ジカウイルスに感染することで発症する
ウイルス性の感染症
のこと。
ジカウイルス↓
このウイルスは、1947年にウガンダのジカ森林で発見されたのが最初。
このウイルスに感染したネッタイシマ蚊に刺されることで人間も感染し、ジカ熱を発症する。
“蚊に刺されて感染する”
という点ではデング熱と同じである。
ジカ熱の症状自体は大したことがないが、妊婦が感染すると、
恐るべき影響が
生まれてくる子供に現れる
とされ、世界中から危険視されている。
■ジカウイルスの感染経路
ジカウイルスの感染経路は、大きく分けると三つある。
- ネッタイシマ蚊に刺される
(ジカウイルスに感染した蚊)
- ジカウイルスに感染した人の
血液を輸血する
- ジカウイルスに感染した人と
濃厚な接触(性交など)をする
感染者のほとんどが、ジカウイルスに感染したネッタイシマ蚊に刺されることで感染、発症している。
↓ネッタイシマ蚊
また、輸血で感染する人はほとんどいないとされている。
何故なら、輸血する前に医療機関側が血液検査を行うためである。
検査の際にジカ熱に感染していたら、その人の血液は輸血されことはない。
そのため、非常に特殊な状況下で仕方なく輸血を行ったなどの超レアなケースでしかありえない。
以上のことから、ネッタイシマ蚊に刺されることで感染する人がほとんどである。
しかしながら、
「ネッタイシマ蚊に刺されていない人がジカ熱を発症した」
という報告例があり、その患者がジカ熱発症前に、ジカ熱流行地域に渡航した人と性交渉を持ったという事実が明らかになったことで、
- ジカ熱は濃厚な接触感染でも感染することがある
という危険性が指摘されるようになった。
日本の厚生労働省HPでも、ジカ熱に対して注意喚起されている。
なので、夫婦や恋人の中に、数日中にジカ熱流行地域に渡航した人がいる場合は、接触感染に十分気を付ける必要がある。
■ジカ熱の主な症状と潜伏期間
ジカ熱の主な症状は以下のとおり。
- 頭痛
- 発熱(軽度)
- 倦怠感
- 関節痛
- 発心
以上のように、症状だけ見ると、風邪か、体調が悪いだけともとれるような軽度なものが多い。
また、潜伏期間は3~12日なので、感染しているかどうか発病するまでわからない人がほとんどである。
さらに、発病した時に、ジカ熱にかかったかどうかは、血液検査してみないとわからないという特徴もある。
そのため、“感染している”ことに気づかない人が非常に多いのが現状。
気づかないからこそ、大流行しやすい病気ともいえる。
■ジカ熱の流行地域
↑ジカ熱流行マップ(2016年1月)
ジカ熱の流行地域は、主に赤道周辺の国々。
アフリカやインドネシア、中南米を中心に大流行する傾向にある。
(過去にシンガポールでも発症報告があった。)
特に中南米では、ブラジルやコロンビアなどが大きな割合を占めている。
これらの国々に旅行に行った人で、数日以内に発熱などの症状が出た人は、すぐに病院で検査を受けることをお勧めする。
また、これから渡航する予定がある人は、現地では長袖の衣類でカバーしたり、虫よけスプレーで防御したりして、蚊に刺されないように心掛ける必要がある。
■ワクチンや特効薬はあるのか?
結論から言うと、ジカ熱のワクチンや特効薬は無い。
ジカウイルスの発見自体は、1947年という昔の話なので、ワクチンや特効薬が開発されてもおかしくない時間が経過している。
にもかかわらず、ジカ熱に対するワクチンや特効薬は存在しない。
それは何故か?
