このページには、ドラマ世にも奇妙な物語 ’20 夏の特別編 #3「燃えない親父」のあらすじが書かれています。
ネタバレがありますので、まだ本作を観たことが無い人は読まない方がいいと思います。
それでも読みたい方は、ネタバレがあることを納得の上で、全て自己責任でお読みください。
■#3 燃えない親父 あらすじ
●プロローグ
ストーリーテラーは、落ちていた魔法のランプを拾う。
そして、それを公衆のゴミ箱のひとつ「燃えるゴミ」の方に捨てた。
批判コメントが嵐のように流れ、炎上の様相を見せる。
「おや、これは失礼。」
「おやおや、皆さん、こんなところまで見てるんですね。」
「ただ、燃えるものと燃えないものの区別、非常にややこしくはありませんか?」
批判コメントは更に続く。
ストーリーテラーは、ランプをゴミ箱から取り出し、今度は「燃えないゴミ箱」へ捨て直した。
しかし、批判コメントは止まらない。
「よもや、私自身が炎上するなんて思ってもみませんでした。怖い世の中です。」
「何が燃えて、何が燃えないのか…? 一寸先は闇です。」
●あらすじ本編
雪が降る中、火葬場では松田家の火葬が行われていた。
家族は悲しみに沈んでいた。
そんな時でも、仕事の電話を欠かさずにしている女医・松田春香(杏)は、仕事を優先したいため、父親の松田徹(山田明郷)の火葬が早く終わることを望んでいた。
そんな春香を、弟の松田光一(松下洸平)は快く思っていない。
棺に、故人の生前の持ち物を入れることになったが、火葬場職員の鬼瓦(皆川猿時)は、メガネや指輪など、金属のような燃え残るものはダメだと念を押す。
そして、棺は火葬された。
控室で物思いにふける家族たち。
そこへ、鬼瓦があわてて駆け込んできた!
「た、大変です!!お父様が……燃えません!」
「はあ?!」
家族一同は、鬼瓦が何を言ったのか理解できなかった。
そして、鬼瓦に案内され、再び火葬場へ来てみると…
なんと、徹の遺体だけが全く焼けずに死体のままで残っていた。
棺や衣装、花などは全て燃え尽きてなくなっていたのに、遺体だけが無傷で残っていた。
つまり、火力が足りないとか、生焼けとかそういうことではなく、遺体だけが完全に無傷で燃え残っているのだった。
この不可思議な現象に、家族は驚いたが…春香は冷静に、鬼瓦にこう言った。
「とにかく、もう一度火葬してもらえませんか?」
そして、再び火葬が始まった。
控室でお茶を飲みながら待つ家族だったが、そこへ鬼瓦が再び駆け込んできた。
「ダメです!燃えません!!」
一同は驚くというよりも、困った感情になっていた。
「原因とかわからないんですか?」
光一の妻の悦子(森矢カンナ)が鬼瓦に訊ねるが、初めての現象なので、原因はわからないという。
ただ、鬼瓦は思うところがあるのか、こう言った。
「何か(故人に)心残りがあるのでは?」
それを聞いた家族は、徹の心残りについて考え、燃えない原因について考えだした。
春香は、仕事の都合で時間があまりとれないため、原因究明を家族に急かすのだった。
悦子は、徹が一か月程前、「イイ女だったなぁ…」とつぶやいていたことを思いだした。
祖母のトシ(山本道子)も、女について電話していたと心当たりがあるという。
光一は、フィリピンパブで行われた田中みな実のサイン会に、父親に付き合わされた(?)ことを思いだし、田中みな実のサイン入り写真集が心残りではないかということになった。
そこで、棺にサイン入り写真集を入れ、再び火葬されることとなった。
光一は大分渋っていたが、悦子に睨まれ、写真集は遺体とともに火葬された。
しかし、結局、徹の遺体が燃えることは無かった。
困惑する家族と、焦る鬼瓦。
そう、遺体だけが燃えないということになると、棺の代金がかさんでくる。
つまり、経済的にも困ったことになるのだ。
そして、トシは落ち着きを無くし、「遺体を持ち帰る」と言い出し、悦子は「今日は13日の金曜日だ」などとオカルトチックなことを言い出し始める始末だった。
呆れた春香は、仕事を理由に火葬場から立ち去り、自分の車に乗った。
しばらくして悦子は、徹が「やっぱり入れるのは無理か…」と言っていたことを思いだした。
それは、籍を入れたい女性がいたんじゃないかという憶測だった。
トシの証言によると、ジャスミンという名前らしかった。
ジャスミンは(光一がよく知る)フィリピンパブにいるという。
悦子に恫喝され、光一はジャスミンを火葬場に呼ぶことになった。
しかし、ジャスミンは何と3人もいた。
誰が徹の生前の女なのかわからないが、3人とも徹のことは知らないと言う。
更に、そこへ男(カマ)のジャスミンが現れ、騒然となった。
カマの方は、徹とは15年もの長い付き合いの親友だったという。
徹の遺体は、カマに見送られながら、再び火葬された。
だが、やっぱり燃えなかった。
一体何に原因があるのか…?
