平均気温が低い夏
のこと。
ここでいう“平均気温”とは、
“30年程度のスパンで見られる夏の時期(6月~8月)の平均気温”
のことである。
気象庁では、気温の高さについては「低い」「平年並」「高い」の3階級を設けていて、夏の平均気温が「低い」場合は冷夏扱いとなる。
日本は縦に長いので、地域によって気温が大きく違ってくる。
故に、気象庁は日本を、北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美の4地域に分けて、各地の平均気温を算出している。
地域別の冷夏の気温の基準は以下のとおり。
- 北日本:夏の平均気温が0.5℃以上低い
- 東日本:夏の平均気温が0.3℃以上低い
- 西日本:夏の平均気温が0.2℃以上低い
- 沖縄・奄美:平均気温が0.2℃以上低い
つまり、同じ年でも、地域によって、冷夏になったりならなかったりする。
元々、平均気温が低めの北日本、特に北海道では、冷夏になりにくい傾向にある。
現実的には、近年の日本の夏の気温は全体的に高くなっており、2022年には新しい基準の「酷暑日」※が設定される程なので、例え冷夏といえども体感で感じるのは“暑さ”。
(※最高気温が35℃以上の日)
たとえ平均気温が2~3℃程度低くなったところで、暑いことには変わりがないのが現状。
敏感な人でも、「まあ、少しはマシ」という程度に留まる。
・冷夏の影響
冷夏は単なる気温の変化の結果だが、それでも確実に様々な影響が出る。
具体的には以下のとおり。
- 農作物の出来高
- 夏物衣料の売れ行き
- エアコンなどの冷房機器の売上げ
- アイスクリームなどの氷菓子の売上げ
- ビールの売上げ
- その他、冷し系グッズの売れ行き
特に、農作物の出来高は深刻。
農作物は気温の影響を受けやすい。
冷夏の影響で、本来供給される農作物の数が大幅に減ると、市場に出回る数も減る。
そうなると、農作物が高騰するため、各家庭の財布の紐が固くなる。
また、暑いというだけの理由で普通に売れていた、夏用の衣料品や飲食物、冷房器具なども、冷夏の所為で売れ行きが伸び悩むことになる。
以上のことから、消費が全体的に落ち込むため、経済の停滞が起こる。
すると、酷いケースだと、秋には倒産に追い込まれる企業も出てくるかもしれない。
冷夏ひとつとっても、決して無影響なワケではない。
・冷夏の方が丁度いい?
冷夏の本来の影響は深刻。
しかしなら、冒頭の方で前述したように、近年の日本の夏の気温はとても高い傾向にある。
熱中症やクーラー病など、真夏特有の病気が発生するケースが初夏でもふえているほどだ。
よって、冷夏になったとしても、経済的に深刻な影響が出るほどの域には達しないとも予測できる。
要するに、
「少し冷夏なったほうが、農作物や経済に影響が出ない、丁度いい夏の暑さになる。」
のではないかと思わされることも度々ある。
何事もほどほどが一番なのである。
関連項目