それはデング熱と同じ理由で、「顧みられない病気」であるから。
理由を端的に言うと、病状がそれほどきつくなく、“対症療法を施すか、数日安静にしてれば自然に治ってしまう程度の病気”に対しては、「製薬会社がわざわざ大金をかけてワクチンや薬を作らない」というのが理由である。
作ったところで、大きな効果があるワケでなく、見返りも少ないので、わざわざワクチンや特効薬をつくらないのが現状。
崇高な目的がある製薬会社も、“製薬コスト”には目をつぶれないのである。
故に、ジカ熱の治療は対症療法が行われる。
発熱には解熱剤、頭痛には頭痛薬など、各症状に対する治療を施す。
そうすることでも、数日程度でジカ熱は治ってしまう。
「そんな病気にワクチン要るか?」
と問われると、「確かに要らないかも…」という考えに至るのは自然と言えば自然である。
■ジカ熱の予防方法
ジカ熱の予防法はただ一つ、
- 蚊に刺されない
これのみである。
蚊に刺されない方法はこちら(別サイト)
これだけで、ジカ熱にかかる可能性がほとんど無くなる。
あとは、ジカウイルスに感染した人と濃厚接触しなければ良い。
まあ、それを見極めるのは難しいが、ジカ熱発症地域に渡航した人とは、3週間くらいは直接関わらないことで対応可能である。
■ジカ熱と小頭症との関連性
ジカ熱が流行している地域で、
小頭症にかかった赤ちゃんが数多く生まれている
といった報告がある。
小頭症とは、文字通り、頭蓋骨の頭部が通常よりもかなり小さい病気のこと。
コロンビアで約3700人
ブラジルで約4000人
(2016/01/30の時点)
妊婦がジカ熱にかかると、体内の赤ちゃんにも感染し、その結果として赤ちゃんが小頭症になってしまうという症例である。
小頭症の赤ちゃんは、脳の発育に障害があり、肉体の運動機能にも問題が出るといわれている。
妊婦がジカ熱に感染すると、おなかの赤ちゃんが小頭症になるという因果関係について、医学的な根拠は不明であり、現在検証中である。
あくまでも、「そうなんじゃないか?」という疑惑や可能性の段階。
よって、妊婦がジカ熱にかかったからといって、生まれてくる赤ちゃんが小頭症になるとは断言できない。
感染者の差別に繋がらないよう、配慮が必要な事項である。
■日本への流入の危険性
ジカ熱流行地域から日本へ入国してくる可能性は十分ある。
また、日本からジカ熱流行地へ出かけ、現地で感染したまま帰国してくる可能性も十分あり得る。
なので、ジカ熱流行地域にいた人で、発熱などの症状が出た人は、病院で血液検査してもらう方がよいだろう。
ジカ熱は二次感染しにくい病気だが、調べるに越したことはないし、対症療法もやりやすい。
なお、日本ではジカ熱は発生しない。
何故なら、ジカ熱を媒介させるネッタイシマ蚊が日本には生息していないからである。
それゆえに、日本がジカ熱の発生地域になることは無い。
しかしながら、日本には、血を吸うヒトスジシマカが生息している。
このヒトスジシマカがジカ熱感染者を刺してしまったら、ヒトスジシマカもジカウイルスに感染してしまう。
その感染したヒトスジシマカが別の人を刺した場合、ジカ熱を発症する可能性がありえる。
そういう間接的な意味では、日本でジカ熱が発生する可能性は極小ですがあるといえよう。
とはいえ、ヒトスジシマカの行動範囲は最大でも100m位なので、人を刺しまくって爆発的にジカ熱を流行させるようなことはあり得ず、時がたてば、ヒトスジシマカは寿命と気温低下で死んでしまう。
よって、ジカウイルスに感染したヒトスジシマカが、日本でそのまま生き延びたり増えたりすることはない。
■まとめ
- ジカ熱の原因はジカウイルス
- 主な感染経路は 感染したネッタイシマ蚊に刺されること
- ジカ熱流行地域は赤道近辺の国々
(ブラジルとコロンビアで大流行)
- ワクチンや特効薬は無い
- 予防方法は一つ
“蚊に刺されるな!”
- 小頭症の原因になると考えられている
- 日本にはネッタイシマ蚊がいないので
ジカ熱は日本では直接発生しない
(日本のヒトスジシマカがジカ熱感染者を刺すによる間接的感染は極小ながらありえる)
以上。
要するに、蚊に刺されなければいいということ。
何も恐れることはない。
夏以外の気温が低い時期は日本では大丈夫。
春・夏・秋に、郊外など、自然あふれる場所へ出かける際には、長袖長ズボンの衣類を着たり、虫よけスプレーを持参するなどして対応するとよい。
関連項目
蚊が原因の病気はこれだ!(別サイト)