小選挙区で当選した人と
落選した人との票の差の比率
のこと。
この惜敗率が高ければ高いほど、当選した人との得票数の差が少ないということになり、
「惜しくも敗れちゃった率が高い」
ということになる。(苦笑)
故に、惜敗率という言葉になっているワケである。
惜敗率が高ければ高い程、「有権者から強く望まれてたけど負けた人」ということになる。
ちなみに、惜敗率の算出方法は、
- 落選者の得票数÷当選者の得票数×100
で、単位は%である。
なお、この惜敗率は、
比例代表で当選するかどうかのバローメーターとしても使われている。
詳細は後に記載するが、要するに、
- 惜敗率の高さで比例代表の当選者を決める
ということである。
・比例代表で惜敗率を使う理由と仕組み
惜敗率は、「落選候補者がいかに有権者に望まれていたか」のバロメーターであり、例え小選挙区で落選したとしても、有権者に望まれていたという点では当選者と変わらない。
そのため、日本の衆議院の総選挙では、小選挙区比例代表並立制をとることによって、候補者個人と政党の両方で票を集め、惜敗率が高い人にも再度当選のチャンスが来るようにしている。
小選挙区投票と比例代表投票の違い
小選挙区投票は候補者個人への投票で、比例代表投票は政党への投票のこと。
つまり、小選挙区と比例代表の両方で立候補することができる。
両方とも立候補する人のことを重複候補者という。
重複候補者と拘束名簿
また、政党は、比例代表の候補者の当選の順番を決めることができ、その順番が書かれたリストを「拘束名簿」と言う。
比例代表で政党に票が集まると、拘束名簿に書かれた順番どおりに当選者が決まる。
普通は、1番2番3番・・・と順序通りに当選者が決まっていく。
しかしながら、現実には順番が重なる重複候補者が必ず出てくる。
なぜなら、この拘束名簿の順番を決めるのは、政党側の自由裁量に任されている。
極端な話、
「比例代表の候補者全員、順番は1番!」
ということも決めることが可能である。
(実際には、そんなことは無いが。)
つまり、重複候補者の拘束名簿上の順番を意図的に同じにしているワケだ。
なぜ、そんなことをするのかというと、重複候補が多ければ、その分、該当の選挙区において党としての議席獲得の確率が増えるからである。
では、同じ順番の重複候補者のうち、当選する人はどうやって決めるのか?
それを決めるバロメーターこそが惜敗率である。
惜敗率で当選者を決める
政党では、拘束名簿において、
- 重複候補者のうち、
惜敗率が高い人から順に当選する。
と決められているのである。
惜敗率が高いほど、落選したにせよ、その候補者に対する投票数が高かった(国民に望まれていた)ということなので、惜敗率の高さ順で、比例代表の重複候補者の中から選ぶのは当然である。
以上が、比例代表で惜敗率が使われる理由と仕組みである。
・惜敗率が低いと落選することがある
なお、各選挙区において、どんなに得票数が多くても、別の選挙区の得票数が低い重複候補者に惜敗率で負けると、その人に議席を獲られて負けてしまうこともある。
例えば、A選挙区で20万票獲得し惜敗率が80%の重複候補者Aと、B選挙区で16万票獲得し惜敗率が92%だった重複候補者Bが、党の拘束名簿で同じ順番だった場合、重複候補者Aは惜敗率でBに負けているので、同じ政党でありながら比例代表で落選してしまう。
候補者Aは、候補者Bよりも4万票も得票数が多いにも関わらず、惜敗率がBよりも低いため、同じ政党に所属しながらも比例代表で落選してしまう。
そういったデメリットも孕んでいるのが惜敗率である。
ちなみに、小選挙区で落選した人が比例代表で当選することを復活当選という。
しかし、復活当選するための条件として、
「小選挙区で有効投票数の10%以上を獲得している」
という決まりがある。
つまり、惜敗率がそこそこ高くても、小選挙区での有効投票数が9%以下の場合は、比例代表で復活当選することは無いのである。
TVなどで選挙の開票速報を見る際には、必ずしも、惜敗率の高さで比例代表で復活当選が決まるワケではないということを頭に入れておく必要がある。
関連項目