デングウイルスに感染して
高熱などを発症するウイルス性感染症
のことである。
デング熱の症状は、40℃以上の高熱、頭痛、全身の痛み、はしかに似た発疹、吐き気、下痢、口や鼻の粘膜からの出血など。
高熱の発症がメインの病気であり、それに付随する形で頭痛、全身の痛み、下痢、発疹なども合わせて発症する。
しかしながら、口や鼻の粘膜からの出血するという症状は稀である。
■デングウイルスの感染経路
デング熱の原因であるデングウイルスは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの藪蚊(ヤブカ)を媒介して感染する。
その点では、ジカ熱と同じである。
具体的には以下のとおり。
1.デングウイルスに感染した藪蚊Aが
人A(未感染)を刺す。
↓
2.人Aがデングウイルスに感染。
↓
3.人A(感染)を別の藪蚊B(未感染)が刺す。
↓
4.藪蚊Bがデングウイルスに感染。
↓
5.藪蚊A(感染)・藪蚊B(感染)が、人を次々と刺す。
あとは、2~5の繰り返しでネズミ算的に増えていき、デング熱が爆発的に流行する。
デングウイルスの感染力は強く、一度刺されただけで即感染する。
また、デングウイルスに感染した人が他人に輸血を行ったりしても感染する。
他には、血液製剤や臓器移植も可能性として考えられる。
ちなみに、蚊自身はデングウイルスに感染しても全く害がなく、一生感染したまま生涯を終える。
「自身は無害で人には有害」という、実に困った仕様である。
日本では数十年発生してなかったが、2014年8月、実に69年ぶりに国内感染が明らかになり、日本のマスメディアで大々的に報道された。
報道の理由は、海外渡航していない女性がデング熱を発症したからである。
その女性は代々木公園内で蚊に刺されたと報告しており、実際にウイルス感染していた藪蚊が発見されたことから、薬剤散布と池の水抜きと消毒が行われた。
また、代々木公園以外のところで蚊に刺された海外渡航歴のない人がデング熱を発症するケースもあったことから、知らず知らずのうちに、デングウイルスに感染した藪蚊が日本国内の各地で発生しており、それが理由で海外渡航していない人がデング熱を発症したとみられている。
■デング熱の潜伏期間と症状
デング熱の潜伏期間は、約4日~7日。
遅くても一週間程度で症状が出てくる
冒頭でも記載したが、デング熱の主な症状は以下のとおり。
- 発熱(40℃以上の高熱)
- 頭痛
- 筋肉痛
- 関節痛
- 皮膚の発疹
- 下痢
- 吐き気
など。
特に発熱が特徴的で、40℃以上の高熱が出る可能性が高い。
しかし、いずれの症状も、重度の風邪やはしかに似た症状なので、血液検査等をしない限り、デング熱だと断定するのは難しい。
また、免疫力や体力のある人は、デング熱だと気付かないまま自然に治癒してしまう場合もある。
■デング熱の死亡率
デング熱は全世界で年間1億人近くが発症し、そのうちの0.5%(約50万人程)が入院するレベルの症状が出ている。
また、感染者1億人のうち、0.025%(25000人)ほどが死に至る。
つまり、デング熱による致死率は非常に低いということである。
入院が必要なほどの重度の症状が出た患者でも、適切な治療を受ければ、ほぼ死ぬことはない。
ただし、粘膜出血や意識混濁など重度発症した患者の場合は、致死率が3割ほど高まるとのこと。
■ワクチンなど予防薬はあるのか?
デングウイルスに対するワクチンには「Dengvaxia」という名前のワクチン1種類のみが開発・販売されている。
(2023年現在)
かつては「顧みられない病気」として扱われていたが、前述のワクチンの開発・発売によって、デング熱への治療法が確立されたため、以前ほどの脅威ではなくなった。
ワクチンの投与方法は、年3回の注射による投与である。
この「Dengvaxia」は弱毒タイプの生ワクチンであり、既にデング熱にかかった人のデング熱への免疫力をさらに高めて治療するという予防薬的な働きをする。
まだ未感染の人に対してを投与すると、かえって重症化リスクが高まる副作用が発生する可能性があるため、投与に関しては制限があり、慎重に行う必要がある。
ちなみに、副作用には、頭痛、注射した部位の痛み、筋肉痛などがある。
重度の副作用では、アナフィラキシーショックが発生するため、危険である。
未感染の人に投与するケースは、その人の生活環境の周囲に感染者が多い場合に予防薬として投与することが多い。
弱毒化した生ワクチンであるが故に、免疫不全の人への使用は推奨されず、加えて、妊娠中の人への投与の安全性は不明である。
■予防方法と治療方法
◆予防方法
予防方法はズバリ、蚊に刺されないことである。
ワクチンや予防接種も無いので、刺されないことがベストとなる。
◆治療法
前述のデング熱ワクチンを投与することで治療することができる。
また、ワクチンが無くても、以下の対症療法によって症状を軽減することができる。
- 経口補水療法
- 静脈点滴
- 輸血
一見、普通の治療法ですが、これらの方法は有効な対症法である。
点滴や輸血は、救急車を呼ぶか病院に行かないとできないが、経口補水療法は自宅でも可能。
ちなみに、経口補水療法とは、食塩とブドウ糖などを水で溶かしたものをデング熱発症者に飲ませる方法である。
レシピは以下のとおり
ブドウ糖13.5g+塩二水和物2.9g+食塩2.6g+塩化カリウム1.5g
(水1リットルあたり)
ブドウ糖を用意している一般家庭には無いと思われるため、市販されている経口補水液を買えば問題ない。
例えば、大塚製薬が発売しているOS-1(オーエスワン)という経口補水液がある。
OS-1はスポーツドリンクの代わりにもなるので、汗をよくかく人、または発熱や下痢で脱水症状が酷い人は、これを飲んで水分補給するとよい。
1本当たり170円弱と少額で購入可能なので、自分でレシピをそろえて作るよりもコスパが良い。
それに、デング熱以外でも使える利用価値が高いドリンクなので、買っておけば、いざと言うとき安心である。
■まとめ
- デングウイルスは藪蚊を媒介して人間に感染する
- デング熱の主な症状は
発熱・頭痛・発疹・吐き気・筋肉痛など。
風邪やはしかに似ている
- デング熱ワクチンは開発・販売されている。
- デング熱は、かつてWHOから
顧みられない病気に指定されていた
- 治療方法はワクチン投与と対症療法
- 予防方法はただ一つ“蚊に刺されるな!”
以上。
高熱を発症したら、とにかく病院へ行くこと。
病院なら、原因がわかり、適切な治療を受けることが可能となるので、とにかく病院へ行くことが肝要である。
関連項目
蚊が原因の病気はこれだ!(別サイト)