財務、顧客、業務プロセス、人材の学習と成長の4つの視点から経営を分析・評価する管理手法
のこと。
英語の Balanced Scorecard のイニシャルを用いて作られた言葉である。
提唱者はロバート・キャプラン氏(Robert S. Kaplan)と、デビッド・ノートン氏(David P. Norton)の二人。
(共同提唱)
1992年に発表された。
具体的には、BSCは以下の流れの中で機能する。
- まず、KGI(最終目標)を決定する。
- KGI達成のためにCSF(主要成功要因)を設定する。
(CSF=KGIを達成するための最も有効な手段(手法)) - BSCの4つの視点においてCSFを担当部署に実践させる。
(4つの視点=財務、顧客、業務プロセス、人材の学習と成長) - CSFを実践する担当部署ごとに、
KPI(重要業績評価指標)を設定する。 - CSFが機能しているかどうかを
定期的にKPIでチェックする。
(CSFが4つの視点において正しく機能しているかどうか)
上の流れを更なる具体例で表すと、
KGIを「純利益を昨年度より30%アップする」に設定したとする。
そのKGIを達成するために考えられるCSFとして、
- 既成商品で売り上げが低い商品の見直し
- コストカット
- 人気商品の更なる販売促進
などが挙げられる。※
※あくまでも単純な一例です。実際には、もっと精細かつ現実的なCSFが決定されます。
これらのCSFを、
- 財務
- 顧客
- 業務プロセス
- 人材の学習と成長
の視点に当てはめて実践する。
コストカットなら1と3、商品の見直しに関しては2、人気商品の更なる販売促進なら2と4、などのように当てはめ、それぞれの担当部署でCSFに対応した業務を実践させる。
また、担当部署での実践時において、予めKPIを設定しておく。
各部署において、ある程度CSFに対応した業務をさせた後、KPIを実施して、CSFの進歩の程度をチェックする。
以上のような感じで、KGIを求め、BSCを総合的にチェックして企業の業績を評価する。
ちなみに、BSCは2000年代以降、日本の大企業において採用されているようだが、財務、顧客、業務プロセス、人材の学習と成長の4つの視点だけでは企業を管理、評価するには不十分との声もある。
経営学者として高名なピーター・ドラッガーは、自身の著書「The Practice of Management」(日本語版では「現代の経営」)において、
目標を設定すべき領域は八つある。マーケティング、イノベーション、生産性、資金と資源、利益、マネジメント能力、人的資源、社会的責任である。
(現代の経営p84より)
と記述しており、8つもの項目を挙げている。
しかも、「The Practice of Management」は1954年に発行されており、BSCが提唱された1992年よりも約38年も昔である。
どう考えても、ドラッガーの8つ項目の方が精細で現実的な項目が多く、まさしく現代の経営においても参考にすることができる。
経営学者としての“目”は、BSC提唱者よりもドラッガーの方が優れていると言わざるを得ない。
余談だが、2010年初頭に流行した岩崎夏海の小説、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(通称「もしドラ」)には、ドラッガーの経営学の知識が端的かつユーモラスに使用されている。
小難しい経営学の本を読むよりも、もしドラの小説の方が現実的で役に立つかもしれない。
関連項目