乳幼児にかかりやすい
突発性の夏かぜ
のこと。
ヘルパンギーナの原因となるウイルスは、エンテロウイルス(コクサッキーウイルスA群など)が主流だが、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスで発症するケースも散見される。
国立感染症研究所によると、発症する人の90%以上が5歳以下の乳幼児であり、1歳代が最も発症報告が多い。
大人の場合は、免疫力が乳幼児よりも高いため、感染しても発症しないケースが多い。
しかしながら、免疫力が低下すると、大人でも発症するケースがある。
温帯気候の日本においては、5月~9月にかけて流行し、7月がピークとなることが多いとされている。
一方で、赤道付近などの熱帯地域では、季節を問わず1年を通して発症している。
ちなみに、ヘルパンギーナ(Herpangina) のネーミングの由来は、angina (ラテン語で「扁桃炎」)に、herp (ギリシャ語で「這う」) を冠したものである。
・ヘルパンギーナの主な症状
夏風邪と言われるだけあって、ヘルパンギーナの諸症状は風邪に似ている。
主な症状は以下のとおり。
- 急な発熱(39℃~40℃)
- 頭痛
- 喉の痛み(咽頭痛)
- 口の中に水疱が出来る(口腔粘膜)
- 食欲減退
- 嘔吐
- 下痢
特に、口蓋、舌、軟口蓋などの口腔粘膜に水疱が出来るのがヘルパンギーナの特徴である。
水疱の大きさは1~5mmほどの小さなもので、周囲が赤みがかっているものが多い。
・ヘルパンギーナの感染経路
ヘルパンギーナは、主に飛沫感染と接触感染(糞口感染)で発症する。
以下のものに触れることで、原因のエンテロウイルスなどに感染する。
- 感染者の飛沫
- 排便
- 分泌物
(感染者の鼻や咽頭からの分泌物) - 周産期の母子感染
(母親から胎児に感染)
妊婦が感染し、おなかの中の胎児に感染するケースもある。
ヘルパンギーナの原因ウイルスは感染力が強いため、徹底した感染予防が重要である。
・潜伏期間
ヘルパンギーナの原因ウイルスの潜伏期間は、2~4日程度。
潜伏期間後に、突発的な高熱(39℃~40℃)が出て、前述の諸症状とともに口腔内に水疱ができる。
・ヘルパンギーナの感染予防
ヘルパンギーナの感染予防には、手洗いの徹底、うがい、マスクの着用が効果的である。
新型コロナウィルス対策用に各地で義務化されたアルコール消毒も有効である。
人ごみを避けるのも有効。
最も有効なのが「感染者に近づかない」ことであるが、感染しているかどうかはわからないので、前述の予防策を実施するのが現実的である。
・ヘルパンギーナの治療法
ヘルパンギーナの治療法は対症療法であり、特効薬やワクチン等は無い。
発熱や頭痛、喉の痛みには解熱鎮痛剤、脱水症状には水分を多く摂取させることで対応する。
水疱がひどい場合は、病院で抗生物質を処方されることもある。
ヘルパンギーナの症状は、ほとんどの場合、1~2週間で自然に治癒するが、重症化すると心筋炎や髄膜炎などの合併症を引き起こす可能性がある。
そのため、症状がひどい場合は、早めに医療機関を受診するのがベスト。
・まとめ
- ヘルパンギーナは乳幼児が発症しやすい夏かぜ
- 1~5歳の乳幼児がかかりやすい
(1歳代の報告例が最も多い) - 39℃~40℃の高熱を発する
- 口腔内に水疱ができる
- その他、頭痛、吐き気、食欲不振、下痢など
- 潜伏期間は2~4日くらい
- 感染経路は飛沫感染・便や分泌物による糞口感染
- 治療法は対処療法のみ
(専用の特効薬やワクチン等は無い) - 大体、1~2週間で自然治癒する
- 症状がひどい場合は早めに病院へ!
とにかく、病院で受診・治療した方が良い。
関連項目
蚊が原因の病気はこれだ!(別サイト)