トシが重い口をひらき、春香と光一は本当の姉弟じゃないことを、徹は自分から知らせてなかったという驚愕の真実が判明する。
春香は養子だったが、後から自分で知った。
それでも、徹は父親として、才能のある春香を大学に行かせた。
ただ、肝心の釜の方は、弟の光一に継がせた。
それを春香は「実の子じゃないから」と責めた。
しかし、光一が継いだ後、時代の流れもあって、釜だけでは経営が成り立たず、喫茶店として営業を再開することになっていた。
春香は火葬場へ戻ってきていて、父の亡骸に謝った。
また、釜を喫茶店にすることも、徹から春香へのメールによって、父が生前に既に認められていたことがわかった。
今度こそは燃え……なかった。
春香と光一の感動的なエピソードすらも、徹が燃え残る理由ではなかった。
「父さん、いい加減しつこい!ここは燃えるところでしょう。」
春香は「何とかしてよ!あなたの仕事でしょう?!」と鬼瓦に食って掛かる。
火葬場職員として謝罪する鬼瓦だったが、その鬼瓦の名札を見た時、春香は全てを思いだした。
それは、15年前の母の火葬だった。
早すぎる母の死に、皆は悲しんでいた。
その時の担当者も、鬼瓦だった。
徹が、妻の棺に結婚指輪を入れようとした。
鬼瓦がその時に「指輪はダメです。燃えないものはご遠慮ください。」と言ったことを思いだしていた。
そう、徹は、亡き妻の茉莉花(小出ミカ)をとても愛していたのだった。
「イイ女だったなぁ…」
「やっぱり入れるのは無理か…」
これらのつぶやきが示していたのは、亡き妻のことと結婚指輪のことだったのだ。
実は徹と茉莉花夫婦は、結婚式を挙げられなかった。
なので、せめて指輪だけでもと、結婚指輪を購入し、大切に持っていたのだった。
春香は、鬼瓦に頼み込んで、結婚指輪を棺に入れることを承諾させた。
そして、火葬…。
徹の遺体は、ようやく燃えた。
しかし、鬼瓦は別のことで再び驚愕した。
「指輪が無い。」
焼け残るはずの結婚指輪は、跡形もなく消え去っていた。
終わり
■感想など
火葬場で死体が全く燃えないという設定は、斬新で面白かったですね。
物理的には絶対にありえないことなのですが、そこが奇妙な物語らしいです。
でも、燃え残った理由が、亡き妻との思い出の結婚指輪にあったというのは、夫婦の深い愛情を描いていて、感動的でした。
■主な登場人物
ストーリーテラー(タモリ)
松田春香(杏)
現役の女医でバリバリ仕事をこなすキャリアウーマン。
父親の遺体が燃えない怪現象に頭を痛める。
松田光一(松下洸平)
松田家の長男で、春香の弟。
火葬中でも仕事の電話をする姉を快く思っていない。
姉とともに、父親の遺体が燃えない怪現象に頭を痛める。
松田悦子(森矢カンナ)
松田家の嫁で光一の妻。
義理の父親の遺体が燃えない怪現象に遭遇する。
怪現象の原因を模索するたびに、光一の秘密が明るみに出て、憤慨したり呆れたりする。
松田トシ(山本道子)
徹の母親。春香と光一の祖母。
燃えない息子の遺体を目の当たりにし、この世に何か強い後悔や未練があるんじゃないかと嘆く。
松田徹(山田明郷)
故人。春香と光一の父。
自身の遺体が燃えないという怪現象が起きる。
妻の茉莉花を深く愛していた。
松田茉莉花(小出ミカ)
故人。徹の妻で春香と光一の母。
15年前に他界している。
鬼瓦(皆川猿時)
火葬場の職員。
松田徹の遺体が怪現象で火葬できず、困り果てている。
■このドラマの放送日
初回放送日:2020年7月11日
放送局:FNS(フジテレビ系列)
放送枠:「土曜プレミアム」