一つになり、「印章」という言葉が生まれたそうです。
3世紀頃の日本、邪馬台国の時代には、既に金印がありました。
ということは、印章の歴史はもっと古く、更に前の時代からあったのではないかと推測できます。
中国って、色んな意味で日本のルーツだったワケですね。
■”はんこ”と呼ばれる理由
今でこそ定着している”はんこ“という呼び方。
でも何故、“はんこ”と呼ぶのか?
気になりますよね?
その理由は、江戸時代の版画が関係しています。
江戸時代には版画や瓦版(かわらばん)を刷る技術が発達し、それを生業とする職業がありました。
版を使って手動で版画を刷る行為を「版行(はんこう)」と呼びました。
版を使えば、同じ内容のモノを何度も刷ることができます。
それと同じように、印章も、何度も押せば同じ印影をいくつも作り出すことができますよね?
つまり、版行と印章を押す行為は、
当時は「似たような行為」と考えられていたんです。
そのため、版画の版よりも小さな印章のことを、”版“に”小さい“という意味を表す”子“を付け、“版子(はんこ)”と呼ぶようになったそうです。
そして、時代の流れとともに、版子は重要書類などにも使われるようになり、判断や判別という意味を持つ“判“という字を版の代わりに当てはめるようになりました。
そういうワケで、版子は判子という漢字に変化し、現代にまで使われているワケです。
はんこのルーツは江戸時代の版画にあったんですね!
なるほど、勉強になりました!
■まとめ
- はんこは道具そのものを指す
- 印鑑は正式に登録された印影のこと
(押す道具ではない)
- はんこと印鑑が混同された理由は
明治時代の印鑑登録制度が原因
(印鑑の意味が正しく伝わらなかったため)
- はんこの正式名称は印章
- 印章は古代中国から伝わった”印“と”章“が
一つになった言葉
(日本に伝わった後、合体した)
- はんこの呼び方の由来は
江戸時代の版画にあった
(版画の小さいやつだから”はんこ”)
以上、こんなところですね。
はんこと印鑑の違いに、
かなり深い歴史と意味があったとは思いもよりませんでした!
しかし、現実問題として、はんこと印鑑の呼び方は完全に混同されています。
これを是正するのは非常に難しいですね。
何故なら、はんこ=印鑑というイメージが完全に定着してしまっているからです。
実際に、はんこを作ったり売ったりしている業者すらも、はんこと印鑑を混同しているのですから、一般市民が混同するのは無理もないこと。
はんこ=印鑑というイメージの定着を「間違っている」と言って壊すのは、非常に難しい状態と言えるでしょうね。
「もう、混同したままでいいじゃない。」
という人が大多数を占めるでしょう。
私も、それでいいです。(笑)
ただ、「実は違うんだよ」という事実を記憶の片隅にでも覚えておいてもらえれば、それでいいと思います。
では、今回はこの辺で。