上の決定を疑いつつも
結局は同調して従ってしまうこと
を意味する。
頂点同調主義という言葉の提唱者は、経済評論家だった故・内橋 克人(うちはし かつと)氏。
(1932年8月2日~2021年9月1日 満89歳没)
元ジャーナリストだった内橋氏の著書は評価が高い。
また、彼の評論は非常に的を射た内容のものが多く、NHKの冠番組の1つ「クローズアップ現代」に50回も出演したことがあるほど定評があった。
そんな彼が他界した際に、NHKは追悼番組「追悼 経済評論家 内橋克人 未来への遺言」を放送した。
(放送日:2021年9月23日(木))
その追悼番組の中で内橋氏は「頂点同調主義」という言葉を使い、経済面において上位の者たちに同調して従ってしまう傾向を憂い、各個人で考えて行動していかなければ何も変わらないという旨を力説していた。
・頂点同調主義の傾向は昔からあった
頂点同調主義という言葉は内橋氏による的を射た現代の造語だが、頂点同調主義的な傾向は昔から存在している。
古くは、全国に対して厳格な政治体制を執り行うようになった江戸時代から存在していると思われる。
頂点同調主義的傾向は、当てはまる分野やケースが多い。
特に、現代においては、政党などの巨大な組織内の人間関係はもちろんのこと、議会と議員、自治体と住民、学校と教師、大企業と下請け企業など、多岐にわたっている。
全てのケースに当てはまる条件として、「上下関係がある」という点である。
例として、組織内における頂点同調主義的傾向は、組織の合議制が定着し、合議制そのものが形骸化すると発生しやすくなる。
例えば、一部の者が合議制の中で決まったことに対して疑問に思ったり、反対の考えを持つとする。
しかし、大半の者たちは決まったことに口を挟もうとせず、しかも反対の意見や考えを言おうものなら、自分の立場が危うくなってしまう。
そのため、半ば妥協したり諦めたりすることで、“決まった大きな流れ”にズルズルと同調してしまう。
といった傾向が頂点同調主義的傾向と言える。
この“頂点同調主義”という言葉を提唱した内橋氏の頭脳は見事としか言いようがない。
関連項目
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