このページには、ドラマ世にも奇妙な物語 ’20 夏の特別編 #1「しみ」のあらすじが書かれています。
ネタバレがありますので、まだ本作を観たことが無い人は読まない方がいいと思います。
それでも読みたい方は、ネタバレがあることを納得の上で、全て自己責任でお読みください。
■#1 しみ あらすじ
●プロローグ
黒いスーツを着込み、サングラスをかけたストーリーテラーがゆっくりと語る。
「皆さん、こんばんは。皆さんは、思ったことはありませんか?」
「『あの失敗さえなければ』とか、あるいは『あの時、別の選択をしていれば…。』とか…」
「人生は、後悔が尽きません。」
ストーリーテラーは、ゆっくりと椅子に腰かける。
目の前には、小さなテーブルと紅茶の入ったカップが置かれている。
「あちっ!!」
カップは下に落ちて、砕け散った。
「そんな時、タイムマシンに乗って、もし過去に戻ることができたとしたら…。」
砕けたカップがあっという間に元に戻り、ストーリーテラーの手元に戻ってくる。
それをゆっくりとテーブルに置き、こう続けた。
「タイムトラベルには、“親殺しのパラドックス”という問題があります。タイムマシンに乗って過去の世界へ行き、子供を持つ前の自分の親を殺したらどうなるのか?」
「自分は生まれることなく、この世に存在しなかったことになる。存在しなければ、タイムマシンに乗って、過去に行くこともできず、親も殺すことができません。…というパラドックス、矛盾が生じます。」
「今宵、奇妙な世界へ迷い込んだ4人の主人公…もし、過去を変えることができたとしたら…彼らは、奇妙な世界に迷い込むことは無かったのでしょうか…?」
●あらすじ本編
三浦あずさ(広瀬アリス)は、とあるクリーニング店「クリーニング ミウラ」で働く店員で、クリーニング店の一人娘だった。
働き者のあずさは、友人の葬式に出かけた両親に代って店番をしていた。
仕事がひと段落したところで、座って休憩すると、あずさは頭痛に襲われた…。
── そこへ、黒ずくめの服装をした妖しい雰囲気の謎の女がやってきた。
そのクリーニング店の一人娘である三浦あずさ(広瀬アリス)は、シャツに付いたチョコレートのしみを落として欲しいと彼女から頼まれ、快く引き受けた。
その夜、仕事熱心なあずさは、しみをキレイにとってしまおうと、技術を駆使してアレコレやってみたのだが、しみは一向に取ることはできなかった。
翌朝、まったく落ちないしみについて両親に相談し、お客様に諦めてもらうことにした。
あずさがしみを確認すると、心なしか、昨夜よりしみが大きくなっているような気がした。
かかれた電話番号に連絡しても、現在使われていない番号であり、客の名前は何故かにじんでいるものの七峰と読むことができた。
父親の五郎(宮川一朗太)にきいても、誰なのか知らないという。
夜、携帯電話を探して2階から降りてきたあずさは、仕事場で携帯を見つけ、戻ろうとした。
その時、あのシャツが気になって見てみると…なんと、しみが巨大化し、シャツの大部分を覆っていた!
しかも、しみの形は、苦しんで叫ぶ人の顔のような感じだった。
驚いて両親にシャツを見せると、五郎は何かを思い出し、激しく後悔しているようだった。
あずさが気になって問い詰めても、父は知らないの一点張りだった。
母親の康子(山口香緒里)も、質の悪いイタズラと断じたが、何かを隠しているようだった。
次の日、外出から帰ってくると、黒ずくめの女が店の前に立っており、「今日もいい天気ですね」と言い残して去っていった。
家に入ると、五郎が倒れていた。
近くには、はさみと切られたシャツが落ちていた。
五郎は、シャツに付いた不気味なしみを切り取って捨ててしまおうとしていたらしい。
苦しむ五郎のお腹には、あの不気味なしみが浮かんでいた。
「あのしみさえ、消えてくれれば…。」
これが五郎の最期の言葉となってしまった。
救急車を呼んだが間に合わず、五郎は帰らぬ人となってしまった。
父の言動や死に方から、あずさは両親が何かを隠していると思い、母を問い詰めた。
すると、母の口からとんでもない話を聞かされた。
父親の五郎は、過去に殺人を犯した友人を助けるため、証拠を隠蔽していたのだった。
その友人とは、先日、両親が彼の葬式に出た、死んだ友人の谷田部のことだった。
谷田部と五郎は親友同士で、共通の知り合いに七峰というオカルト呪術に傾倒する奇妙な男がいた。
五郎は変な七峰と縁を切ったが、谷田部は個人的にまだ七峰と繋がっていた。
ある日、谷田部と七峰は口論となり、谷田部は身を守るために七峰を殺してしまったという。
その時の返り血が、谷田部の服にベッタリとついていた。
五郎は谷田部の心中を察し、ベッタリと付いた血のしみをキレイに消し去ることで隠蔽を計った。
職業柄、五郎は血のしみの落とし方を知っていたため、ルミノール反応すら出ない程に、キレイに血のしみを消し去ったという。
こうして、五郎は親友のために殺人の隠蔽に加担したのだった。
あずさは五郎の遺体を確認したが、あの不気味なしみは無かった。
しかし、遺体の顔にかけた白い布に、突如、不気味なしみが現れたのだった!
