スペースコブラとは何なのかわかりやすく解説

スペースコブラは、1982年10月7日から1983年5月19日まで、フジテレビ系列で放送されたSFアクションアニメ。

漫画家の寺沢武一氏の漫画作品「COBRA」(コブラ)を原作とした全31話のアニメである。

原作「COBRA」は、左腕にサイコガンを持つ宇宙海賊コブラの活躍を描いたハードボイルドな世界観のSF作品で、相棒のアーマロイド・レディ、ロイヤル三姉妹、宿敵クリスタル・ボーイといった、個性豊かで魅力的なキャラクターが数多く登場する痛快SFアクションである。

アニメ「スペースコブラ」では、原作における第1話~シドの女神編が描かれている。

スペースコブラは、当時のTVアニメの中では、作画の安定度が非常に高く、昔のアニメによく見られた「作画崩壊」というものがほとんど見受けられないため、ファンやアニメ業界の関係者からは高い評価を受けていた。

その一方で、アニメを見る子供世代からのウケはあまり良くなく、人気が低迷して放送打ち切りとなった。(後述)

2023年9月8日に寺沢武一氏が心筋梗塞で他界されたことが3日後の9月11日報じられたため、同日、巨大SNSのX(旧Twitter)や検索エンジンのトレンドワードとして「寺沢武一」「寺沢先生」「脳腫瘍判明」「デジタル漫画」「サイコガン」「スペースコブラ」などの関連ワードがランキング入りした。

コブラという作品は、既にレトロに分類されている古い作品だが、原作者の訃報によってSNSなどのネットメディアに大きな反響があったため、未だに人気と知名度が高い作品であったことが判明する結果となった。

 

・スペースコブラ あらすじ(1話)

始まりは24世紀の地球。
人類が自家用宇宙船で地球と外惑星との往来が可能となった時代。

貿易会社に勤め、家事ロボットにおちょくられながらも平凡な日々を過ごすサラリーマンのジョンソンは、退屈しのぎにT.M.株式会社のアミューズメントで、脳に信号を与えて夢を見させる「トリップ・ムービー」を見た。

夢の内容は注文の内容とは異なり、「自身が海賊コブラとなって暴れまわり、海賊ギルドから抜けてお尋ね者になる」という内容だった。

その直後に行ったカジノでジョンソンは大勝するが、カジノのオーナーを「海賊バイケンにそっくり」と言ってしまったため、命を狙われることになってしまう。

オーナーの手下たちはジョンソンの賞金を巻き上げて殺そうとするが、絶体絶命の危機に陥った時にサイコガンが発動し、手下たちを逆に殺してしまうのだった。

その影響で記憶が徐々に蘇り、自分が本物の海賊コブラであることと、5年前に海賊から足を洗うために顔を整形し、記憶を消して別人として生活していたことを思い出す。

執拗に命を狙ってくる海賊バイケンと手下を倒し、家事ロボットに化けていた相棒の女性型アーマロイド「レディ」と共に、再び宇宙へ旅立つこととなった。

 

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・原作「COBRA」との違い

スペースコブラのストーリーの基本骨子は原作とほぼ同じであるが、ストーリー展開や登場人物、登場メカなどに大幅な変更が加えられている。

主な変更は以下のとおり。(全部は網羅していない。)

  • 第2話に登場するビビに、「出身惑星がメビウス星」という設定が付け加えられている。
    (※原作「サイコガンの秘密」に登場する美女)
  • コブラの宇宙船「タートル号」のデザインが異なる。
    列車またはヘビのように変形するギミックが組み込まれている。
  • ロイヤル家の三女ドミニクが長女に変更になっている。
  • シャワーシーンやロマンスシーンなどの「大人的表現」が極力抑えられ、
    アクションがメインになっている。
  • 小型の登場メカ(エアバイクなど)がアニメオリジナルのデザインや海賊ギルドの戦闘員のコスチュームデザインが異なる。
    (が、これらのデザインが、後に原作に逆輸入されて描かれている。)
  • 原作では「刺青の女編」の中で描かれる「ソード人の秘密」が、TVアニメでは独立した一つのエピソードとして描かれている。(アニメ第20話・21話)
  • 魔王ガルタンのやられ方が異なる。
    原作では再封印、TVアニメでは壺ごと宇宙へ投棄。
  • べラミ(ガルタンの元にいた女の子)が魔法の絨毯を使っている。
    原作ではそのような描写は無い。
  • ルーン美術館の設定が「海賊ギルドの盗品展示場」となっている。
    原作では真っ当な美術館。
  • ハービィ(タートル号を造ったジンゴロウの家事ロボット)が人語を流ちょうに話し、破壊されていない。
    (原作では海賊ギルドの攻撃で破壊されている。)
  • ユーコ(ジンゴロウの孫娘)が、ちゃんと服を着ていた。
    また、年齢が20歳に設定されていた。
    (子供の視聴者への配慮?)
  • 「ラグ・ボール編」で、コブラの旧友「ザック・シモン」が、そのままの名前で登場している。
    (原作ではリック・ブルーという偽名を使っていた。ちなみにリック・ブルーはザック・シモンの愛銃の名前。)
  • 「ラグ・ボール編」で登場する1軍のメンバーの「ドブラー」「ドラゴン」「バッカス」の顔が、TVアニメではちゃんと描かれていた。
    (原作ではヘルメットの下に隠されて素顔が全部見えない。)
  • 「ラグ・ボール編」で登場する2軍のメンバーのロン・クラークはTVアニメオリジナルで、原作にはいない。
  • 「ラグ・ボール編」で登場するレッド・サクソンズのチアリーダー「ミランダ」が死亡していない。
    (原作では、コブラの部屋の電子シャワーが細工されているとも知らず、シャワーを借りた結果死亡。)

