職場や学校の部活動(サークル内)など、
上下関係がある社交の場の中でよく使われる言葉に、
ご苦労さん(ご苦労様)
と
お疲れさま
がありますよね。
普段何気なく使っている
これらの言葉の明確な違いはご存知ですか?
どちらも、相手を気遣い、労(ねぎら)う言葉には変わりはありません。
でも、両者には明確な違いがあるのです。
今回は、ご苦労さん(ご苦労様)とお疲れさん(お疲れ様)の違いについて、わかりやすくまとめてみました。
皆様の参考になれば幸いです。
■ご苦労さんとお疲れさまの違い
違いはズバリ、
言う対象の立場が自分より上か下か
です。
言う相手が目上の人、たとえば、学校の教師や先輩、職場の上司の場合は、
「お疲れさまです。」
などと言い、
逆に、相手が年下(後輩)や教え子、または部下なら、
「ご苦労さん(ご苦労様)」
などと言います。
こんな風に、相手の立場が自分より上かどうかで、言葉の使い方が違うのです。
この違いを知らなかった人は、覚えておくと社会に出てから役に立ちます。
ちなみに、同僚や上下関係が無い知り合いや友人たちに対しても、「お疲れさま」を使う時があります。
それは、相手に親しみやありがたみの気持ちを感じている場合ですね。
■どういう時に使うのか?
「ご苦労さん」の正しい使い方は、下の人間が仕事などの義務を終えた時に上の人間が使います。
例えば、部下が取引先まわりを終えて帰社した際に、上司が部下に対して
「ご苦労さん」
というのが正しい使い方です。
また、「お疲れさま」の場合は、会社の仕事がひと段落したり、一日の仕事が終了した時などに使います。
基本的には同僚や目上に対して使う言葉ですが、上司が部下に対して使っても、もちろん構いません。
“ご苦労さん”を使うよりも、“お疲れさま”と言った方が、むしろ、優しい印象を与えるので、ウケは良いかもしれませんね。(=´▽`=)
まあ、とにかく、どちらの言葉も、
何かが終わった
キリのいいタイミング
で使う言葉ですね。
これがしっかりできる人は、職場や学校などでも、人受けもそこそこ良い人物として評価されていきます。
■言い方の選び方
同じ言葉であっても、言う相手によって言い方を選ぶと悪い印象を与えません。
以下はその例です。
相手が同僚や友人の場合
- 「お疲れさま(でした)」
普通ですね。 - 「お疲れさん」
これも普通です。 - 「お疲れ」
親しい相手以外で使うと印象が悪いです。
相手が上司や年上の方の場合
- 「お疲れ様です(でした)」
普通はこんな感じです。 - 「お疲れ様でございます」
丁寧で完璧!まるで執事のセリフのよう。
相手が部下や後輩の場合
- 「ご苦労」
権威主義を感じます。 - 「ご苦労さん」
普通な感じです。 - 「ご苦労さま」
女性上司のセリフっぽいですね。 - 「お疲れさん」
くだけた感じで親しみやすい印象です。 - 「お疲れ」
言いなれた感じがします。 - 「お疲れさま」
普通な感じですが、低姿勢ですね。
相手が上下関係のない知人の場合
- 「お疲れさまです(でした)」
一番普通でスタンダードです。
こんなところですね。
社会人になると、大体みんなこんな感じで使い分けるようになります。
正しい使い方を知らなくても、周りが正しい使い方をしていれば自然と身につくものです。
知らなかった人は、これを機に覚えるといいでしょう。
■語尾に“です”をつけてトラブル回避
ご苦労さんとお疲れさまの違いや使い方がよく理解できない人は、
語尾に、
“です” や “でございます”
をつければ、とりあえずトラブル回避は可能です。
「ご苦労さんです」
「ご苦労さんでございます」
と、間違って上司に言ってしまったとしても、笑われるか、軽い説教程度で終わります。
まあ、社会人の中には、言葉遣いに厳しい人がいます。
そんな人に当たってしまったら、
軽い説教程度では終わらない可能性もあります。
ですので、「お疲れ様です」で、全部統一するのもトラブル回避策の一つとして良いと言えますね。
■意外と低い、“違い”の認知度
実は、“お疲れさま”と“ご苦労さん”の違いを知らない人は意外といて、人間関係のトラブルの原因の一つになっています。
近年では、投票に来た中年男性に対して、投票所の投票管理者が
「ご苦労さん」
と言ったため、中年男性は激高。
投票管理者を殴ったという事件がありました。
中年男性の言い分を端的に言うと、
「投票管理者の部下でもなんでもないので、“ご苦労さん”などと格下扱いされる云われはない」
とのことでした。
普通はここまでキレる人は珍しいですが、中にはこういう人もいるということです。
こういう時、投票管理者は、「ありがとうございます」とだけ言えば良かったのです。
少なくとも、殴られずには済んだでしょう。
思わぬトラブルに巻き込まれないよう、言葉遣いには気をつけないといけませんね。
■まとめ
- 「ご苦労さん」と「お疲れさま」の違いは
相手の立場が自分より上か下か - 「ご苦労さん」は下の相手に使う言葉
- 「お疲れさま」は上の相手に使う言葉
- 上の者が下の者に「お疲れさま」を使ってもいい
- 「ご苦労さん」を上の者に使うとトラブルに
- 面倒なら「お疲れさまです」で統一
以上、こんなところですね。
二つの言葉遣いの違いと使い方が、これで分かりましたね。
この機会に、「お疲れさま」と「ご苦労さん」を意識して使い分けるといいと思います。
言葉は人間同士の
コミュニケーションの根幹です。
言葉を選ぶだけで、人間関係のトラブルを避けられるなら、これに越したことはありませんからね。
では、今回はこの辺で。