ドラマ、映画、漫画など、ケンカをする前のシーンなどで、指をポキポキ鳴らすことがありますよね。
この「ポキポキ」の音は何の音か知っていますか?
実は、この音の正体は、
泡がはじける音
です。
「えっ?泡?!」
「指の中に泡ができるの?!」
と、あなたは驚くかもしれませんね。
でも、本当にそうなんです。
実は、関節を包む軟骨の中には、“ 滑液(かつえき) ”という液体が入っています。
滑液は、その名のとおり、関節の動きを滑らかにする役割があります。
指を曲げる時は、この滑液が間接の軟骨内で動くことで、骨の摩擦の軽減しているのです。
なので、通常では音が鳴ることはありません。
しかし、指の関節を外部から力を入れて強く曲げると、関節の中の滑液中の圧力が変化します。
その結果、
軟骨内の滑液が圧迫されて泡が生じ、
逃げ場が無くなった泡がはじけます。
具体的には、下の画像のようなイメージになります。
↓指を強く曲げると
↓泡が発生し
↓泡がはじける
この泡がはじける音こそが、「ポキポキ」と鳴る音の正体なんですね。
ちなみに、泡の中は気化した滑液のガスが入っていて、弾けると同時に液体化して元に戻ります。
■100年以上前から予想されていたが…
実は、この音がなる仕組みは、100年以上も前から既に予想されていましたが、それをあえて実証しようと試みる人がいませんでした。
何故なら、実害が全くないからです。
しかしついに、この仕組みを科学的に実証した人が現れました。
フランスのエコール・ポリテクニーク研究所の教授、アブドゥル・バラカト氏です。
2018年3月、世界的に有名な科学専門誌に、ポキポキ指が鳴る音の原因を科学的に証明した彼の論文が掲載されました。
彼がなぜこの研究をしたのか?
その理由は単なる興味本位だったそうで、論文のテーマを考えていた学生が「ポキッ」と指を鳴らしたのを見て、「これだ!」と思い、その学生と2人で研究を始めたそうです。(笑)
しかも、この研究成果が発表されても、医学的治療に影響を及ぼすことはありません。
無駄な研究だとわかっていても、未知の謎に挑戦するバラカト氏の姿勢にだけは拍手を贈りたいですね。
なお、指をポキポキ鳴らしても健康には影響無いそうです。
(ただし、痛くなるほどやってはダメ。)
それを自らの肉体で実験した人がいました。
その人はアメリカの研究者でドナルド・L・アンガーさん。
アンガーさんは60年間、左手の指を鳴らし、右手の指を一切鳴らさないという実験を行いました。
その結果、右手の指も左手の指も全く変わらなかったそうです。
(指が太くなるということもなく、関節炎などの症状も一切出なかった。)
彼はこの研究で2009年にイグ・ノーベル賞※医学賞を受賞しています。
(※ユニークな研究に贈られる賞)
研究者のというのは、別の意味で「バカ」じゃないと成果を出せないのかもしれませんね。
私は彼らを、別の意味で尊敬します。
では、今回はこの辺で。