靴下を履くための補助の道具(自助具)
である。
(英:Socks Aid)
実は、靴下を履く動作は、身体の柔軟性やバランス感覚を要するため、腰痛や関節痛などがある方にとっては大きな負担になる。
そんな不自由な状態でも、靴下を楽に履くことができるように開発・作成されたのがソックスエイドである。
本体に靴下をセットし、足を滑り込ませて紐(ひも)を引っ張り上げることで、椅子やベッドに座ったまま安全に靴下を履くことができる。
■ソックスエイドがおすすめの人
ソックスエイドは、以下のような悩みを持つ方が靴下を自力で履けるようにするのを補助する。
- 腰痛やぎっくり腰の方:前屈姿勢がつらい場合に。
- 股関節や膝の手術後の方:人工関節の手術後など、関節を深く曲げることが禁忌とされている場合に。
- 妊婦さん:お腹が大きくなり、足元が見えにくかったり手が届きにくい場合に。
- 片麻痺(片手)の方:片手だけで靴下をセットして履く練習用として。
- リウマチの方:手指の力が弱く、靴下を引き上げるのが大変な場合に。
■種類と選び方
素材や形状によって使い心地が異なるため、
ご自身の身体状況や、普段履いている靴下に合わせて選んだほうがいい。
◆ハードタイプ(プラスチック製)
最も一般的なタイプ。
筒状にカーブしたプラスチック板を使用している。
- 特徴
表面がツルツルしており、足を入れる際の滑りが非常に良い。 - 向いている靴下
一般的な綿の靴下など。 - 注意点
硬い素材なので、皮膚が弱い方や、足に傷がある方は痛くないか確認が必要。
◆ソフトタイプ(布・ナイロン製)
内側がナイロン、外側がタオル地などで作られている柔軟なタイプ。
- 特徴
柔らかいので足の形に馴染みやすく、摩擦で靴下をしっかりキャッチしてくれる。 - 向いている靴下
締め付けの強い靴下や、皮膚がデリケートな方に。 - 注意点
ハードタイプに比べて、足を入れる際に少しコツがいる場合がある。
◆ハンドルの形状
紐の先についている持ち手(ハンドル)にも、いくつかの種類がある。
- ループ状
手首を通して引っ張れるため、握力が弱い方でも使いやすい。 - スポンジ/グリップ
しっかり握って引き上げたい方に適している。
他にも、「弾性ストッキング(着圧ソックス)」用の特別なソックスエイドも存在する。
■基本的な使い方
製品によって多少異なるが、基本のステップは以下の通り。
- 靴下をセットする
ソックスエイド本体を丸めたり縮めたりして、靴下のつま先までしっかりとかぶせる。
> ポイント:靴下のかかと部分が、ソックスエイドの裏側(床側)に来るようにセットすること。 - 足を床に置く(または伸ばす)
ソックスエイドについた紐を持ち、本体を足元の床へ下ろす。 - 足を入れる
ソックスエイドの開口部に足先を入れる。 - 引き上げる
紐をゆっくりと手前に引っ張り上げる。
すると、ソックスエイドがふくらはぎの後ろへ抜けていき、足が滑るように入る。
これでソックスを履くことができる。
■ソックスエイドの購入場所と代用品
◆購入できる場所
- ネット通販
Amazon、楽天などで「ソックスエイド」と検索すると1,000円〜2,000円程度で購入できます。(2025年12月現在) - 介護用品店
実物を見て選びたい場合におすすめです。
ネット通販よりも価格が高い傾向にありますが、信頼性は高いです。 - 100円ショップ
とにかく安価!(2025年12月現在)
簡易的なものが販売されていることがありますが、耐久性や紐の長さには注意が必要です。(信頼性は低め)
◆身近なもので代用(自作)
緊急時や試しに使ってみたい場合は、A4サイズのクリアファイルや下敷きを筒状に切り、紐を通すことで簡易的なソックスエイドを自作することも可能。
靴下を引っ掛けることができて、足が通せる形状なら大体OK。
また、入院中などに、理学療法士が患者にソックスエイドを作成することがある。
自作とはいえ、リハビリ専門職の高い知識を用いて作られたソックスエイドは、市販のソックスエイドに引けを取らない性能を発揮できる。
■まとめ
ソックスエイドは、関節痛などで靴下を履くのが困難な人のための補助用の自助具である。
ただし、使用には多少の慣れが必要で、慣れればスムーズに履けるようになる。
ソックスエイドを使うことで、リハビリ中などの身体が不自由な状態が続く生活の中でも、生活の質(QOL)が大きく向上する。
ゆえに、靴下を「自分で履ける」という自信につながり、精神的にもプラスになり、治るまで前向きに生きていくきっかけにもなる。
■関連項目
なし

