ポピュリズム(英語:populism)の意味をわかりやすく言うと、
政治は民衆の利益になるよう
行われるべきという政治的立場
ということ。
日本語に訳すと「人民主義」または「民衆主義」である。
一方で、政治家が、選挙を優位に持っていこうとするためだけのために、大衆ウケする政策(減税や補助金のバラ撒きなど)を行ったり、希望を持たせるようなマニフェスト(選挙公約)を掲げたりすることも、皮肉を込めて“ポピュリズム”と言うことがある。
その場合の日本語訳は「大衆迎合主義」である。
つまり、ポピュリズムという言葉には、
- 人民主義
- 大衆迎合主義
の二つの意味があることになる。
人民主義の場合は、
政治家の正義性や善性を元に政治が行われる。
しかしながら、大衆迎合主義の場合は、政治家の利己的な思想や主義が元になっていることが多いため、結果的に大衆に利益が還元されることは少なく、後の批判の対象になりやすい。(一時的にはOKだが)
大衆迎合主義の招いた結果として、
かつて存在した日本の民主党の与党台頭と、政治的失敗による野党への下落→分裂が、実にわかりやすい例であると言える。
ちなみに、人民主義の対義語は国民主義(ナショナリズム)。
民主的という意味ではポピュリズムと似ているが、国家の形成に重点を置いている点で異なっている。
・ポピュリズムの語源
ポピュリズムの語源は、
ラテン語のポピュラス(populus)から来ている。
ポピュラスの意味は、人民、民衆。
故に、ポピュリズム=人民主義と訳すのは至極当然のことと言える。
・ポピュリズムの歴史
ポピュリズムの歴史は、アメリカの政治運動から始まる。
かつてのアメリカ(1891年ごろ)には、人民党という政党があり、その政党が行う政治運動をポピュリズムと呼んでいた。
人民党があった頃の19世紀のアメリカは、大企業による独占資本の台頭と貧富の差が激しくなった時代。
政治や法律も、大企業や大富豪、政治家など、権力を持つ者たちに有利なものばかりで、民衆にとって利益にならない不公平な社会になっていた。
そこで結成されたのが人民党(People’s Party)であり、政治は民衆に利益があるように行われるべきという政治運動が展開された。
当時のアメリカの人々(主に南部と西部の人たち)は、自分たちに代わって、権力者たちに政治的・社会的不満をぶつけてくれる人民党を大いに称え、応援した。
そういう経緯もあり、人民党の政治運動は、
政府や大企業などの権力者に対する民衆の不満や反抗心、抵抗心を表す政治運動の代名詞
として、世間一般に広まっていった。
その政治運動の名前こそが、“ポピュリズム”というワケである。
ちなみに、人民党は後に、アメリカの民主党に取り込まれて現在に至る。
民主党の政治基盤が、アメリカの西部や南部に多いのは、当時、西部や南部で人気を博した人民党を取り込んだことも要因の一つと言えよう。
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