あられ、おかき、煎餅(せんべい)は、お茶請けとして日本に深く浸透して親しまれている和菓子です♪
でも、あられ、おかき、煎餅はどう違うのか?
今回は、そんな素朴な疑問についてチェックし、わかりやすくまとめてみました。
皆様の参考になれば幸いです。
■違いは原材料にあった!
- 「あられ」と「おかき」は、「もち米」を原材料に使っています。
- 「煎餅」は、「うるち米」を原材料に使っています。
つまり、「あられとおかきは同じもの」で、「煎餅は別物」ということになります。
となると、「あられとおかきの違いは何なのか?」と思いますよね?
それについては、次の項目で解説します。
■「あられ」と「おかき」の違い
あられとおかきの違いは、大きさと地域に違いがあります。
◆大きさの違い
- 5cm未満の大きさ→「あられ」
- 5cm以上の大きさ→「おかき」
実は、あられとおかきの大きさについて、明確な基準は無いそうです。
実際に、「5cm未満のおかき」も普通に製造・販売されています。
ちなみに、あられやおかきを製造する業界では、
「5cm以上の大きさのものを『おかき』、5cm未満のものを『あられ』」
という基準を「目安」にし、各企業で暗黙の了解で使っているそうです。
製造に使う機器の部品の基準や大きさが関係しているのかもしれませんね。
でも、商品のコンセプトによっては「5cmという基準が使われない」こともしばしばあるそうです。
◆地域の違い
- あられは、江戸時代以降に関東を中心に広がった呼び方。
- おかきは、平安時代以降、関西を中心に広がった呼び方。
西か東かということになりますが、現在では、どちらも全国的に名前が広く浸透しているので、基準があいまいになっているようです。
原材料は同じなんで、本当に呼び方だけの違いになっているみたいですね。
地域の違いは、それぞれの歴史を紐解くと見えてきます。
あられやおかきの歴史については、以降の項目をご覧ください。
■和菓子の「あられ」の歴史
◆起源
あられの起源は「お餅」と起源が同じです。
お餅は縄文時代に稲作とともに古代中国から伝わりました。
奈良時代では、宮中では五穀豊穣を願って神前に餅を供え、その後、その餅を土器で焙って食していたのが始まりとされています。
平安時代になると、宮中では正月に神様へ鏡餅を供えていました。
その後、鏡開きの日に鏡餅を手で欠いて揚げたり焼いたりして食べていました。
その、鏡餅を割った欠片を「欠き餅」と呼んでいました。
鏡餅を割った欠き餅の中には、かなり小さく割れた欠片ができることがありました。
それを焼いたのがあられのルーツと言われています。
あられがおかきよりも小さいのは、これが理由だからではないかと考えられています。
この風習が民間に広まり、あられとして親しまれるようになったと考えられます。
江戸時代になると、あられは庶民の間にも広く普及しました。
醤油や砂糖などの味付けが加えられ、様々な種類のあられが作られるようになりました。
◆名前の由来
あられの名前の由来は、冬の降る小さな氷粒の霰に似ている形状から名付けられたという説が有力です。
その他にも、「荒々しい」という意味の言葉から転じたという説や、「有明」という言葉に由来するという説もあります。
諸説ありますが、天候の「霰」から取った説が最も有力とみられています。
◆種類
あられには、様々な種類があります。
- 形状:丸型、星型、棒状など
- 味:醤油味、塩味、砂糖味、海苔味など
- 製法:焼き、揚げ、蒸かしなど
現在では、様々な種類のあられが製造販売されており、味・形状ともに多岐にわたっています。
◆季節行事
あられは、ひな祭りや端午の節句など、日本の季節行事には欠かせないお菓子です。
ひなあられは、ひな祭りの時期に供える3色のあられで、厄除けの意味合いがあります。
こんなところですね。
あられは、食文化として日本人の暮らしに深く根付いています。
お茶請けやおつまみとして親しまれているだけでなく、縁起物としても用いられているのです。
■和菓子の「おかき」の歴史
◆起源
おかきの起源は、あられと同様に「お餅」と起源が同じです。
お餅は縄文時代に稲作とともに古代中国から伝わりました。
平安時代になると、宮中では正月に神様へ鏡餅を供えていました。
その後、鏡開きの日に鏡餅を手で欠いて揚げたり焼いたりして食べていました。
その、鏡餅を割った欠片を「欠き餅」と呼んでいました。
これがおかきのルーツと言われています。
その際、小さく割れた欠き餅を焼いたものが、あられのルーツではないかと考えられています。
おかきは、江戸時代になると庶民の間にも広まりました。
