災害時健康危機管理支援チーム
のこと。
Disaster Health Emergency Assistance Team
のイニシャルを取って名付けられた。
災害時において、医療提供体制の再構築や避難所等での保健予防活動と生活環境衛生を確保するため、情報収集、分析評価、連絡調整等のマネジメント業務を支援するチームである。
くだけた言い方をすると、
クラブ活動をする生徒と顧問の教師の間に立つ敏腕マネージャー
的な存在である。
DHEATは主に、以下の職業で構成されている。
- 保健所職員
- 保健師
- 薬剤師(管理栄養士、獣医師、精神保健福祉士等、適宜に構成)
- 医師(公衆衛生医師)
- 衛生課職員(自治体等所属)
大規模な災害が発生した際、被災地からの要請を受けると、厚生労働省の発令によって速やかに現地に入り、情報の収集・自治体の健康危機管理活動の支援などを行う。
健康危機管理活動は、通常は各自治体の保健所や関連組織が行うが、大規模な災害になると、保健所どころか自治体すらも被災して混乱し、機能しなくなる事態に陥ることがある。
また、災害時には、都道府県の災害対策本部と、市町村(現地)の災害対策本部が立てられ、自治体の各組織や、政府から派遣された支援チーム(DPATやDMATなど)ほか、多数の組織・団体が動くことになる。
しかし、各組織や団体、チームが独自に行動すると、情報が錯綜して、かえって混乱を招いたりして、救助・救援活動に支障が出る可能性が大いにある。
DHEATは、そういった各組織同士に横のつながりを持たせ、必要な情報を分析・評価・連絡調整して、指揮命令系統をスムーズに行うことができるようにする。
それによって、不足資源の調達や調達資源の適正配分を可能にし、
- 医療提供体制の再構築
- 避難所等における保健予防活動と生活環境衛生の確保
を実現して、
「防ぎえた死と二次的な健康被害」
を最小化することを任務としている。
■DHEATができるまでの経緯
東日本大震災や熊本地震時に発生した、指揮調整部門の機能不全や支援資源の有効活用および適正配分の調整の困難があったことを鑑み、災害時専門のマネージメント組織の必要性が問われた。
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2014年(平成26年)1月、全国衛生部長会の専門委員会として、災害時保健医療活動標準化検討委員会を設置・検討がなされた。
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さらに2年後の2016年(平成28年)1月、全国衛生部長会により中間報告及び活動要領案が作成された。
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同月1月28日、DHEAT制度化に向けた検討等を厚生労働大臣に提言し、平成28年度より、国による人材育成・登録を先行実施することとなった。
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そして、2018年7月12日、
西日本豪雨の被災地である岡山県からの要請を受けて、当時の厚生労働省は日本初のDHEAT派遣を実施した。
関連項目