鯨の数や生態などを調べるために
鯨を捕まえること
を言う。
日本では、現在、以下の5種類の鯨を捕獲している。
- ニタリクジラ
- ナガスクジラ
- イワシクジラ
- マッコウクジラ
- ミンククジラ
捕獲しているのは、一般財団法人日本鯨類研究所。
(旧管轄は水産庁)
捕獲された鯨は調査中に解体されてしまう。
しかも、その肉は食材として加工され、販売される。
そのため、日本の調査捕鯨は
- 調査とは名ばかりで、
鯨の肉が目的で捕獲しているのではないか?
と、反捕鯨団体や反捕鯨国などから非難されている。
・なぜクジラを調査で殺してしまうのか?
日本の調査捕鯨では、目視だけでも可能な生態調査だけでなく、クジラの年齢や食生活など、クジラを解体しないと判らない調査もしている。
例えば、クジラの正確な年齢を知るためには、耳垢栓※や歯を調べる必要がある。
※内耳に蓄積する耳あかの固まりのこと
また、クジラの食生活に関しては、胃の内容物を調べる必要があるため、解体せざるを得ないという。
日本の調査捕鯨では、確かに調査目的に適した調査方法を行ってはいる。
しかしながら、
- 解体したクジラの肉を売っている
という揺るぎない事実と現状があるため、世界各国から非難の声を浴びる大きな要因になっている。
そのため、反捕鯨団体「シーシェパード※」による度重なる捕鯨妨害が行われてきた事実がある。
(※過激な手法で妨害してくるため、世界からエコテロリストと批判され、USAからは海賊として認定されている組織。)
・調査捕鯨の禁止(南極海)
2010年5月31日、日本の調査捕鯨に対し、オーストラリアが国際司法裁判所に訴え、裁判となった。
2014年3月31日、国際司法裁判所の判決によって、オーストラリア側が勝訴。
日本が南極海で調査捕鯨することが禁止となった。
- 日本の調査捕鯨は
国際捕鯨取締条約(ICRW)に違反する
という司法判断が出たため、日本の南極海での調査捕鯨に対する中止命令が出たわけだ。
調査捕鯨自体はICRWでも認められているが、日本の場合は、
「調査捕鯨ではなく肉が目的の商業捕鯨だ」
と認定されてしまったことになる。
つまり、日本の調査捕鯨は、元々世界からは良く思われていなかったのだ。
この判決によって、南極海近辺に生息するクロミンククジラの捕獲が困難になり、日本の調査捕鯨は事実上、前述の5種のみになった。
・ICRWからの日本の脱退
日本は1951年から加入・遵守していたICRW(国際捕鯨取締条約)及び、同条約の議定書から脱退した。
政府による脱退の通知と正式発表は、2018年(平成30年)12月26日。
これによって、日本はIWC(国際捕鯨委員会)から正式に脱退することとなった。
(IWCはICRWに基づいて作られた国際組織のため。)
脱退の理由は、商業捕鯨の再開の見通しが無くなったため。
日本は元々、商業捕鯨を行っていたが、1982年にIWCで商業捕鯨モラトリアムが決められた際に、日本は異議申し立てを行った。
(商業捕鯨に大幅な制限が課せられるため。)
その際、反捕鯨の立場をとるアメリカから、日本への圧力(アメリカの排他的経済水域からの日本漁船の締め出し)と経済的制裁が行われる旨の通達があった。
(元々捕鯨国だったアメリカが、なぜ急に反捕鯨の立場をとったのか、疑問の余地が大いにある。)
それを恐れた日本は、仕方なく商業捕鯨モラトリアムを受け入れ、商業捕鯨を断念していた。
しかし、日本は商業捕鯨を諦めたワケではなく、また、調査捕鯨の結果、クジラ全体の資源が回復していることが判明したため、ICRWに抵触しない程度の商業捕鯨ができるようにIWCへ20回以上も提案してきた。
ところが、反捕鯨国(主にオーストラリア)の強い反対によって悉く否決された。
(いかなる理由であっても、クジラを殺すこと自体に反対であるとされた。)
そのため、商業捕鯨の再開のめどが立たないとし、日本はICRWからの脱退を決定したのである。
これによって、日本は2019年の7月から商業捕鯨が可能となった。
しかし、日本の商業捕鯨は、あくまでも日本の領海と排他的経済水域(EEZ)においてのみ行うものであり、南極海や南半球などの他地域では商業捕鯨を行わないスタンスをとっている。
関連項目
なし