てんかんの症状が5分以上連続で続く状態
または
てんかんで意識が戻らないうちに
何度も連続で短い発作が起きる状態
のことを言う。
てんかん (癲癇 英:Epilepsy) とは、脳内の細胞に発生する異常な神経活動によって引き起こされる慢性的な脳内神経疾患のことである。
てんかんの最も顕著な症状は、痙攣(けいれん)やひきつけであり、意識を失うこともある。
てんかんの症状は、神経異常が起きている脳の部位によって様々であり、具体的には以下のとおり。
- 痙攣(けいれん)、ひきつけ
- 頭呆感(ずぼうかん 頭がぼーっとする)
- 意識障害
- ピクつき
- 自動症(無意識状態での徘徊)
- 視覚障害
- 感覚障害
- 腹部違和感
- 精神症状
などがある。
それが、前述のように5分以上症状が続いたり、意識が無いにも関わらず断続的にてんかんの発作が何度も起きる状態になると「てんかん重積」と呼ばれる。
てんかん重積状態が続くと、脳に損傷を与える可能性がある。
脳の損傷によって、意識障害、麻痺、言語障害、知的障害などの後遺症が残ることがある。
近年では、2024年1月16日に亡くなられた芸能人のエスパー伊藤氏の死因が「てんかん重積」によるものだと各メディアによって、2日後の18日に報道されたため、大手検索エンジンにおいて「てんかん重積」のキーワードの検索ボリュームが急上昇したことがあった。
「てんかん」という病名自体は、以前から世間一般には割と浸透していたが、後ろに「重積」という言葉が付いた「てんかん重積」というキーワードは、医療関係者以外にとっては馴染みが無い言葉であったため、ニュースを見た人がこぞって検索したと考えられる。
・てんかん重積発症の原因
てんかん重積発症の原因は以下のとおり。
小児 こども
熱性けいれん、脳炎、脳症、髄膜炎など、主に急性の症状が原因で発症しやすい。
成人 大人
脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎、頭部外傷などが主な原因。
不摂生、不慮の事故や災害や犯罪によって負傷した重度の外傷といった、後天的な要素が挙げられる。
てんかん既往歴のある人
薬の飲み忘れ、睡眠不足、過労、ストレス、月経、感染症などが原因。
既に「てんかん」を患っている人のケースである。
・てんかんの予防
てんかんを予防することは出来ない。
強いて言うならば、「規則正しい健康的な生活をおくる」ことが予防法と言えなくも無いが、完全な予防法とは言えない。
つまり、誰でも発症する可能性がある。
かつては小児が発症する病気と考えられていたが、80歳以上の老人が初めて発症するケースもあり、年齢・性別、世代に関係なく発症する病気であることが判明している。
・てんかんの治療方法
てんかんの主な治療法は「抗てんかん薬の投与」「脳外科手術」「迷走神経刺激療法」(微弱電流を流す)「ケトン食療法」(小児用食事療法)の4つがある。
ほとんどの場合は「抗てんかん薬の投与」で症状が治まる。
主な抗てんかん薬は以下のとおり
(2024年1月現在)
一般名(略号)商品名(*1 一般名の後発品あり)
- フェニトイン(PHT)アレビアチン、ヒダントール
- エトトイン(EHN)アクセノン
- カルバマゼピン(CBZ)テグレトール、カルバマゼピン、*1
- フェノバルビタール(PB)フェノバール、フェノバルビタール、ワコビタール、ルピアール
- プリミドン(PRM)プリミドン
- ゾニザミド(ZNS)エクセグラン、ゾニザミド、*1
- バルプロ酸ナトリウム(VPA)デパケン、デパケンR、セレニカR、バレリン、*1
- エトスクシミド(ESM)エピレオプチマル、ザロンチン
- ジアゼパム(DZP)ホリゾン、セルシン、ダイアップ、ジアゼパム、*1
- ニトラゼパム(NZP)ベンザリン、ネルボン、ニトラゼパム、*1
- クロナゼパム(CZP)リボトリール、ランドセン
- クロバザム(CLB)マイスタン
- ガバペンチン(GBP)ガバペン
- トピラマート(TPM)トピナ、*1
- ラモトリギン(LTG)ラミクタール、*1
- レベチラセタム(LEV)イーケプラ、*1
- アセタゾラミド(AZA)ダイアモックス
- スルチアム(ST)オスポロット
- ピラセタム(PIR)ミオカーム
- スチリペントール(STP)ディアコミット
- ルフィナミド(RFN)イノベロン
- ビガバトリン(VGB)サブリル
- ペランパネル(PER)フィコンパ
- ラコサミド(LCM)ビムパット
引用元:てんかん情報センター
抗てんかん薬が効かない場合、ケースバイケースで外科手術などの他の治療法が合わせて患者に施される。
ちなみに、日本でのてんかんの治療方法については、日本神経学会や日本てんかん協会などといった、複数の組織によるガイドラインがある。
てんかんには専門医がガイドラインに沿って治療にあたる。
・てんかんは完治するのか?
現代の医学では、慢性てんかんは完治できない。
投薬によって、病気の症状が治まった状態である「寛解」になることはあるが、再発する可能性がゼロになるワケではない。
ただし、脳への負傷が原因で発症した一時的なてんかんの場合や、原因となっている脳の部分を切除しても問題ない場合は、外科手術等で治療することで完治することが可能である。
関連項目
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