驚いたあずさは、母のもとに逃げ帰ったが、母の体にも不気味なしみが現れ、帰らぬ人となってしまった。
両親が死に、あずさはひとりでクリーニング店にいた。
外を見ると、黒ずくめの謎の女が店の前にやってきていた。
あずさは女を追いかけた。
女は、七峰と書かれた家に入って行った。
あずさが家の中を覗くと、部屋の中には様々なお札が貼られており、オカルト地味た儀式を施された位牌と写真が置かれていた。
女は、写真の前で座り、怪しげな呪術のような儀式を行っていた。
やがて、あずさの服にも、あの不気味なしみが現れ始めた。
儀式を止めるため、あずさは部屋に侵入。
女を問い詰めると、儀式を続ける女の口から真実が語られた。
そう、謎の女は、七峰の一人娘だったのだ。
父を殺した谷田部を呪い殺し、谷田部をかばって隠蔽工作をした五郎と家族に呪いをかけて殺すため、しみのついたシャツをクリーニング店に持ち込んだのだった。
実は幼い頃、あずさは事実を知らずに、谷田部の服を洗うのを手伝っていたのだ。
すぐに五郎に止められたが、隠蔽に加担してしまったことは事実。
そのため、呪いはあずさも標的としてかかるようになってしまっていたのだった。
あずさは助かろうとして、花瓶で女を殴って儀式を止めさせた。
その結果、女は死亡し、呪いのしみは消えていたが、代わりに、あずさの服には返り血がべっとりと付いた。
あずさは、その血をキレイに洗い流すことで証拠隠滅を図った。
かつての父のように…。
あずさは、店をたたんで東京でやり直していた。
見違えるようにキレイになったあずさは、素敵な男性と高級レストランで食事をしていた。
その最中、ワインがこぼれて服についてしまう。
あずさは、何かに憑りつかれたかのようにお手洗いへ行き、しみを必死に落とした。
しかし、しみは全く落ちなかった。
そこへ、殺したはずの女が現れ、こう言った。
「上手く作った話だけど、あなたの不幸に理由なんてない。」
その言葉を聞いた途端、あずさは激しい頭痛に襲われた。
── その部屋は病院の一室だった。
謎の女にそっくりな女性看護師がブラインドを開け、明るい室内が更に明るくなる。
「今日はいい天気ですね。」
と、ほほ笑んで語っていた。
患者の名は、三浦あずさ。
両親の三浦五郎と康子も、寝たきりのあずさを見つめていた。
「あの時、ひとりで店番なんてさせなければよかった…。倒れた時、そばにいてやれれば…。」
そこへ、七峰そっくりの男の医者がやってきた。
パソコンにMRIの写真を表示して両親に見せ、こう言った。
「脳内出血は減少傾向にありますが…位置が悪く、開頭手術は厳しいです…。」
落胆する康子と五郎。
五郎は恨めしそうにこう言った。
「このしみさえ、消えてくれれば…。」
脳内出血の写真のしみは、あの不気味なしみと同じ形だった。
あずさが虚ろな目で見つめる天井には、あずさにしか見えない“しみ”がついていた。
「誰か…このしみを消してよ!お願い!誰か…!!」
終わり
■感想など
あれだけホラー路線で描いておいて、実は夢落ちだったとは…。
つまり、今までのホラー路線は、全部、あずさの脳内での悪夢の話だったわけですね。
しかも、ヒロインは脳出血で救われないという…。
まさに「奇妙な物語」でしたね。
まあ、随所に「夢落ち」を匂わせるセリフがあったのは事実。
話の構成自体は、悪くなかったです。
あと、役者さんの演技力は見事でしたが、シミの演出が、いかにもCGっぽくて、ホラーとしてはイマイチでした。
■主な登場人物
ストーリーテラー(タモリ)
三浦あずさ(広瀬アリス)
クリーニング店を営む夫婦の一人娘。
自身も店員として働いている。
三浦五郎(宮川一朗太)
クリーニング店を妻と共に経営している。
三浦康子(山口香緒里)
夫と共にクリーニング店を営んでいる。
謎の女(関めぐみ)
突如、クリーニング店に訪れた女性客。
シミのついたシャツのクリーニングを依頼してくるが…。
■このドラマの放送日
初回放送日:2020年7月11日
放送局:FNS(フジテレビ系列)
放送枠:「土曜プレミアム」