それは一体なぜなのか?
その答えはズバリ、
骨端線(こつたんせん)が消えるから
です!
骨単線とは、骨の少し内側にある軟骨で出来た線です。
↓写真は子供の右ひざの部分です。
身長が伸びるのは、骨単線の軟骨の中で、破骨細胞と骨芽細胞が効果的に働き、骨を少しずつ大きくしていくからです。
破骨細胞は古くなった骨を壊し、骨芽細胞は成長ホルモンをエネルギーにして、骨を以前よりも強く大きく骨を作って成長させます。
よく身長が伸びる成長期の子供の膝関節のレントゲンを見ると、骨端線がハッキリと映ります。
しかし、成人して成長が止まった大人の膝関節のレントゲン写真を見ると、骨端線が全く映りません。
つまり、身長が伸びるのは骨端線があるからであり、骨端線が消えた大人は身長が伸びないのです。
ではなぜ、骨端線が消えてしまうのか?
その理由を専門家の方が語っていました。
お茶の水女子大学名誉教授(当時)の榊原洋一(さかきはら よういち)先生によると、以下のメカニズムで骨端線が無くなるそうです。
- 思春期を迎えると、性ホルモンが分泌されるようになります。
- 性ホルモンには骨芽細胞と破骨細胞を活性化させる効果があります。
(思春期に身長がグッと伸びるのはそのため。) - その一方で、性ホルモンには骨端線の軟骨を収縮させる効果があります
- そのため、骨端線の軟骨が徐々に小さく収縮されていきます。
- 軟骨が収縮すると、その分、骨芽細胞と破骨細胞も減っていきます。
(活躍の場がなくなるため。) - で、最終的に骨端線が消えてしまう。
つまり、性ホルモンの影響で、一時的に身長が伸びるものの、骨端線内の軟骨そのものが小さくなっていく。
だから、大人になる頃には骨端線が無くなっているというワケですね。
なるほど納得です…
が、ちょっと悔しい気もしますね。(笑)
■身長が伸びるメカニズム
身長が伸びるのは、
軟骨の中の骨芽細胞と破骨細胞が効果的に働くから。
- 骨芽細胞は、成長ホルモンをエネルギーにして骨を作り出します。
- 破骨細胞は、骨芽細胞が作り過ぎた骨を処分して形を整えます。
この繰り返しで骨はゆっくりと大きく成長していきます。
特に、足の骨が大きく長く成長することで、身長が伸びていくのです。
大人と子供で等身やプロポーションが違うのは、胴と手足(特に足)が大きく成長するからです。
そして、個人差がありますが、成長期(二次成長)を迎えると身長がグッと伸び、同時に性ホルモンの影響で、徐々に骨端線の軟骨が減っていきます。
骨端線の軟骨が無くなると、骨の成長も止まります。
これが身体的に“大人になった”ということです。
■人によって身長差が出る理由
人によって身長は違います。
同じ環境で育った兄弟(姉妹)でも、身長に差が出ることがあります。
それは、
- 運動量
- 食事の質と量
- 成長ホルモンの分泌量
- 性ホルモンの分泌のタイミング
の違いがあるからだと言われています。
(そのメカニズムは極めて複雑で、素人の手には負えません。)
単なる遺伝だろ?
と思う人もいると思います。
もちろん、それも理由のひとつでしょう。
しかし、生活環境によって、
同じ兄弟(姉妹)でも身長に差がでることは確かなのです。
一般的に、早熟な人ほど身長の伸び率が低いと言われています。
その理由は、
早熟な人ほど、性ホルモンの分泌のタイミングが早い
からです。
よって、人より早い分、骨端線の軟骨の収縮も人より早くなるため、身長が伸びるのが他の人よりも早く止まってしまうことになります。
逆に、20歳くらいまで身長が伸び続ける極端な人もいます。
そういう人は、
- 性ホルモンの影響が人より少ない
- 成長ホルモンが大量に出続けている
- 骨端線の軟骨が減りにくい
という人だと考えられています。
スポーツマンに高身長が多いのは、性ホルモンによる軟骨の減りの量よりも、骨の成長の量の方がかなり多いからなんでしょうね。
全身運動してタンパク質とカルシウムとビタミンをしっかり摂る。
成長期にこれをしっかりやると、高身長になることが多いそうです。
高身長のスポーツマンは、
積極的な栄養摂取を欠かさなかったのでしょうね。
何はともあれ、
大人になると身長が伸びなくなるのは、
骨端線(軟骨)が無くなるから
だということがわかりました。
メカニズムを知って、「なるほど」と思う反面、
「そうだったのか、悔しい~」
と思うのも事実。
しかし、モノは考えよう。
大人になっても身長が伸び続けたら、世の中は巨人だらけになってしまいます。
体がデカけりゃ、食う量も多い。
人類が食糧難に見舞われてしまいます。
なので、大人になって身長が止まるのは、決して悪いことではないのです。(笑)
では、今回はこの辺で。