当時、米は貴重な食糧でしたが、おかきは餅の切れ端で作ることができたため、庶民にとって身近なお菓子となりました。
◆名前の由来
おかきの名前の由来は、「欠き餅(かきもち)が変化した」という説が有力です。
餅を槌で欠いて作ることから、かきもちと呼ばれ、それがおかきに変化したと考えられます。
◆種類
おかきには、様々な種類があります。
- 形状:丸型、四角型、棒状など
- 味:醤油味、塩味、砂糖味、海苔味など
- 製法:焼き、揚げ、蒸かしなど
現在では、様々な種類のあられが製造販売されており、味・形状ともに多岐にわたっています。
◆食文化
おかきは、お茶請けやおつまみとして親しまれています。
また、贈答品としてもよく用いられます。
現代では、おかきは様々なメーカーから販売されており、味や形状も多様化しています。
お酒のおつまみやお茶請けとして親しまれています。
こんなところですね。
あられもおかきも、ルーツは同じ「お餅」ってことですね。
「じゃあ、煎餅はどうなんだ?」
と思う人もいると思います。
もちろん、次の項目で解説します。(笑)
■和菓子の「煎餅」の歴史
◆起源
煎餅の起源は古く、弥生時代まで遡ります。
当時、穀物を石の上で煎って餅を作っていたのが始まりと考えられています。
その後、奈良時代には中国から製粉技術が伝来し、小麦粉を使った煎餅が作られるようになりました。
◆語源
煎餅の語源は、「煎る」と「餅」を組み合わせた言葉です。
餅を煎って作ることから、煎餅と呼ばれるようになりました。
◆種類
煎餅には、様々な種類があります。
- 原料:米、小麦粉、卵、砂糖など
- 形状:丸型、四角形、棒状など
- 味:醤油味、塩味、砂糖味、海苔味など
- 製法:焼き、揚げ、蒸かしなど
◆製法
煎餅は、生地を型に流し込んで焼いたり、揚げたり、蒸したりして作ります。
味付けは、醤油、塩、砂糖など様々です。
◆食文化として
煎餅は、お茶請けやおつまみとして親しまれています。
また、贈答品としてもよく用いられます。
このあたりは、おかきと同じですね♪
◆歴史的出来事
- 江戸時代:小麦粉を使った煎餅が庶民の間で広く食べられるようになった。
- 明治時代:機械化が進み、大量生産が可能になった。
- 現代:様々な種類の煎餅が開発されている。
◆地域
煎餅は、地域によって様々な特色があります。
例えば、埼玉県では草加せんべい、愛知県ではえびせんべい、福岡県では辛子めんたい風味の煎餅などが人気です。
■あられ・おかき・煎餅の違い まとめ
- あられとおかきは、もち米で出来ている。
- 煎餅は、うるち米で出来ている。
- あられとおかきの起源は同じで、古代中国から伝わった「お餅」。
- あられのネーミングの由来は、氷粒の「霰」の説が有力。
- おかきのネーミングの由来は、割った鏡餅を「欠き餅」の呼び方が訛ったものとされている。
- 欠き餅の小さい欠片を焼いたものが、氷粒の「霰」に似ていたため、「あられ」と呼ぶようになった。
- 煎餅のネーミングの由来は、餅を煎って作ることから来ている。
- 現代では、あられ・おかき・煎餅は、様々な形と味があり、日本の食文化に広く浸透している。
以上、こんなところですね。
あられ、おかき、せんべいは、それぞれ原材料、形状、食感、由来などに違いがあります。
これらの違いを理解することで、それぞれの和菓子をより美味しく味わうことができると思います。
皆さんも、お茶の間であられや煎餅を食べる時に、違いを思い出してみてください。
忘れたら、またこの記事を読んでいただければ幸いです。
では、今回はこの辺で。
【番外編】柿の種、柿ピーは「煎餅」か「あられ」のどっち?
いわゆる「柿ピー」は、「あられ」に分類されます。
理由は以下のとおり。
- 柿の種は、もち米を原料としたあられの一種です。
- ピーナッツは、柿ピーの副材料であり、主材料ではありません。
- 柿ピーは、あられとピーナッツを混ぜ合わせたものであり、煎餅のように生地を焼いたり揚げたりする製法ではありません。
なお、柿ピーや柿の種が三日月みたいに曲がっている理由は、新潟県長岡市にある米菓子メーカの浪花屋さんでのエピソードにあります。
ある時、小判型の煎餅の金型を事故で踏みつぶしてしまい、修復しても元には戻らなかったため、そのまま使用したそうです。
それで出来た煎餅の形が柿の種に似ていたため、「柿の種」という商品名で売り出されたのです。
現代の柿ピーなどが「あの形」なのは、そういったエピソードがあったからなのです。
今でも、形だけはそのまま維持されています。
■参考サイト様