SFTSウィルスに感染し
出血が止まらなくなったり
免疫力が低下する病気
のこと。
主にマダニに刺されることで感染する。
このSFTSウイルスによる感染症は、初発見が2006年(中国)で、SFTSウイルスと特定されたのが2011年。
当時は特定されてから年月が少なかったので、新興ウイルス感染症とも言われていた。
日本では、2012年後期に初の国内のみでの感染者が発見されて以来、次々と感染者が発見されている。
そのため、厚生労働省も注意を呼び掛けている。
■SFTSウイルスの感染源
SFTSウイルスの感染源はマダニである。
フタトゲチマダニやタカサゴキララマダニなどが、主な感染源である。
↓フタトゲチマダニ
マダニは、草むらや山林など、
自然の場所に多く生息している。
家の布団や絨毯、クッションなどに住み着いているイエダニとは種類が全く違う。
3mm程度の大きさで、イエダニよりも遥かに大きい。
ただし、マダニには様々な種類があり、その場でマダニか他の虫かを見分けるのは難しい。
マダニは、血を吸うと、血をお腹に貯めこんで、10~20mm以上に膨れることがある。
そのため、血を吸って膨れたマダニを発見し、マダニと認識することは比較的容易い。
マダニは、本来は犬などの哺乳類動物に取り付いて吸血することで生きている。
しかし、時には人を刺すこともある。
そんなマダニの中でも、
SFTSウイルスに感染したマダニは、殺人ダニと呼ばれて危険視されている。
SFTSウィルスに感染したマダニに刺されると、ウィルスが人間に感染してしまうことがあるからだ。
ただし、SFTSウィルスに感染した人との接触(血液及び体液の交換等)によっても感染するケースがある。
つまり、ダニ→人だけでなく、人(感染者)→人への感染ルートもあるということである。
■SFTSの具体的な初期症状
具体的な初期症状は、
- 高温発熱(38℃以上)
- 嘔吐
- 下痢
など。
主に消化器系の病気の症状が強く出る。
ただし、SFTSウイルスの潜伏期間は6~14日間と長いので、前述の症状だけでSFTSと判断するのはかなり難しいのがほとんど。
結局、病院で検査を受けないと正確に判らないのが現状である。
すぐ治ると思って、痛み止めや胃腸薬を飲んだりして放っておくと、重症化して死亡する可能性がある点が厄介である。
■重症化すると死ぬことがある
SFTSウイルス感染症が重症化すると、
SFTSウイルスによって、
体内の血小板と白血球が大量に破壊される。
血小板とは、けがなどをして出血した時に、出血を止めたり、血管を保持するために存在している。
そんな重要な役目を果たす血小板が減少するということは、
- 出血が止まりにくくなる
- 血管が破れて内出血する
などの危険性が極めて高まるということになる。
白血球は身体の免疫システムの一部で、外部からの侵入者(ばい菌、ウイルスなど)を撃退する機能を持っている。
そんな白血球が減少するということは、体の免疫力が低下するということ。
様々な病原菌などから身体を守ってくれる白血球が少なくなれば、当然、他の病気も併発してしまう危険性が出てくる。
以上のことから、
重度のSFTSになってしまうと、
生命を維持できず
死亡してしまう可能性がある
ということである。
それゆえ、SFTSウイルスを媒介するマダニは殺人ダニと呼ばれ、恐れられている。
まあ、SFTSの発症者のほとんどが、
体力があまりない高齢者とのこと。
免疫力が高い若者がかかることはあまりないが、油断は禁物である。
症状が出たら、
すぐに病院へ行って診てもらう。
これこそが、重症化を防ぐ一番の方法である。
■ワクチンや特効薬はあるのか?
残念ながら、SFTSウイルスに対する
ワクチンや特効薬※はない。
(※抗ウイルス薬のファビピラビルが有効とみられているが、動物への投与実験のみの成果で、人間には未検証。)
なので、対処療法による治療しかできないのが現状である。
故に、SFTSウイルス感染症による、重傷患者の死亡率は30%前後と高い。
医療機関による適切な処置と、患者の生命力によってでしか回復できない。
■SFTSマダニの分布地域
SFTSウィルスに感染しているマダニは、主に以下の西日本の各県で確認されている。
- 兵庫県
- 和歌山県
- 岡山県
- 徳島県
- 広島県
- 高知県
- 愛媛県
- 島根県
- 山口県
- 佐賀県
- 長崎県
- 熊本県
- 大分県
- 鹿児島県
- 宮崎県
しかし、マダニ自体は日本全国的に分布している。
そのため、SFTSに感染したマダニが東海以東の地域に拡大していく可能性は十分にある。
■SFTSの予防方法
SFTSを予防する方法は非常にシンプルで、
- マダニに刺されない
ことだけである。
マダニが生息するような場所、
- 草むら
- 藪
- 山林
など、自然の植物が多く生い茂った場所には入らないことである。
まあ、マダニに刺されたからといって、必ずしもSFTSウイルスに感染するとは限らないが、刺されないに越した事はない。
感染するかどうかは別にして、刺されたら痛いのだから。
マダニに刺されない方法に関しては、詳しくはこちらの記事(別サイト)を参考にしていただきたい。
関連項目
ライム病