AIMとはどんな物質なのかわかりやすく解説

AIMをわかりやすく言うと、

肥満抑制するタンパク質

のこと。

2011年、当時の東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授の研究チームが発見した。

AIMとは、

Apoptosis Inhibitor of Macrophage

の頭文字を取った略語である。

Apoptosis(アポトーシス)とは細胞死のことで、発見当初は、細胞死を抑える分子としての発見だったため、AIMの名称が付けられた。

しかし、その後の研究で、肥満の抑制や肝細胞癌が除去されやすくするなど、健康長寿につながる効果があることが判明した。

一方で、過度の肥満になると、
AIMは血中に大量に分泌され続けて過剰になる。

AIMが血中に過剰に存在すると、インシュリンの働きを阻害してしまう。
(詳細は後述)

その結果、糖尿病や動脈硬化の原因になってしまうことも発見されている。

その場合は、AIM阻害剤を開発・使用することで、AIMの活動を抑えて糖尿病や動脈硬化を防ぐことができる。
(マウスの実験では成功している。)

以上のことから、

AIMは体に必要な健康長寿物質だが
多すぎてもいけない物質

という“諸刃の刃”的な面がある物質と言うことができる。

しかるに、このAIMのコントロールによって、今後、生活習慣病の根本的な治療法
治療薬が確立・開発されるだろうと大きな期待が寄せられている。

このことから、AIMの発見は、iPS細胞の発見に匹敵するほどの大発見と言われた。

 

・AIMの肥満の抑制効果

AIMには、脂肪細胞内で直接作用し、

  • 脂肪細胞中の中性脂肪の分解
  • 脂肪前駆細胞の成熟の妨害

を行うことで、脂肪細胞を小さくし、肥満を抑制する作用があることが明らかになった。

血中のAIM濃度が低い状態(軽度の肥満)では、AIM自身により肥満を抑制できる。

しかし、肥満が過度に進行し、AIMの血中濃度が高い状態が長期間続くと、逆に体に悪い作用を引き起こす原因になることもある。

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・肝細胞癌を除去されやすくする効果

AIMには、肝細胞癌が除去されやすくする作用があることが判明。

肝細胞が癌化すると、
AIMが癌細胞の表面に集まり、
補体と呼ばれる免疫反応や感染防御などに関与するタンパク質を活性化させる。

その結果、補体が肝細胞癌へ攻撃を開始し、
壊死を引き起こさせて死滅させるのである。
(厳密には、癌細胞に障害を引き起こさせる。)

今後、肝細胞癌を効果的に治療できる手段として
AIMのコントロールによる肝疾患治療&予防方法の確立が期待されている。

 

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・AIMと糖尿病と動脈硬化の関係

AIMには肥満を抑制する効果がある。

しかし、AIMの血中濃度が長期間濃いままだと、動脈硬化や糖尿病の原因になってしまう。

そのメカニズムは以下のとおり。

  1. AIMが脂肪分解を引き起こす際に、遊離脂肪酸が放出され、マクロファージという免疫細胞を呼び寄せる。
  2. このマクロファージが、サイトカインという炎症性物質を発生させる。
    AIMの血中濃度が濃くても短期間なら問題はない。
    炎症性物質の影響が少ないからだ。
  3. しかし、長期にわたってAIMの血中濃度が高くなると、必然的に炎症物質が常時大量に発生している状態になる。
  4. その結果、脂肪組織や全身に慢性炎症が発生するようになり、インスリンの作用障害が起こるようになる。
  5. インスリンの作用障害が起こると、糖尿病や動脈硬化の症状が出てくる。
    これこそが、過度の肥満の人が糖尿病や動脈硬化になる原因というワケである。

以上のことから、逆にマクロファージを呼び寄せるAIMの活動を阻害することで、動脈硬化や糖尿病の発症を阻止できるともいえる。

AIM阻害剤を開発し、投与することで、AIMをコントロールして、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の発症を予防できるであろうと期待されている。

 

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・AIMを増やす方法

同じような年齢で、同じような生活をしているにもかかわらず、太っている人と痩せている人がいる。

それは、AIMの分泌量に差があるからだと言われている。

また、AIMの分泌量は年を取ることで減少する。
(いわゆる老化現象で減る。)

しかしながら、食事などによって、外部から特定の栄養素を取り入れることで、体内のAIMの分泌量を増やすことが可能である。

AIMの分泌量を増やすことができる栄養素は、

ズバリ、DHAである。

DHAは人間に必要な必項栄養素で、脳細胞の活性化や神経の発達に有効な高度不飽和脂肪酸のこと。

DHA青魚に多く含まれ、
サンマサバが代表的な青魚である。

特に、サンマの方がサバよりもDHAを多く含むことが判明している。

そのため、AIMを増やすには、サンマを多く食べることが近道となる。

更に、DHAはビタミンCと一緒に摂取すると、体内に吸収されやすくなる

そこで、サンマを食べる際に、

サンマレモンの汁かける

ことで、DHA+ビタミンCを効率よく摂取することが可能になる。

まあ、この方法は昔から一般的に行われてきた食事法。

効果が判明したのは後からだが、昔からの日本の食生活は、健康の理にかなっていたということができる。

 


関連項目

AIM(曖昧さ回避)


 

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