エルニーニョ現象とラニーニャ現象の違いをわかりやすく解説

ニュースの報道で、たまに聞くことがある、エルニーニョ現象やラニーニャ現象という言葉。

気象に関する言葉であることは何となくわかるのですが、言葉の意味を本当に分かっているかどうか考えると…。

微妙なところの人が結構多いんじゃないかと思います。(苦笑)

そこで今回、エルニーニョ現象とラニーニャ現象の違いついて、それらの言葉の意味や、気候現象としてどんな影響があるのかをチェックしてみました。

皆様の参考になれば幸いです。

 

■エルニーニョ現象とラニーニャ現象の違い

エルニーニョ現象ラニーニャ現象の違いをわかりやすく言うと、

赤道上太平洋の海水温が、「平年より高くなる低くなる」の違いです。

海水温が高くなる方を「エルニーニョ現象」、低くなる方を「ラニーニャ現象」と言います。


エルニーニョ現象ラニーニャ現象のイメージ画像

出典:国立環境研究所


これらの現象は、大気の循環パターンにも影響を及ぼし、世界中の気候に大きな変化をもたらします。

どちらの現象も、地球の大気と海洋の相互作用によって引き起こされ、世界各地で異常気象を引き起こす可能性があるので、警戒の対象となっています。

異常気象が発生すると、自然災害や農業、漁業、水資源などへの影響を及ぼす可能性があります。

そのため、これらの現象の発生予測や影響評価が重要となっていますが、残念ながら、そのメカニズムは未だに完全に解明されていません。

近年の地球温暖化現象も、エルニーニョ現象やラニーニャ現象の発生に影響を与えていると考えられています。

また、海水温が上下するため、海洋生態系にも大きな影響を及ぼします。
海洋温度の変動により、魚類や海洋生物の生息地が変化し、生態系のバランスが崩れる可能性があります。

更に、異常な海水温度上昇は、サンゴ礁の白化現象を引き起こす恐れもあります。

 

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■エルニーニョ現象とは?

エルニーニョ現象とは、太平洋上の赤道域の日付変更線付近から南米沿岸(ペルー沖)にかけて、海面温度が平年より2〜3℃高くなる気候現象で、約1年ほど持続します。

具体的には、エルニーニョ現象が起きると、太平洋上の東風が弱くなるため、西風の強さが高まり、西側に貯まっていた暖水が太平洋の東側に広がります。


出典:気象庁

そのため、通常よりも東側に離れた海域で積乱雲(雨雲)や低気圧が発生しやすくなります。

その発生した積乱雲や低気圧によって台風が平年よりも多く誕生し、平年よりも距離のある位置から台風が発達しながらアジア方面(インドネシアなど)やオーストラリアへやってくるため、甚大な被害をもたらすことになりかねません。

例えば、通常乾燥地域であるオーストラリア北部では、エルニーニョ現象の影響で降雨量が増え、洪水が発生することがあります。

一方、東南アジアやインドなどの一部の地域では、乾季の期間が延び、農業に深刻な影響を及ぼすことがあります。

さらに、エルニーニョ現象は世界の気候パターンを変えるため、ハリケーンや竜巻の頻度や強度にも影響を与える可能性があります。

 

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■ラニーニャ現象とは?

ラニーニャ現象とは、エルニーニョ現象の逆で、太平洋上の赤道域の日付変更線付近から南米沿岸(ペルー沖)にかけて、海面温度が平年より2〜3℃低くなる気候現象で、エルニーニョよりも期間が長く、約2~3年継続することがあります。

具体的には、ラニーニャ現象が起きると、太平洋上の東風が強くなるため、西風が弱まり、同時に東側の冷水が太平洋の西側に流れ込む形になるため、暖水が太平洋の西側(インドネシアなど)に集まるようになります。


