エボラ出血熱の治療薬の名前
のこと。
アメリカ合衆国のバイオ製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」が開発した抗ウイルス薬である。
実は、エボラ出血熱に対しては、あまり効果的では無かったが、人体に対して安全であることは確認されている。
近年では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも効果があるとして注目された。
2020年5月1日には、アメリカ合衆国においてレムデシビル緊急使用が法的に認められることとなった。
それを受け、日本政府も「特例承認制度」を用いて、レムデシビルの国内使用を同年5月中に承認する方向で動き、5月7日に、厚生労働省はレムデシビルを新型コロナウイルスの治療薬として特例承認した。
・レムデシビルの使用方法
レムデシビルは静脈注射によって人体に投与する。
投与期間は10日程度である。
・レムデシビルの副作用は?
レムデシビルの副作用として、投与した患者の一部に、肝酵素(ALT、AST)の血中濃度の上昇がみられたと言われている。
これは、肝臓の損傷を表しているが、これ以外の何らかの副作用らしき現象も起きているため、本当にレムデシビルだけの副作用なのかどうかは確定的ではない。
また、腎臓の機能も低下する副作用も報告されており、投与は慎重におこなわれなければならない。
・米国でのレムデシビル使用承認までの経緯
元々、レムデシビルは、MERSおよびSARSウイルスを含むコロナウイルスや、フニンウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、RSウイルス、ラッサ熱ウイルスなどの“一本鎖RNAウイルス”に対して効果があることが、動物実験や治験などでの人体への投与によって判っていたため、同じ一本鎖RNAウイルスの新型コロナウイルス(2019-nCoV)にも効果があると考えられていた。
そこで、2020年1月下旬、ギリアド・サイエンシズは中国の医療機関と協力し、レムデシビルを米国初の新型コロナウイルス感染症の患者に投与※したところ、翌日に劇的な効果が表れ、最終的に退院するまでに回復した。
(※コンパッショネート使用による、患者に対する未承認薬の人道的投与。)
また、中国のウイルス研究グループの発表によると、レムデシビルを含む7種類の物質の新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果を調べたところ、レムデシビルの効果が最も高かったという。
その後の2020年4月、米国において、新型コロナウイルス感染症の重症患者53人に対し、レムデシビルをコンパッショネート使用したところ、36人の重症患者に呼吸機能の改善が見られたという。
米国内での新型コロナウイルス感染者の爆発的増大を食い止めるべく、合衆国政府はレムデシビルの緊急使用を承認することとなった。
関連項目