 

その他、細かい部分でTVアニメ版オリジナルのキャラや設定が多く追加されており、それに伴って原作と異なる部分が多く見られる。

しかしながら、全体的な世界観が壊されることは無く、原作の作風が踏襲されていると言える。

 

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・TV放送について

スペースコブラは、当初は全52話で放送予定だったが、途中で人気が低迷し、話数が短縮された。

原作のCOBRAは少年漫画とはいえ、登場人物のデザインなどの表現が「大人の読み物」に近い作風であり、人気のセンターボリュームがある年齢層が中高生以上と高かった。

アニメキャラの作画も原作を踏襲していたため、小学生の子供の視聴者層が多いTVアニメとしては人気が振るわなかったらしい。

また、タートル号を原作とは全く違うデザインにしたのは、当時流行っていた「スネークキューブ」の人気に乗っかろうとしたスポンサー側の意向による「おもちゃ業界の戦略」だったのだが、OP以外のタートル号の出番そのものがストーリー上であまり表現されなかったため、小学生の子供のウケが悪く、人気の低迷を抑えるには至らなかった。

打ち切り決定当初は、「全26話で終了」ということになったが、次回作品の放送がなかなか決まらなかった影響で、「ソード人の秘密編」と「シドの女神編」の間に個別の5話分が追加されることとなり、結果的に全31話となった。

 

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・スペースコブラのキャスト 主題歌など

以下、Wikipedia より引用。敬称略。

キャスト(TV第1作)

  • コブラ(声 – 野沢那智)
  • アーマロイド・レディ(声 – 榊原良子)
  • ビビ(声 – 潘恵子)
  • ジゴバ(声 – 加藤精三)
  • ジェーン(声 – 藤田淑子)
  • クリスタルボーイ(声 – 小林清志)
  • ドグ(声 – 木原抄二郎)
  • ターベージ(声 – 内海賢二)
  • サンドラ(声 – 田島令子)
  • ドミニク(声 – 高島雅羅)
  • ブラッド(声 – 飯塚昭三)
  • オーナー(声 – 徳丸完)
  • サラマンダー(声 – 柴田秀勝)

主題歌・挿入歌

オープニングテーマ – 「コブラ」
エンディングテーマ – 「シークレット・デザイアー」
上記2曲ともに 作詞 – 冬杜花代子 / 作曲・編曲 – 大野雄二 / 歌 – 前野曜子
挿入歌
「レディー」
作詞 – 伊藤薫 / 作曲 – 伊藤薫 / 編曲 – 志熊研三 / 歌 – TOMO
「さよならMan’s World」
作詞 – 大津あきら / 作曲 – 山崎修 / 編曲 – 志熊研三 / 歌 – 清野由美
「甘い出来事」
作詞 – 大津あきら / 作曲 – 羽田健太郎 / 編曲 – 羽田健太郎 / 歌 – 清野由美
「レディー」は21話で、コブラ達が惑星バクーサの砂漠を渡るシーンで使用され、「さよなら〜」は27話でそれぞれ使用された。

 

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・その他のコブラのアニメ

TVアニメ「スペースコブラ」の他に、以下の3作のアニメがある。

◆ SPACE ADVENTURE コブラ

TVアニメ版よりも前の1982年7月3日に封切りされた、コブラの劇場版アニメ映画。
コブラの声役(CV)は歌手の松崎しげる氏である。

原作の「刺青の女」「黄金の扉」両編をベースにした劇場版オリジナルストーリーとなっている。
制作には、原作者の寺沢武一氏も深くかかわっていた。

ちなみに、映画の主題歌「DAYDREAM ROMANCE」(デイドリーム・ロマンス)も、松崎しげる氏が歌っている。


◆ COBRA THE ANIMATION

COBRAのOAVで、「コブラ」生誕30周年記念企画で制作された。
第1弾「ザ・サイコガン」(全4話)と、第2弾「タイム・ドライブ」(全2話)がリリースされている。

コブラとレディのCVは、以前と変わらず野沢那智氏、榊原良子氏の二人である。

ザ・サイコガンの発売日

  • VOL.1 – 2008年8月29日
  • VOL.2 – 2008年10月24日
  • VOL.3 – 2008年12月21日
  • VOL.4 – 2009年2月27日

タイム・ドライブの発売日

  • VOL.1 – 2009年4月24日
  • VOL.2 – 2009年6月26日

ちなみに、タイム・ドライブに登場した若き日のコブラの声役は内田直哉氏だったが、後のTVアニメ版2作目では、がん治療で降板した野沢那智氏に代わってコブラの声役を引き継いでいる。


◆ TVシリーズ第2作

 2010年1月2日~3月27日にかけて、BS11デジタルで放送されたアニメ。
タイトルも前述のOAVと同じく「COBRA THE ANIMATION」。

全13話であり、主人公コブラの声役が野沢那智氏から内田直哉氏に代わっている。
(野沢氏がん治療で降板したため、交代となった。)

レディの声役は、そのまま榊原良子氏が続投。

1982年に原作中で描かれた中編5作品と、1996年に描かれた「ギャラクシーナイツ」編を原作として制作された。

 


関連項目

サイコガン

寺沢武一

デジタル漫画


 

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