何らかの責任をとるために
自分のゲームキャラクターを
自分で削除すること
という意味。
2023年2月1日に、Twitterのトレンドワードに「デジタル切腹」が急浮上してきた。
その原因は、オンラインMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」(以後、FF14)の高難易度バトルコンテンツ「絶オメガ検証戦」にあった。
このバトルコンテンツの世界初クリアをSNSで報告した日本人グループ(グループ名「UNNAMED_」)がいたが、そのグループが公開した動画の内容を検証した結果、本来のFF14のゲームシステムでは不可能な視点の映像があることが確認されたため、外部ツールの使用による不正(チート)行為の疑惑が持ち上がった。
(FF14では、外部ツールの使用を規約で全面的に禁止している。)
その後、その日本人グループのメンバーを名乗る人物(eis)が現れ、SNSに謝罪文を掲載。
その人物は、同じグループの別メンバーに外部ツール「ズームハック」※を利用させ、バトルの映像を広範囲で表示し、状況を俯瞰的に把握しながら指示や指摘をしてもらっていたことを告白した。
(※ゲームの表示機能のズームアウトの範囲を超え、より広い範囲を映し出せるようにするツールのこと。)
また、謝罪した人物およびグループメンバーの一部が、キャラクターの削除やプレイを停止するという意思も示した。
該当のツイート(画像)はこちら↓
なお、該当アカウントは既に削除されている。
この、「責任をとって自身のキャラクターの削除する」という行為が切腹の意味と重なると注目され、「デジタル切腹」という言葉が誕生した。
【注意!】単に「プレイに飽きた」とか、「辞める前にスッキリとゲームと決別したい」などといった個人の内面的な理由でゲームのキャラクターを削除する場合は、デジタル切腹とは言わない。
これらの騒動は、日本だけでなく世界のプレイヤーの間でも話題となり、運営側にも届いていた。
この件について、運営側はFF14の公式サイト内でコメントを発表した。
ちなみに、海外では「Digital Seppuku」と表記される。
切腹の表記はローマ字表記であり、日本語の切腹の発音をそのまま流用している。
実は、この「Digital Seppuku」の方が先であり、日本語表記の「デジタル切腹」の方が後から誕生したという見方もある。
何故なら、インターネット上においては、2009年代に「Digital Seppuku」という表記が既に出ていたからである。
ただし、この時代の「Digital Seppuku」は、HDDなどの記憶機器または媒体の破損による一方的なデータ消滅を意味しており、データ消滅を迫られる→切腹強制というニュアンスで使われていたようである。
故に、前述のような「責任を取って自ら自分のキャラクターデータを削除する」といった意味とは異なった使い方をされていたとみられる。
以下、私的意見と考察。
思うに、このような不正ツールが蔓延する理由は、プレイヤー側のモラルの問題が大きいだろうが、それ以上に、「コンテンツの難易度が厳しすぎる」というのもあると思われる。
過去にFF11において、HNM(ハイノートリアスモンスター)の「Absolute Virtue」という非常に強力な敵がいたが、それを討伐するのには、非常に強力な装備を有した超上級プレイヤーがフルアライアンス(18人)で試行錯誤しながら戦っても、勝つのに十数時間もかかったりしたこともあったほどの超高難易度だった。
しかも、「Absolute Virtue」を、攻撃力全振りのゴリ押し戦法で1分以内に倒してしまう※動画がアップされると、運営側は「想定外のクリア方法」として批判し、ジョブのアビリティを大幅に弱体化させるという暴挙に出たりした。
※クラクラ+リディル二刀流が可能な暗黒騎士/サポ忍の18人で、一斉にラスリゾ暗黒ブラポン状態で総攻撃を行う戦法。
後に、ブラポンの性能が大幅に弱体化され、上記のゴリ押しが出来なくなった。
つまり、運営側は自らが設置したモンスターのバトルコンテンツに関して「異常とも言えるプライド」を持っており、たとえ不正をしていない場合であっても、運営側が意図しない方法だった場合は「想定外」として排除する方針をとってしまう。
そのような異常なプライドがFF14にも引き継がれているようで、「絶オメガ検証戦」のような遊びの範囲を超えた、難易度が異常に高いバトルコンテンツが実装されている原因となっていると思われる。
それこそが、外部ツールに走ってしまう原因になっているのに。
関連項目
なし