緊急事態宣言とは何なのかわかりやすく解説

緊急事態宣言をわかりやすく言うと、

特別法に基づいて
自由行動を制限する宣言

という意味の言葉である。

いわゆる、非常事態宣言(国家的な危機への対策宣言)のひとつである。

ここでいう特別法とは、「緊急事態の原因への対策のために、特別に作られた法律」のことを言い、原因によって法律と制限内容は様々である。

・新型コロナウイルス対策緊急事態宣言

近年では、2020年4月7日に、新型コロナウイルス対応の特別措置法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)による緊急事態宣言が出され、翌日8日から約1か月間施行されたことがある。
(※2020年3月13日に新型コロナウイルスも同法に含まれるように改正され、14日に施行された。)

この特別法に基づいた緊急事態宣言を出す場合、以下の2つの要件を満たす必要がある。

  • 「国民の生命、健康に著しく重大な被害を与える恐れがある。」
  • 「全国的かつ急速な蔓延で国民生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある。」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、以上の2つの要件を満たしていると考えられたため、緊急事態宣言が出されることとなった。

期限は2020年5月6日までとされた。

しかし、感染拡大の終息の目処が立たないため、政府は期限を2020年5月31日まで延長することを発表した。(同年5月4日)

2020年5月14日、新規感染者が少ない39県への緊急事態宣言の解除が発表された。

2021年1月7日、当時の首相、菅総理大臣が再び緊急事態宣言を発出。
期間は2021年1月8日から同年2月7日までの約1ヶ月間。
Gotoトラベル以降、特に年末年始にかけて新型コロナウイルス感染者が爆発的に増加し、年が明けた2021年、東京都においては1日で2000人を超える陽性患者が出た。
また、全国規模で陽性患者が急増していたため、国レベルでの医療崩壊の危機を鑑み、緊急事態宣言を再度発出することとなった。

・行動の制限

新型コロナウイルス2019に対する緊急事態宣言の場合、行動の制限は、都市封鎖(ロックダウン)のような武力に依存した行動制限ではなく、必要ならば外出も可能で、鉄道や道路などは使用できる。

しかも、破ったとしても、特に罰する規定もない。

「法律に基づいた行動制限の要請」である。

主な行動制限の要請は以下のとおり。

  • 不要不急の外出自粛要請
  • 各施設への休業要請
    (ナイトクラブ・ライブハウス・カラオケ店・学校・塾・商業施設・劇場・展示場など人が集まる施設)

要するに、『三密(密集・密室・密接)をさせない』ための要請である。

しかし、事態の発展規模の大きさによっては、「要請」が「指示」に変わり、更には「命令」となる可能性もある。

・緊急事態宣言の対象地域(2020年)

対象となる都府県は、当初は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県だったが、同年4月10日に愛知県が独自の緊急事態宣言※1、同じく岐阜県が独自の非常事態宣言※1を発出したため、9都府県が緊急事態宣言または非常事態宣言の対象となった。
(※1 4月7日の緊急事態宣言後、急激に感染者が増え始めたため。)

しかし、緊急事態宣言の対象外の地域においても感染者が多く出始めた※2ため、同年4月16日、政府は緊急事態宣言の対象地域を全国拡大することを発表した。
(※2 おそらく、緊急事態宣言の対象地域の潜在感染者が対象外の地域へ行き、感染を広めたと考えられている。)

2020年5月14日、新規感染者が少ない39県を対象に、緊急事態宣言の解除が発表されたため、対象地域は残りの8つになった。

2020年5月25日、緊急事態宣言の全面解除が発表された。

・緊急事態宣言の対象地域(2021年)

2021年1月7日に発出された緊急事態宣言の対象地域は、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県。

しかし、事態を重く見た他府県の自治体から、緊急事態宣言の範囲拡大の要請があったため、同年1月13日に大阪・兵庫・京都・愛知・岐阜・福岡・栃木の7府県が追加され、合計で11都府県となった。

・過去の緊急事態宣言(日本)

過去に日本で発動された緊急事態宣言は以下のとおり。

1941年

  • 12月8日:太平洋戦争開戦。

2011年

  • 3月11日:福島第一原子力発電所事故に対する原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言。
  • 3月12日:福島第二原子力発電所に対する原子力緊急事態宣言。

2020年

  • 4月7日:新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言。
    (施行は4月8日から約一か月間。)
  • 4月10日:愛知県独自の緊急事態宣言。
    (新型コロナウイルス対策)
  • 4月10日:岐阜県独自の非常事態宣言。
    (新型コロナウイルス対策)
  • 4月16日:緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大。
    (期限は5月6日まで。)
  • 5月4日:緊急事態宣言の期限延長を発表。
    (期限は5月31日まで。)
  • 5月14日:新規感染者が少ない39県の緊急事態宣言の解除を発表。
  • 5月25日:緊急事態宣言の全面解除を発表。
  • 7月31日:沖縄県が独自の緊急事態宣言を発表。
    (期限は8月15日まで。)
  • 7月31日:岐阜県が独自の第2波非常事態宣言を発表。
    (期限は8月31日まで。)
  • 8月3日:三重県が独自の緊急警戒宣言を発表。
    (期限は8月16日まで。)
  • 8月6日:愛知県が独自の緊急事態宣言を発表。
    (期限は8月24日まで。)

2021年

  • 1月7日:新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言。
    (施行は1月8日から約一か月間。)

 


関連項目

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