災害派遣精神医療チーム
のこと。
Disaster Psychiatric Assistance Team
のイニシャルを取って名付けられた。
(名称に関しては、DMATに関連して厚生労働省から名付けられた。)
(それによって、過去のDPAT(災害派遣公衆衛生チーム)の略称では無くなった。)
広範囲の自然災害や大規模な事故、またはテロなどが発生後、被災者たちや被害者たちは、不安や恐怖による強烈なストレスによって、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ状態にを発症する可能性がある。
そんな被災者たちの心のケアができるように、特別に教育・訓練された精神医療チームのことである。
DPATは主に、以下の4人で構成されている。
- 精神科医師×1人
- 保健師看護師×2人
- 業務調整員×1人
以上の医療関係者4人でDPAT1チームとなるが、場合によっては、臨床心理技術者や保健師、児童精神科医、薬剤師などが派遣されるケースもある。
DPATは、通信手段・宿泊・日常生活面等の生活基本機能において自立しており、現地のライフラインや交通事情などのあらゆる障害を想定して組織されている。
DPATは、大規模災害等が発生後72時間以内に現場に入り、被災地の自治体が設けた災害対策本部や災害医療本部の指揮のもとで活動する。
具体的な活動内容は以下のとおり。
- 情報収集とアセスメント
(情報の収集と分析評価) - 情報発信
(DPAT活動拠点本部(未設置の場合はDPAT都道府県調整本部)への報告) - 地域の精神科医療機関機能の補完
(外来・入院診療補助、入院患者の搬送支援、物資等の供給マネジメント等の補助)
(精神疾患を持つ被災者の急性反応・症状悪化・再発への対応) - 災害ストレスによる新たな精神的問題への対応
(被災者のストレス反応への予防活動及び普及啓発)
(中長期に発生が予測される精神的不調や精神疾患の予防活動) - 支援者の支援
(被災地域の医療関係者、保健職員、救助隊員、行政職員等に対する助言)
(支援者自身の災害ストレス予防への対応)
以上の活動を、災害時精神保健医療情報支援システム(DMHISS(ディーミス))と情報を共有しながら行う。
DPATの活動期間は約1週間程度だが、必要に応じて、数週間あるいは数か月間活動を続けることがある。
状況によっては、公立病院や精神保健福祉センターにDPATの常設拠点が設置され、被災者(被害者)の長期的な心のケアを行うこともある。
■DPATの発足
2011年3月11日に東日本大震災が発生した際、被災者の心のケアを行うために、全国の自治体や医療機関から数多くの心のケアチームが派遣された。
しかし、専門的に訓練されたチームではなかったため、現地で一定の実績と評価は得たものの、活動内容において、様々な課題を残すこととなった。
そのため、厚生労働省が2014年(平成26年)に活動要領を定めて統一し、全国の自治体ごとに組織されるようになったのがDPATである。
2014年8月の広島土砂災害、2014年9月の御嶽山噴火災害、2016年4月の熊本地震災害などの活動実績がある。
■DPATが派遣されるまでの流れ
DPATは各自治体に組織されているため、各地のDPATへ直接派遣を要請するか、厚生労働省へDPAT派遣を斡旋してもらうことができる。
災害発生
↓
被災地の自治体から他の自治体または厚生労働省へDPAT派遣要請
↓
72時間以内にDPAT先遣隊による調査開始
(DPAT派遣が本当に必要かどうかを精査する。)
↓
DPAT先遣隊による活動拠点本部立ち上げ
(本部の場所は被災都道府県調整本部が指定した場所。)
↓
DPAT本隊が現地入りして活動
以上がおおまかなDPAT派遣の流れである。
関連項目