暖冬とは何なのかわかりやすく解説

暖冬をわかりやすく言うと、

平均気温高い冬

のこと。

ここでいう“平均気温”とは、

30年程度のスパンで見られる冬の時期(12月2月)の平均気温

のことである。

気象庁では、気温の高さについては「低い」「平年並」「高い」の3階級を設けていて、冬の平均気温が「高い」場合は暖冬扱いとなる。

日本は縦に長いので、地域によって気温が大きく違ってくる。
故に、気象庁は日本を北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美の4地域に分けて、各地の平均気温を算出しているのです。

地域別の暖冬の気温の基準は以下のとおり。

  • 北日本:冬の平均気温が0.4℃以上高い
  • 東日本:冬の平均気温が0.3℃以上高い
  • 西日本:冬の平均気温が0.4℃以上高い
  • 沖縄・奄美:常に暖冬

北日本~西日本にかけての基準は0.1℃しか差がないため、大体、北日本が暖冬なら他の地域も暖冬になることが多い。

一方、沖縄・奄美の地域は、基本的に他の日本の地域よりも、一年を通して気温自体が高めなので、常に暖冬扱いとなっている。

ちなみに、暖冬よりも更に高い基準の大暖冬がある。

大暖冬も地域別に基準が設けられており、以下のとおりとなっている。

  • 北日本:冬の平均気温が1.0℃以上高い
  • 東日本:冬の平均気温が1.0℃以上高い
  • 西日本:冬の平均気温が0.9℃以上高い
  • 沖縄・奄美:0.8℃以上高い

・暖冬の原因

暖冬の原因は、地球温暖化やエルニーニョ現象、ラニーニャ現象など、いくつかの要因が考えられている。

地球温暖化による北極海の海氷減少によって、北極海の海氷が減少すると、太陽の熱が吸収されず、地球全体の温度が上がる。

それによって、冬のシベリア高気圧の張り出しが弱くなり、併せて日本での寒冷前線の活動が弱くなるため、冬型の気圧配置が形成されにくくなり、冬の寒さが緩和されてしまう。

その結果、暖冬になりやすくなるとされている。

エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、日本における暖冬に影響を及ぼすと言われているが、その関連性は、まだ明らかになっていない。

近年では、都市化に拍車がかかり、気象観測のための機器を保護している百葉箱を設置している場所である「露場」の近辺にビルが建つことにより、陽だまり効果が発生して、気温の観測結果に影響を与えているという指摘もある。
(※つまり、他の場所の気温は普通なのに、百葉箱周辺の気温だけが少し高くなっていて、結果的に暖冬として観測されてしまうといった影響。)

・暖冬の影響

暖冬は、農業や観光業、交通など、さまざまな分野に影響を与える。

◆デメリット

  • 農業では、冬野菜(大根、白菜など)の収穫量が減少する可能性がある。(暖冬害)
  • 酒、漬物、寒天など、厳寒によって品質を向上させているものは、品質が低下する。
  • 観光業では、積雪量の関係で、スキー場などで雪不足となり、冬の観光客が減少する可能性がある。
  • 雪不足で冬のスポーツイベントが中止になる可能性がある。
  • 野外で氷を使ったイベントなどがやりにくくなる。
  • 春に収穫できる農作物が暖冬の影響で早く育ってしまい、本来の収穫と出荷の時期が狂い、処分しなければならなくなる可能性が出てくる。
  • 寒さ対策グッズや暖房器具が売れにくくなる。
  • 本来冬眠する動物などが冬眠せず、農作物などを荒らす可能性がある。
  • 湿った雪になるため、豪雪地帯では更に積雪量が増大する可能性がある。

◆メリット

  • 平野などでは雪が更に降りにくくなるため、雪による交通事故や公共交通機関の遅延の減少する。
  • 寒さが和らぐため、体調を崩しにくくなる。
  • エネルギー面では、暖冬で冬の光熱費を節約できる可能性もある。

暖冬には、以上のようにデメリットもあればメリットもあるが、我々人間の生活環境へ与える影響は大きい。

特に、農業の農作物への影響は大きいので、農家の経済面への打撃や市民の食生活への影響が予想される。

暖冬になると「過ごしやすくなるかもしれないが、後が怖い」といえるだろう。

 


関連項目

冷夏


 

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