「資源の採取→製品の製造→廃棄」
という一方通行型の経済モデル
のことを言う。
英語の別の言い回しでは、「Take-Make-Waste」と呼ばれている。
具体的には、以下の流れで経済活動が行われる。
- 資源の採取: 鉱物、木材、石油などの天然資源を採掘・伐採・採取。
- 製品の製造: 採掘された資源を加工し、製品を製造。
- 消費: 製造された製品を消費者が購入し、使用する。
- 廃棄: 使用済みの製品は、時が経つと廃棄される。
このモデルは、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提としており、以下の問題点を抱えている。
- 資源枯渇: 資源の採掘速度が、自然界での再生速度を上回っているため、将来的に資源が枯渇する可能性がある。
- 環境汚染: 資源の採掘や製品の製造・廃棄過程で、環境汚染が発生する。
- 廃棄物問題: 廃棄された製品は、処理が追いつかず、不法投棄などの環境問題を引き起こす可能性が高い。
■リニアエコノミーの問題点
リニアエコノミーの問題点は、主に以下の3つが挙げられる。
1. 資源枯渇
リニアエコノミーでは、製品を製造するために大量の資源が必要となる。
しかし、地球上の資源は有限であり、このままのペースで資源を採掘し続けていくと、将来的に枯渇する可能性がある。
特に、鉱物資源や希土類元素などの希少資源は、枯渇が懸念されている。
これらの資源は、電子機器や自動車などの製造に不可欠であり、枯渇すれば経済活動に大きな影響を与えることが予想される。
2. 環境汚染
資源の採掘や製品の製造・廃棄過程で、様々な環境汚染が発生する。
- 大気汚染: 工場や自動車から排出されるガスによって、大気汚染が発生する。
大気汚染は、酸性雨や光化学スモッグなどの原因となり、呼吸器疾患や心疾患などの健康被害を引き起こる。
- 水質汚染: 工場排水や生活排水によって、水質汚染が発生する。
水質汚染は、生物多様性に悪影響を及ぼし、飲料水や農業用水の不足を引き起こす可能性がある。
- 土壌汚染: 廃棄物や化学物質によって、土壌汚染が発生する。
土壌汚染は、農作物の汚染や地下水汚染を引き起こす可能性がある。
3. 廃棄物問題
リニアエコノミーでは、使用済みの製品は廃棄される。
モノによって廃棄されるまでの時間が異なるが、どの製品も、いずれは廃棄される時が来る。
しかし、廃棄物の処理が追いつかず、環境問題を引き起こしている。
- 埋め立て処分: 廃棄物の多くは、埋め立て処分されている。
しかし、埋め立て処分場は有限であり、将来的には容量が不足することが懸念される。
また、埋め立て処分された廃棄物から有害物質が流出するリスクもある。
- 焼却処分: 廃棄物のの一部は、焼却処分されている。しかし、焼却処分によって、大気汚染が発生してしまう。
- リサイクル: 廃棄物の一部は、リサイクルされている。
しかし、リサイクルできる廃棄物の量は限られており、多くの廃棄物は処理されず、処理場の敷地内に保管されているのが現状である。
■リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ
リニアエコノミーの問題点を解決するために、近年注目を集めているのが、サーキュラーエコノミー(循環型経済)である。
サーキュラーエコノミーは、「Take-Make-Use-Remake」と呼ばれる、「資源の採取→モノづくり→利用→再生」という循環型の経済モデルで、具体的には、以下の取り組みが推進されている。
- 製品のライフサイクルを延ばす
製品を長持ちさせたり、修理しやすい設計にすることで、廃棄量を減らすことができる。 - リサイクル・アップサイクルを促進する
使用済み製品をリサイクルしたり、アップサイクルして新たな製品に生まれ変わらせることで、資源の無駄な消費を抑えることができる。 - シェアリングエコノミーの活用
製品を所有するのではなく、必要な時に必要なだけ利用するシェアリングサービスを活用することで、資源の効率的な利用が可能になる。
■リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーの比較
リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーを比較すると、以下のようになる。
項目 | リニアエコノミー | サーキュラーエコノミー |
---|---|---|
資源の流れ | Take-Make-Waste | Take-Make-Use-Remake |
考え方 | 一方通行型 | 循環型 |
目指すもの | 経済成長 | 持続可能な社会 |
問題点 | 資源枯渇、環境汚染、経済格差 | 問題点を解決可能 |
具体的な取組み | 大量生産・大量消費 | 製品設計の段階からの配慮、製品寿命の延長、廃棄物からの資源回収 |
■リニアエコノミー まとめ
リニアエコノミーは、資源枯渇、環境汚染、経済格差などの問題を引き起こしている。
これらの問題を解決するためには、サーキュラーエコノミーへの転換が必要不可欠である。
サーキュラーエコノミーは、企業にとっても、消費者にとっても、そして地球にとってもメリットのある経済モデルである。
今後、ますます多くの企業や地域でサーキュラーエコノミーの取り組みが推進されることが期待されている。
■関連項目
■参考サイト様
新電力ネット
IDEAS FOR GOOD
SANIPAK