出典:気象庁

そうなると、アジア側に近い位置で積乱雲や低気圧が発生しやすくなるため、アジア近辺では降水量が増大します。

多すぎる雨は、農作物に甚大な被害をもたらし、集中豪雨による河川の決壊、洪水発生などの災害を引き起こす可能性があります。

一方で、オーストラリアのような乾燥地域は、降水量が更に減るため、水不足による生活用水や農業への影響が甚大になる可能性があります。

また、ラニーニャ現象は、エルニーニョ現象と同じように世界の気候パターンに影響を与えるため、ハリケーンや竜巻の頻度や強度にも影響を与える可能性があります。

 

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■エルニーニョ現象やラニーニャ現象への対策

◆メカニズムの解明

エルニーニョ現象やラニーニャ現象のメカニズムを理解することは、将来の気候予測や対策に重要です。

さまざまな科学分野の専門家が連携し、海洋学、気象学、気候学、地球物理学などの研究を進めています。

さらに、衛星観測や海洋観測、気象モデルの改善など、最新の技術を活用してデータを収集し、解析しています。

エルニーニョ現象やラニーニャ現象のの理解を深めるため、研究者たちはさまざまなアプローチを追求しています。

海洋観測船やブイの設置による海洋データの収集、衛星データの解析、気候モデルの開発と改善などがその一環です。

これらの研究努力によって、エルニーニョ現象やラニーニャ現象の予測精度が向上し、関連する災害や気候変動への対策がより効果的になることが期待されています。

◆国際的な協力

国際的な協力もエルニーニョ現象とラニーニャ現象の理解や対策において不可欠です。

気象衛星や観測網のデータ共有、研究者や専門家の情報交換、国際的な会議やワークショップの開催など、異なる国や組織の間での協力体制が整えられています。

これにより、より包括的な視点から両現象を研究し、より効果的な対策を打つことができるでしょう。

また、世界各国が、気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ協定を遵守することも重要なステップです。

◆農業の対策

エルニーニョ現象やラニーニャ現象による降雨や乾燥の異常な変動は、農業に深刻な影響を与える可能性があります。

農家や農業関係者は、両現象に対応するための適応策を検討する必要があります。

例えば、水管理の改善や灌漑システムの導入、異なる品種の選択、作物の多様化などが考えられます。

◆水資源管理による対策

エルニーニョ現象やラニーニャ現象による降雨の変動は、水資源管理にも影響を及ぼします。

適切な水資源管理策の開発と実施が必要です。

これには、貯水池やダムの建設、地下水の保全、浄水場や排水システムの改善などが含まれます。
さらに、水の節約と効率的な利用方法も重要です。

◆災害対策管理

エルニーニョ現象やラニーニャ現象による気象変動は、洪水やハリケーンなどの気候関連災害のリスクを高めることがあります。

各地域の災害対策管理を担当する機関は、予防措置や緊急対応計画の策定に力を入れる必要があります。

住民への適切な情報提供や避難計画の普及、建築基準の強化などが含まれます。

◆サステナブルな環境保護

エルニーニョ現象やラニーニャ現象の影響を最小限に抑えるためには、環境保護と持続可能な開発の重要性を認識する必要があります。

森林保護、生態系の回復、二酸化炭素(CO2)の排出削減など、気候変動に対する取り組みが求められます。

また、持続可能な開発の推進により、地域の強靭性を高め、両現象による影響を軽減することができます。

 

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■まとめ

エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、地球規模の気候変動のメカニズムのひとつです。

その影響は気象、海洋生態系、農業、水資源など多岐にわたります。

対策としては、監視と予測、農業対策、水資源管理、災害管理、環境保護と持続可能な開発、国際協力などが必要です。

地球規模の課題であるため、個々の努力だけでは解決が難しいため、国際社会全体の協力と取り組みが不可欠です。

私たちは、エルニーニョ現象やラニーニャ現象の影響を理解し、持続可能な未来を築くための対策を考え、積極的に取り入れていく必要があります。

では、今回はこの辺で。

 

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