家畜用の筋肉増強剤
のこと。
要するに、家畜を早く大きく育てるための成長剤。
人間には基本的に無害であり、
筋肉増強剤のクレンブテロールに効果が似ている。
そのため、筋力増強目的で、
ボディービルダーやアスリート、格闘技などの選手が、ジルパテロールを秘密裏に使用することがある。
もちろん、スポーツ界ではジルパテロールは禁止薬物に指定されている。
2017年8月15日に開催されたWBC世界バンタム級タイトルマッチで、山中慎介選手を破ったルイス・ネリ選手(メキシコ)にジルパテロールの陽性反応が出たため、
「ベルトの行方はどうなるのか?」
と世界的に話題となった。
そのため、ジルパテロールが当時の検索エンジンのキーワードランキングで急上昇した経緯がある。
ネリ選手は当時、ジルパテロールで育てられた牛肉を食べていたため、それが陽性反応として出てしまったと言っていた。
(実際にメキシコでは、そういう家畜の肉が頻繁に料理に使われていた。)
意図的に飲んだ(クロ)か、食肉を食べて反応が出た(シロ)のか判断が難しいが、どちらにしろネリ選手にとっては不名誉なこと。
当人にはグレーゾーンの域を出ない、暗い影を落とす結果となった。
・本来の用途
ジルパテロールの本来の用途は、
牛などの食用家畜のエサに混ぜて使われる。
ジルパテロールが入ったエサを食べた家畜は、普通のエサを食べるよりも早く肉が増えることになるため、一頭あたりの肉の産出量が増える。
つまり、畜産業者にしてみれば、
効率よく食用肉を生産できることになる。
当然、人の口に入るモノを扱うため、
ジルパテロールが人間に無害な薬物であること言うまでもないが、それを使った食肉を食べると、ジルパテロールが体内に蓄積することがある。
その時にドーピング検査を受けると、当然、陽性反応が出てしまうワケだ。
問題は、
「それが許されるケースがあるかどうか」
ということ。
もしも、食肉でジルパテロールが出たのなら問題なしとされるなら、逆に、それを逆手にとってドーピング剤として使用する者が出てくるのも当然。
しかも、後からジルパテロールで育てられた家畜の肉を食べてしまえば、陽性反応が出てもドーピングだとバレないことになる。
どのような理由であれ、
禁止薬物の陽性反応が出たのなら、
全部アウトにするべきである。
あるいは、ドーピングそのものを認めてしまうか。
まあ、人命尊重の観点から、
薬物のドーピングが公式に認められることは無いだろう。