食中毒の原因になる細菌の一種
のこと。
リステリア菌は、自然界に広く存在する細菌で、土壌、河川はもちろんのこと、大抵の野外のどこにでもいる。
故に、そこに生息する生物の体内に感染している可能性がある。
もちろん、牛や羊などの家畜にも感染する可能性がある。
2018年4月9日、WHO(世界保健機関)は、オーストラリアから食中毒の原因となるリステリア菌に汚染されたメロンが、日本やマレーシアなど9つの国と地域に輸出されていたと発表した。
当時のオーストラリアでは、
1月以降、リステリア菌に感染した患者が19人いることが確認され、そのうち7人が死亡していた。
この発表を受けて、日本の各マスメディアで“殺人メロン”という言葉が付けられて報道された。
これらの報道によって、リステリア菌という言葉が、当時の大手検索エンジンのキーワードランキングで上位に食い込んだ。
(日本へ輸出されたメロンは洗浄されているため、実際には、菌はほとんど残っていなかったとみられている。)
ちなみに、リステリア菌が原因で発症する(食中毒の)症状は、リステリア症と呼ばれる。
通常の食中毒と違い、急性胃腸炎の症状が出ない。
・リステリア菌の特徴と弱点
リステリア菌には、以下の特徴がある。
- 0℃~45℃程度の間で活動可能。
(つまり、冷蔵庫内の温度~入浴温度でも活動できる。) - 濃度30%程度の高濃度の塩分でも死なない、
高い対塩性がある。 - 30℃~37℃が一番増殖しやすい温度。
(つまり、動物や人の体温が増殖に適している。)
リステリア菌の弱点は熱。
65℃以上の熱で数分加熱すると死滅する。
料理は、65℃以上の温度で数分、煮たり焼いたりして、しっかりと殺菌すれば大丈夫ということになる。
・主な感染経路
人間への感染経路は経口感染がほとんど。
例えば、リステリア菌がついた食材・料理を食べると感染、発症することがある。
リステリア菌は、食べ物の臭いや味を変えないため、口に入れても、リステリア菌がついているかどうかは判らない。
なので、リステリア菌がついた食べ物を、そのまま口にしても気づかない。
症状が出た後、病院で検査してもらって、初めてリステリア菌に感染したことがわかる。
心身ともに健康な成人は、免疫力が正常に働いているので、リステリア菌に感染しても退治されることが多く、ほどんどの場合は発症しない。
しかし、乳児、幼児、妊婦、老人、闘病者など、発症しやすい年代や状況の人もいるので注意が必要である。
・潜伏期間
リステリア症の潜伏期間は、
- 数十時間~数週間
とバラバラ。
リステリア菌の量や人の体調、健康状態など
様々な条件によって左右される。
そのため、発症するまでの潜伏期間は
ケースバイケースである。
・リステリア症の症状
主な諸症状
- 発熱(38~39℃程度)
- 頭痛
- 悪寒
- 嘔吐
また、悪化すると以下の病を発症させる。
- 髄膜炎(最も多いケース)
- 敗血症
- 胎児敗血症性肉芽腫症
- 髄膜脳炎
・発症しやすい人
- 妊婦
- 胎児、新生児、幼児などの幼い子供
- 免疫力が低下している人
(闘病中の人など) - 老人
いずれも、発症リスクが高く、
発祥すると重い症状になることが多い。
・過去に感染原因となった食物
- カマンベールチーズ
- ブリーチーズ
- ナチュラルチーズ
- 生ハム
- スモークサーモン
- コールスローサラダ
- 生乳
- メロン(カット済み)
いずれも、火を十分に通さず、
そのまま食べるタイプの食品ばかりである。