シニカル (cynical) シニック (cynic)
アイロニカル (ironical) アイロニック (ironic)
いずれも、日本語に訳すと
“皮肉”という意味が含まれる単語です。
しかし、これらの単語には明確な違いがあるのです。
今回は、これらの言葉の意味の違いを、使用例や類義語も交えて解説したいと思います。
出来る限りわかりやすく書いたつもりです。
皆様のお役に立てれば幸いです。
■シニカルとアイロニカルの違い
シニカルもアイロニカルも、
日本語に訳すと“皮肉な”という意味になります。
しかし、使われ方が違うのです。
シニカルは、
物事を、皮肉または冷笑的で小バカにした態度や表現をすること
を指しています。
例えば、煌びやかで美しいイミテーションを
「出来の良い偽物」
と言ったりするなど、
毒のある表現がシニカルと言えます。
スネてる表現とも言えますね。(笑)
一方で、アイロニカルは、
事例や状況への皮肉
を指しています。
例えば、
「警察署に泥棒が入るなんて皮肉だね」
「皮肉にも消防士の家が火事になった」
「救急車が事故って別の救急車を呼んだ」
など。
「本来起こってはいけない場所や、起こしてはいけない立場の人に起きてしまった」という状況や事実に対して使われるのがアイロニカルです。
違いをまとめると、
- シニカルは物事を小バカにしている
- アイロニカルは事象や状況を皮肉と言う
- シニカルには毒や悪意が含まれている
- アイロニカルには毒や悪意がない
こういうことになります。
なお、どちらの言葉も、
“現実にある物事に対する皮肉表現“
であることに間違いはありません。
そういう意味では、
シュールやニヒルもシニカルやアイロニカルと類義語と言える
と、私は考えています。
そこで、シュールやニヒルついても
調べて比較してみました。
■シュールやニヒルの“皮肉”
シュールとは、“非現実的”という意味合いでよく使われているようですね。
でも、シュールの本来の意味は“非常に珍しい現実”という意味で、
通常ではありえないけど、実際に起きてしまった現象や状況に対し、皮肉な意味合いを込めて使われます。
例えば、
「一日に三回スピード違反で捕まって、三回とも警察官が同じ人だった。」
など。
こういう、とても珍しいケースに対して皮肉の意味合いを込めてシュールと言います。
ニヒルの意味は、
“虚無的”や“冷淡”など物事に対して無関心で、暗いイメージが重なる態度を表しています。
皆が喜怒哀楽を感じて声や表情に出すような状況の中、
一人だけ無表情で無関心。
「自分とは関係ない」
「何の影響もない」
というスタンスをとり、
何事もなかったかのように振る舞う。
その態度や心の姿勢が、
「起きた状況そのものを皮肉っている」
ように見える。
そういう人のことをニヒルと呼ぶのです。
例えば、
TV番組の企画などで行われる、
いわゆる“ドッキリ”企画ですが、
それで起こった事象に対して無感情で無関係を通し、仕掛け人たちの思惑に乗らない。
思惑に乗らないことで、
相手の行動や考えを結果的に皮肉るのです。
こんな感じの人をニヒルと言います。
現実に起こった事象を認識しているが、それに対して何の感情も関心も出さないのです。
別の例えだと、
お化け屋敷に入っても、驚きも逃げもせず淡々と通り抜けてくる人。
そういう人もニヒルな人と言えなくもないですね。
まあ、ニヒルな人は、
そういうアトラクション自体に
自ら入ることはしないでしょうが・・・。
ちなみに、ニヒルの意味だけに着目すると“クールな人”ともとれます。
が、しかし、クールとは“冷静沈着”であって、ニヒルの無関心や冷淡とは根本的に違います。
状況を冷静に受け止めて分析し、
最善または最良の行動をとるのがクールです。
クールな人とは、
出来が良いすごい人のことです。
■まとめ
- シニカルは毒があり、
物事を小バカ扱いにしている。
- アイロニカルは毒はなく、
事象や状況そのものを皮肉と言う。
- シュールは珍現象や珍事実に対して使う、皮肉を含んだ言葉。
- ニヒルは、起きた事象や状況に流されずに無関心無感情を通し、起きた事象を結果として皮肉る。
こんなところですね。
こうして書いてみると、
類義語であっても明らかに意味と使用方法が違いますね。
言葉の意味を調べるというのは
本当に面白いですね♪
では、今回はこの辺で。