細胞内のタンパク質の
リサイクルシステム
のこと。
細胞内で不要になったタンパク質や、細胞内に侵入してきた細菌※を分解して栄養源に変換する。
※黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、連鎖球菌などの有害細菌
それを、新たに細胞内で再利用するワケである。
この仕組みをオートファジーと言う。
人間の身体が飢餓状態になっても、しばらくの間死なないのは、この仕組みのおかげである。
ちなみに、オートファジーは実はギリシャ語で、
つづりはAutophagy。
- オート=自分
- ファジー=食べる
という意味になる。
細胞内の不要なタンパク質を結果的に自分で食べていることになるので、このネーミングは正しい。
・きっかけはノーベル賞
オートファジーが世間に知られるきっかけになったのは、2016年10月3日に発表されたノーベル医学生理学賞。
受賞者は大隅良典(おおすみ よしのり)氏。
(東京工業大学名誉教授 当時)
日本人として4人目の医学生理学賞ということで注目を集めた。
氏が解明したのが、
前述のオートファジーである。
・オートファジーの可能性
オートファジーの解明が、
ノーベル医学生理学賞の受賞の理由になったことの一つとして、“オートファジーの可能性”がある。
オートファジーの応用によって、
医学がより発展することが可能性として十分にあるからだ。
主な可能性として、
- 感染症の予防効果の増大
- 健康寿命の延長
- アルツハイマー病やパーキンソン病など
神経の病気の治療と発症予防 - がん細胞の増殖の抑制
などが挙げられている。
大隅氏は、
「感染症の予防効果については有望」
だとしている。
しかしながら、がん細胞の抑制やアルツハイマーなどの神経の病気の治療については、
「厳しいのではないか」
という見方をしている。
その理由として、
- がん細胞とオートファジーの関係は複雑
- 既にかかってしまったアルツハイマーや
パーキンソン病を治す程の効果はない
と述べている。
今後の医学の発展によっては、
オートファジーを応用した新しい治療法が確立されるだろうと氏はみている。