「金曜日は早く仕事を終えて遊びに行け」
というキャンペーンのこと。
略して「プレ金」。
具体的には、
「午後3時(15時)頃に仕事を終え、買い物や飲み会、旅行などのレジャーに時間と金を費やせ。」
というものだった。
プレ金の狙いは、国民の消費拡大による経済効果。
2017年(平成29年)2月24日より、
日本国政府や経団連の後押しによって日本全国に広められた。
プレ金の運営団体はプレミアムフライデー推進協議会。
(以後、プレ推)
プレ推は、当時の人気アイドルグループの関ジャニ∞を起用し、TVメディアなどを通じて、大々的にPRを展開し、プレ金の知名度は劇的に高まった。
PRの結果、一部の企業でプレ金が実践され、月給制の正規雇用者や一部の富裕層は、プレ金の恩恵を受けることができた。
(労働時間を減らしても、収入が変わらないため。)
しかしながら、非正規雇用者が多くなっている2010年代では、プレ金によって労働時間が減ったため、その分、収入が減ってしまう傾向にあった。
(非正規雇用者の大半は時給制のため。)
その結果、当初こそ消費が拡大したものの、やがて、国民の大部分は消費を控える傾向になり、政府や経団連が描いた思惑どおりの消費大アップには届かなかった。
(結果だけ見ると、消費拡大自体は多少の効果は出たらしいが。)
思ったような効果が出なかったにも関わらず、プレ推による過剰とも思えるPRによって、プレミアムフライデーの知名度だけが高まった。
そのため、2017年度の流行語大賞で「プレミアムフライデー」がトップテンに入ったものの、言葉だけが空しく広まったケースとなってしまった。
・プレ金の問題点
プレ金の問題点として、大きく分けると
- サービス業は、かえって労働時間が増える。
- プレ金の導入自体が不可能。
という2点になる。
サービス業などに努める非正規雇用者にとっては、むしろ労働時間が増えた労働者も多いという。
プレ金で娯楽やレジャーに金を使うということは、娯楽やレジャーを提供している業者側には、その分、仕事が増えるということ。
つまり、サービス提供側の労働者の労働時間が逆に増えてしまったのである。
仕事を早く終えて消費に走らせる目的のプレ金。
そのしわ寄せが、国民の大部分を占める非正規雇用者に行ったため、相対的にプレ金の効果が十分に得られなかったワケである。
また、一部のサービス業(特に物流系)においては、プレ金の導入自体が不可能だった。
仕事柄、午後3時(15時)に業務を終わらせるのは不可能で、土日祝日の休み自体が無い。
(ほとんどがシフト制)
それに、物流をいつでも利用したい顧客の理解を得ることができないため、プレ金導入を断念した企業がほとんど。
業務内容においては、配達だけでなく、集荷の作業(次の配達の手続きやトラックへの積載など)が膨大な量ある。
そのため、結局、仕事を終えるのに夜までかかってしまうことがほとんどであった。
なので、従業員のためにプレ金を導入したくとも、導入自体ができなかったのである。
以上のことから、政治家や経団連などの天上人は、
「“非正規雇用者が非常に多い”という、当時の国民の現状が見えていなかった。」
と言わざるを得ないだろう。